2015年1月14日8:002020年キャッシュレス社会へのロードマップ世界で最もカードが使いやすい国をめざして~Cashless Society~
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤元則
カード・決済業界は、今年から2020年にかけて一大飛躍のトレンドに入る。
政府が日本再興戦略で打ちだした、キャッシュレス決済の推進という追い風が吹くからである。
リーマンショック後の経済対策としてとられたエコポイントの比ではない。
この追い風はカード・決済業界という特定の業界を対象にした、空前の神風なのだ。
この風に乗って飛翔できるかどうかは、2015年のダッシュしだい。
どんな翼をもって、どの方向に飛べばいいか。
さあ、2020年の東京オリンピックに向けてのロードマップづくりをはじめよう。
世界で最もカードが使いやすいキャッシュレス社会をめざして。
■2桁成長という追い風に乗ってキャッシュレスを推進しよう
2008年9月のリーマンショック、2010年6月の改正貸金業法の完全施行、2011年3月の東日本大震災、2014年4月の消費税値上げ。デフレからなかなか脱出できない経済下で、カード・決済業界をつぎつぎに襲ったストーム。これらの艱難にもめげず、2014年8、9月のクレジットカードショッピング取扱高は前年同月比2桁成長を達成した。しかも、2013年の8、9月の成長率はいずれも10%を超えている。このご時世で、2年連続2桁成長という産業はきわめて稀である。
しかし、2014年の成長は個人消費の伸びによるものではない。内閣府の発表(2014年10月調査)によると、一般世帯の消費者態度指数は、8月は前月より0.3ポイント低下、9月は1.3ポイント低下、10月は1.0ポイント低下となり、3カ月連続で前月を下回っている。消費マインドは弱含みにもかかわらず、クレジットカードのショッピング取扱高が伸びているのは、現金からカードへのシフトが進んでいるからであろう。カード業界の一部には、この事象をもってホッとひと息という機運もある。ここ数年、強烈なストームにさらされつづけていたのだから、あたたかい陽射しにのんびりしたいという気持ちもわからないではない。
だが待ってほしい。安穏としている場合ではない。カード・決済業界にとって空前のチャンスが到来した。政府が閣議決定で「キャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性の向上を図る」ことを打ちだしたのである。先進国で最もキャッシュレス化政策が遅れていた日本政府が、これを表明した意義は大きい。この背景には、2020年の東京オリンピック開催にむけた、おもてなしの心がはたらいている。訪日外国人の不満のひとつがカード利用にあったからだ。