2010年12月2日8:02
英国のプリペイドカード事情
☆☆☆ 欧州プリペイド市場を牽引する英国の先進性 ☆☆☆
Prepaid Cards In United Kingdom
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤 元則
歴史と伝統の国である英国は、しばしば保守的なイメージでとらえられることが多い。が、17世紀には大航海時代に乗り出し7つの海を征服。18世紀には蒸気機関を開発して産業革命を進展させた。
20世紀にはビートルズやローリングストーンズに代表される音楽の創造的破壊が、世界的なロックカルチャーを生みだした。
そしていま英国は、決済分野で新たなムーブメントを創出しようとしている。英国で約350年の歴史をもつ小切手を2018年までに廃止する方針を決めたのもそのひとつ。
鳥瞰すれば、キャッシュレス化と情報通信技術を活用したニューペイメントの導入、という大きな潮流になろうか。今回のスターたちは、デビットカード、プリペイドカード、非接触決済、モバイル決済などである。
そのスターのなかから、英国のプリペイドカード、特に国際ブランドがついたサーバ型にスポットライトをあててみよう。決済の革新者としてユニークな決済サービスを次々に登場させている。
●欧州プリペイドカードを牽引する英国
ボストンコンサルティンググループ(BCG)が2010年7月に発表した予測によると、欧州プリペイドカード市場は2010年から2017年まで年率平均で26%増加するという。
国際ブランドつきのプリペイドカードにチャージされた資金総額は、2009年時点で220億ドル。それが2017年までに1,560億ドル(約14兆円)になるとみている。
欧州の中でもっとも大きな市場になると予測されているのが英国だ。2017年までに欧州市場の25%を占めると予測。チャージ金額にすると約3.5兆円だ。
ファーストデータが2009年6月と7月に実施した欧州プリペイド市場の調査でも、英国はイタリアとともに成長期にあると評している。消費者はプリペイドカードのメリットを理解しはじめ、商品認知度が高まっていることがわかった。
英国では、サーバ型のプリペイドカードはまだ新しい商品だ。米国と同じようにプラスチックのギフトカードが先鞭をつけた。デビューしたのはいまから約5年前。以来、紙のギフト券はこのギフトカードに置き換わりつつある。
現在英国小売業の70%がギフトカードを提供するまでに育った。小売店だけではなく、レストランやエステなどでも販売されている。わずか5年でギフトカードが英国社会に一気に浸透したのである。
ギフトカードの普及とともに、国際ブランドがついた汎用性のあるプリペイドカードも急成長。英国では130種類以上のプリペイドカードが発行され、発行枚数は6,000万枚に達している。