利用がひろがる米国プリペイドカード~Prepaid Cards of USA~

2015年5月28日8:13利用がひろがる米国プリペイドカード ~Prepaid Cards of USA~

日本カードビジネス研究会 代表 佐藤 元則

プリペイドカードのポテンシャルは高い。広い。膨大だ。
いままでクレジットカードやデビットカードが使われていた領域でも、
使われなかった新しいエリアでも、
縦横無尽に舞い踊る。
そんなパワーをもっている。

国際ブランドがついた汎用プリペイドカードは日本ではまだ黎明期。
米国でも本格化しはじめたのは2010年以降である。

その米国でいま、プリペイドカードの利用がひろがっている。
米国政府の各種給付ツールとして支払われた金額は17兆円。
利用者はサブプライム層から、若年層や中高所得者へ拡大している。

プリペイドカードのワクワクする出会いと新しい発見が
今回で紹介する先進事例のいたるところでまっている。

ncb1■米国政府の給付プリペイドカード

まず米国政府のプリペイドカード利用からみていくことにしよう。2013年3月1日、米国では電子決済法(Electronic Payment Law)が施行された。これによって生活保護や失業保険などの給付は、小切手からプリペイドカードや口座振込みに切替わった。

財務省によると、それまで毎月500万通の小切手が送付されていたという。これらがすべて電子決済になったのだ。

政府給付金の電子決済は法律で規定されたもので、受給者はプリペイドカードか口座振込みのどちらかを選択しなければならない。2013年時点で受給者の約93%は電子決済を利用。財務省は、残り7%が小切手から電子決済に移行すれば、10年で10億ドルの税金が節約されると予測した。

銀行口座への振込みは1990年代の中頃に計画していたが、受給者の多くは銀行口座を保有していなかった。そこでプリペイドカードが登場する。2008年からプリペイドカードによる給付をスタート。カード名称はダイレクトエクスプレス(Direct Express)。銀行口座をもたなくてもプリペイドカード口座へ電子的給付が可能になった。

ncb2

ダイレクトエクスプレス、政府のプリペイドカード利用実態報告

2014年7月、連邦準備制度理事会は米国連邦議会に対し、政府が管理する汎用プリペイドカードについて報告した。これはドッド・フランク法にもとづいたもの。連邦政府、州政府、地方政府が管理する決済プログラムにおいて、汎用プリペイドカードがどのように利用されているかを報告したものである。

米国連邦政府、州政府、地方政府では、生活保護費などを支払う手段としてプリペイドカードを利用している。小切手よりコストが安いからだ。前述のように、以前は小切手を郵送していたが、2013年に小切手給付を廃止。すべて電子決済にかえた。

米国政府の各局では、金融機関やプログラムマネジャーと契約を結び、プリペイドカード発行や資金の支払い、顧客サービスを提供している。連邦準備制度理事会はその2013年のデータを収集し、レポートにまとめた。

政府各局によると、247件のプリペイドカードプログラムを提供。カード発行会社は563件のプログラムを提供している。

■続きはNCBレポート2015年6月号で

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