2010年8月23日16:40民間最終消費支出に占める日本のニューペイメント総取扱高の比率は16.88%
日本は停滞する経済環境を打破するために決済のキャッシュレス化を強力に推進する必要があるだろう■予測の前提
日本国内の決済市場は、ニューペイメントによってどのように変化していくのだろうか。2007年から2009年の実績値をもとに、2015年までの市場を予測してみた。
ニューペイメントは前述したように「情報技術を活用した、現金に代るキャッシュレスの決済手段」と定義づける。市場予測にあたっては、クレジット決済、デビット決済、プリペイド決済の3つの支払方法別に推移をみた。
対象を決済とするため、いずれの支払方法でもショッピング利用に限定。キャッシング利用やATMからの現金引出しは除外した。
予測のベースとした資料は以下のとおり。クレジット決済は経済産業省の「特定サービス産業実態調査」のクレジットカード業統計。デビット決済は日本デビットカード推進協議会の「Jデビット取引実績報告」。プリペイド決済は前払式証票発行協会の統計資料と日本銀行決済機構局の「最新の電子マネーの動向について」である。
これらをベースにニューペイメント関与者へのヒアリング調査を反映させ、国際ブランドつきのデビット決済やプリペイド決済などを加味した。成長率は日本の経済情勢や規制の影響を鑑み、欧米の決済市場の動向も考慮して設定した。
■2010年クレジット決済低迷、
プリペイド決済牽引
2007年のニューペイメント決済総額は32兆8,427億円だった。これは民間最終消費支出の11.48%を占める。
内訳はクレジット決済額が28兆1,331億円で、民間最終消費支出の9.84%。デビット決済額は7,975億円で、民間最終消費支出の0.28%。
プリペイド決済額は3兆9,121億円で、民間最終消費支出の1.37%だった。
2010年のニューペイメント決済総額は36兆539億円で、民間最終消費支出の12.61%となる。
内訳はクレジット決済総額が29兆7,166億円で、民間最終消費支出の10.40%。クレジット決済額は2008年をピークに2009年、2010年と前年対比マイナスで、これは2011年まで続くと予測。
その背景は景気後退によるクレジットカード離れや、改正貸金業法と改正割賦販売法による規制強化の影響で、クレジットカードをもてなくなる人が増えるためである。
2010年のデビット決済額は8,820億円で、民間最終消費支出の0.31%。Jデビットは頭打ちだが、国際ブランドデビットが徐々に台頭してくる。
2010年のプリペイド決済額は5兆4,553億円で、民間最終消費支出の1.91%。交通系電子マネーの伸びがプリペイド決済を牽引する。ギフトカードなどのサーバ型や国際ブランドつきプリペイドは黎明期である。
■2015年ニューペイメント
決済総額48兆円強
2015年のニューペイメント決済総額は48兆9,723億円で、民間最終消費支出の16.88%となるだろう。
クレジット決済は2012年から若干上向きはじめるが、その伸びはうすい。2015年のクレジット決済額は32兆9,553億円で、民間最終消費支出の11.28%。
百貨店・総合スーパーやその他小売店、飲食店、旅館・ホテルでのクレジット決済成長率は低い。公共料金やオンラインショッピング、ヘルスケア分野の伸びは期待できよう。
デビット決済総額は3兆7,275億円で、民間最終消費支出の1.30%にまで成長する。
Jデビットは7,000億円台で伸悩むが、銀行が発行する国際ブランドデビットが2012年以降急伸。2015年には3兆円の市場を形成するとみる。
プリペイド決済総額は12兆2,894億円で、民間最終消費支出の4.30%。電子マネーは順調に伸びて4兆円を超え、サーバ型も含めると7兆円を超える。
事業会社が発行する国際ブランドプリペイドは2012年以降拡大し、2015年には2兆円の市場を形成するだろう。
■日米決済額予測比較
米国の決済市場はどうか。ニルソンレポートによると2008年のニューペイメント決済総額(クレジット、デビット、プリペイド)は3兆5,824億ドルで、個人消費支出の45.68%だった。
内訳はクレジット決済が2兆617億ドルで、個人消費支出の26.29%。デビット決済は1兆3,304億ドルで、個人消費支出の16.96%。プリペイド決済は1,904億ドルで、個人消費支出の2.43%だった。
2013年の予測はどうか。ニューペイメント決済総額は4兆4,864億ドルで、個人消費支出の49.77%になる。
内訳はクレジット決済が2兆1,806億ドルで、個人消費支出の24.19%。デビット決済は2兆659億ドルで、個人消費支出の22.92%。
プリペイド決済は2,399億ドルで、個人消費支出の2.66%である。
NCBが予測した民間最終消費支出に占めるニューペイメントの比率は2013年で14.40%、2015年でも16.88%。その差は大きい。経済の活力を物語っている。
決済のキャッシュレス化は経済を活性化する。
インターネット決済や企業間決済、あるいは政府の購買調達をみてもキャッシュレス化の効果は明らかである。
NCBの予測は若干堅実に見積ったものである。としても、日本は停滞する経済環境を打破するために、決済のキャッシュレス化を強力に推進する必要があるだろう。
※本記事は日本カードビジネス研究会発行の「New Payment Report 2010」の一部分をご紹介したものです。New Payment Report 2010では、上記のように、今後、急速な普及が予測されるデビットカードやプリペイドカードなどの情報を数多くご紹介しております。ただいま、「ペイメントナビオープン記念 夏のレポート祭り」を開催中ですので、「New Payment Report 2010」にご興味がある方はこの機会にぜひ、購入をご検討いただければ幸いです。
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