2015年10月21日8:00
FeliCa機能など、ITを駆使して無人の管理を実現
NTTドコモでは、NTTグループ4社が出資する形で、サイクルシェアリング事業を展開する「ドコモ・バイクシェア」を設立。東京都千代田区、港区、江東区、宮城県仙台市、神奈川県横浜市、広島県広島市、兵庫県神戸市(現地の企業に運営を委託)などで実証実験を行ってきたが、利用状況は毎年1.5~2倍のペースで伸びているそうだ。すでに横浜市では3年間の実験が終了し、実運用に移行している。
電気工事の必要なく、システムを利用可能
東京都市部のカバー率は高まる
コミュニティサイクルとは、地域内に自転車の貸し出し、返却のできる複数のサイクルポートを設置し、利用者はどのポートでも自転車を借りることができる共同利用サービスを目指す。自転車活用によるCO2の低減などの効果があり、環境に配慮した運用が可能だ。また、電車やバスを補完できるネットワークを構築できるのが魅力となる。
従来のコミュニティサイクルでは、駐輪場の工事を行う必要があり、電気工事が必要となっていたが、NTTドコモでは通信機能やGPS機能、自転車の貸出・返却制御や電動アシスト機能のバッテリー残量の把握などの機能を自転車本体が有しており、無人管理が実現できる。ドコモ・バイクシェア 企画部長 井上佳紀氏は、「自転車本体に機能を持たせ、通信ネットワークで管理するのは世界初のシステムとなります」と説明する。
新たに東京都中央区でも2015年10月からのサービス開始が決定し、東京都市部のカバー率は高まった。現在、全国で1,755台を運営しており、中央区がスタートすれば2,000台規模になる予定だ。
利用の傾向としては、ビジネス街にポートが設置されている場合は、平日に利用が集中する傾向がある。また、お台場のように、観光やレジャーのスポットに設置されているところは休日の利用が多いという。利用状況については、GPS機能を利用してモニタリングを行っており、日々、閲覧しながら、混雑するポート等の対応を検討している。
自転車の貸し出しには、FeliCa対応おサイフケータイもしくはFeliCaカードを利用する。利用者はサイクルポートにおいて、自転車操作パネルの【START】ボタンを押し、自転車の操作パネルにICカードもしくは携帯/スマートフォンをかざすと、電子錠が自動で開き、自転車を利用可能だ。FeliCaについては、自治体がカードを540円(税込)で発行するか、普段利用しているICカードを利用する方法のいずれかを選択できる。NTTドコモ ライフサポートビジネス推進部 環境事業推進 エコロジービジネス担当 ネットワークスペシャリスト 大町翔太氏は、「比率としては、自身がお持ちのカードをお使いのケースが多くなっています」と話す。それ以外にも、メールでパスワードを送信して、PINを入力することにより開錠することが可能だ。
都内四区では、区をまたいだ運用を検討
レンタルサイクルの仕組みを電動車椅子にも活用
今後は自治体だけではなく、デベロッパーと組んでマンションの駐輪場で利用することも考えている。また、高島屋と業務提携を行い、新宿髙島屋の自転車置き場にレンタルサイクルを設置することで、訪日外国人向けに自転車を貸し出す取り組みも実験的に開始したそうだ。
ビッグデータの活用については、ポートの再配置に加え、どのような使われ方をされているのかを把握すれば、都市開発行政にも活用してもらえると考えている。たとえば、「一時駐輪をした情報が分かれば、新しいポートを作る検討の材料になると思います」と大町氏は構想を口にする。
なお、利用者がコミュニティサイクルの空き状況を確認できるスマートフォンアプリについては、現在開発を進めている。
今後の展望としては、2015年2月には、千代田区、港区、中央区、江東区と東京都で基本協定を締結。区をまたいだコミュニティサイクルについても協議を進めている。四区では同様のシステムを利用しているため、本格展開の際も迅速に実施できるとしている。
また、ドコモは、モビリティシェア事業拡大にも取り組んでいる。たとえば、電動車椅子の「WHILL Model A」にも貸出機能を持たせて、秋葉原のUDXにおいて2台を無料で貸し出す取り組みを10月から開始する。さらに、RT.ワークスが開発した電動歩行アシストカート「ロボットアシストウォーカーRT.1」をドコモのモビリティシェアシステムに対応させる実証実験を開始している。
井上氏は、「政令指定都市を中心に導入を広げていきたいという思いがあり、東京都内でも多くの区に採用いただければと考えています」と意気込みを語った。