2015年9月10日6:14
Gemaltoが日本市場における初の戦略説明会を開催
2017年は2014年の2倍の売り上げを目指す
デジタルセキュリティベンダーのGemalto(ジェムアルト)は、2015年9月9日、日本市場における初の戦略説明会を開催した。ジェムアルトは、2014年にデータセキュリティの保護技術を提供するSafenet(セーフネット)を買収。ジェムアルトの認証技術と、セーフネットのデータ保護や暗号化技術を組み合わせることにより、セキュリティ事業はさらに強化されたそうだ。
カードやNFCビジネスとのかかわりも深いGemalto
2017年にプラットフォームとサービスの売上高10億ユーロを目指す
フランスに本社を構えるジェムアルトは、デジタルセキュリティの分野では世界を代表する企業である。ICチップを搭載した決済用カードやSIMカード、パスポートの提供、NFCのサービスプロバイダやモバイル・ネットワーク・オペレータ(MNO)へのTSM(Trusted Service Manager)やターンキー・サービス「Allynisトラステッド・サービス・ハブ(TSH)」の提供、ワンタイムパスワードトークンや認証のサービスなど、カードビジネスとのかかわりも深い。
2014年は25億ユーロの売り上げを誇り、20億人以上が同社のソリューションを利用している。全世界の従業員は、1万4,000人で、その国籍は116カ国に及ぶ。事業を展開するオフィスやR&Dセンターを有しているが、顧客企業は180カ国に所在しているという。研究開発に携わるエンジニアは2,900人以上で、2014年に新たに出願した特許数は114件あるそうだ。ジェムアルト 南アジア&日本担当プレジデント マイケル・オウ氏は、「私たちのブランド名はそれほど見かけませんが、お客様をグローバル全体でカバーしています」と説明する。たとえば、モバイルキャリアが提供するSIMカードはジェムアルトの製品が数多くあり、「450のMNOがお客様」であると、オウ氏は話す。また、金融機関は3,000以上、大手企業3万社との関係を築いているそうだ。さらに、政府との関係も深く、シンガポールやオマーンなどでサービスを提供している。たとえば、オマーンでは電子パスポート、出入国システムなどを提供しているそうだ。
ジェムアルトの提供するサービスへの評価は高く、2014年は、出入国管理&生体認証、NFCでのスマートシティの展開など、数多くの賞を受賞している。
昨今、米国をはじめ、数多くの不正アクセスなどの被害が起こっているが、ジェムアルトの役割としては、データおよびアイデンティティを保護し、管理することであるとしている。たとえば、正規の利用者のみがIDでアクセスできる「Edge(エッジ)」と、データを厳重に管理・保管する「Core(コア)」の両セキュリティを確立することで、トラストチェーン全体を保護、管理できるそうだ。
ジェムアルトでは現在、「文書業務のデジタル化(電子IDカード)」「サービスのモバイル化」「すべてのモノがつながる(IoTの領域)」「テクノロジーの収束と非接触化(NFCや非接触決済、ウェアラブルなど)」「さまざまなサービスがオンライン化し、クラウドへ」の5つの領域に注力している。今後も同分野は継続して成長が見込めると同社では考える。2017年には、事業利益を6.6億ユーロに、プラットフォームとサービスの売上高10億ユーロにしていきたいという。日本市場についての目標は非公表だが、プライオリティの高い市場のため、展開を強化していきたいとしている。
データ侵害には3つのエレメントが重要
ソフトウェアのIP保護やライセンス管理のビジネスも展開
データ保護分野では、セーフネットの買収でさらに強化されたそうだ。同社のIDP事業部では、ID保護と認証、トランザクションの保護、データ保護とアクセス制御、通信インフラの保護等のビジネスを展開している。
現在、世界中の電子金融トランザクションの80%はセーフネットの暗号化ソリューションで保護されており、その額は1日1兆ドルに達する。また、企業の機密情報へのアクセス制御をUSBトークンやICカード等により、オンプレミスおよびクラウド環境で保護しているそうだ。さらに、8万6,000以上の鍵管理ソリューションと7億5,000万の暗号鍵を保護している。日本でも金融機関、政府機関、民間企業で数多くの採用実績を誇る。IDSS事業本部 IDP事業部長 J.B・デュメルク氏は、「データ暗号化」「暗号鍵の管理」「アクセス制御」がセキュリティ保護に向け必要であると述べた。
ジェムアルトでは、ソフトウェアのIP保護やライセンス管理のビジネスも行っている。同社のSoftware Monetizationソリューションは、オンプレミス、クラウドアプリケーションで使用されている1億以上のソフトウェアライセンスを保護しているという。IDSS事業本部 SM事業部 ヴァイス・プレジデント(sales APAC)ジュラード・ポール・クラーク氏は、現在でもソフトウェアライセンス・マネジメント分野ではトップの立ち位置であると説明した。また、IoTにより多くのデバイスがつながる世界が到来すると予想されるが、IoT Monetization Modelsでは、ニーズやビジネスもであるに合わせてライセンスの選択が可能なモデルを提供するそうだ。