2015年3月11日8:30■千葉銀行
国内で初めてJCBブランドのデビットカードを発行した経緯とは?3カ月で1年間の会員目標を達成するなど、滑り出しは好調
千葉銀行は、2014年10月1日から、ジェーシービー(JCB)と提携し、国内で初めてJCBブランドのデビットカードである「ちばぎんスーパーカード<デビット>」の取り扱いを開始した。JCBブランドのカードを発行することで、従来のブランドデビットカードの課題を抑制でき、クレジットカード「ちばぎんスーパーカード」と合わせた訴求が可能になったという。
JCBで従来のブランドデビットの課題を抑制
従来のクレジットのインフラにデビットを追加
「ちばぎんスーパーカード〈デビット〉」は、年会費1,250円(税別)の一般カードと、年会費1万円(税別)のゴールドカードを発行している。利用者は、キャッシュカード一体型もしくは単体型からカードを選ぶことができ、有効期限は5年となる。20歳未満は一般カードのみの申し込みが可能だが、年会費は無料だ。また、デビットカードの前年の利用金額が12万円以上の人は次年度の年会費が無料となる。
「ちばぎんスーパーカード〈デビット〉」は、全世界2,700万店のJCB加盟店でショッピングを利用すると、即時に口座から引き落としになる。また、JCBが提携するCirrus等の海外ATM・CDで預金を現地通貨として引き出し可能だ。
同行がブランドデビットカードを発行開始した理由は、複数あるという。まず、「後払い」のクレジットカードは使いすぎのリスクがある等の理由で持ちたくない、また何らかの理由で持てない人には、「預金から即時決済されるため使いすぎの心配がなく、原則当行口座を保有していれば誰でもお申込可能なブランドデビットカードは、最適な商品」、「デビットカードは、仮にクレジットカードの審査が通らなかった方にもカード利用特典を享受いただけますし、銀行でしか発行できないカードであるため、銀行にとっては親和性が高く訴求力の高い商品であることが挙げられます」と千葉銀行 個人営業部 調査役 尼野俊一氏は説明する。
また、JCBブランドを選択した理由は、「ブランド会社であることはもちろん、プロセッシング業務も受託していることが大きかった」と同氏は話す。国内のVisaやMasterCardブランドはマルチアクワイアリングが一般的だが、JCBはシングルアクワイアリングのため、これまでブランドデビットの課題であった利用加盟店の制限、二重引き落とし等の課題の解決を複数のアクワイアラに依頼する必要が無くJCBのみに対応を依頼すれば良いため調整負荷を軽減できる期待があった。さらに、JCBブランドの提携カードを先行して発行していたため、事務処理を含めてインフラが構築されていた部分もあり、「カードのラインアップを追加するイメージで運用することができています」と、尼野氏は笑顔を見せる。
35社、約2,850店舗で優待サービス提供
会員獲得を強化し5年後の収益化を目指す
現在、発行から3カ月が経過しているが、決済件数、利用率などは想定以上の数字となっているそうだ。同行では、ブランドデビットはまだ生活者に馴染みのない商品であることも踏まえ、慎重な目標設定を行っていたというが、「3カ月で1年間の目標に届きました」と尼野氏は成果を口にする。稼働率も2カ月が経過した時点で30%を超えており、さらに高めていきたいとしている。
会員のボリュームはクレジットカードと比較して20代、60代以上、40代(主婦)が多く、日常生活でのスーパーマーケットやドラッグストアなどで利用されている。例えば、60歳以上のアクティブシニア層はクレジットカードの審査が通りにくい一方で退職金等の資産を保有する人が多いことから、申込者は高額消費をしてもらえる傾向があるそうだ。
入会チャネルは、営業店店頭・オンライン入会・メールオーダーのいずれかとなる。現状は、千葉銀行の各営業店を中心に会員を獲得。尼野氏は、「店頭入会の場合、利用する年代の偏りも出てくる可能性もあるため、幅広い方に入会していただけるようにオンラインの展開も強化していきたいですね」と意気込みをみせる。
千葉銀行では「ちばぎんスーパーカード」も発行しているが、クレジットカードとユーザーが重複することなく、新規の利用者を獲得できているそうだ。また、一度商品性が理解されれば、継続して利用してもらえる商品であると感じている。
会員への販促サービスとしては、利用金額1,000円につき1ポイント(5円相当)を付与している。また、クレジットカード等でも実施している「地域優待サービス」の対象カードとなっている。「地域優待サービス」は、県内を中心に35社、約2,850店舗の「ちばぎんパートナー」にて割引優待や提示割引サービス等を提供している。
千葉銀行では「ちばぎんスーパーカード〈デビット〉」の可能性を短期間で感じており、収益に貢献できる商品に育つと期待する。同行では引き続き会員獲得を強化することで、5年後の収益化予定を短縮していきたいと意気込んでいる。