2015年10月22日8:30
20%まで電子マネーの比率を高めることが目標に
エフコープ生活協同組合(エフコープ)は、福岡県内に15店舗を構え、46万人の組合員が加入する生活協同組合(生協)となる。同組合では、全店で利用可能な電子マネー(ハウスプリペイドカード)「エフコープぷるか」の提供を2015年5月27日より開始した。
100ポイントから100円として利用可能に
再来店の促進とキャッシュレスによるスムーズな決済を実現
「エフコープぷるか」は、買い上げ金額200円(本体価格)ごとに1ポイント付与し、貯まったポイントは100ポイント100円として、100ポイント単位で利用可能だ。また、ポイントサイトにて20ポイントから景品と交換ができる。店舗では、レジ袋が不要な組合員や買い物袋持参者に、環境保全活動参加のお礼として1ポイントを加算している。また、1回のチャージ額上限は4万9,000円で、カード1枚の入金上限は5万円となっている。
エフコープでは、従来、組合員向けにポイントカードを発行していたが、ポイントサービスを提供するブルーチップ、プリペイドカードサービスを展開するレピカと連携し、「エフコープぷるか」の発行に至った。
従来のポイントサービスでは、500ポイント貯まると商品券に交換できたが、3枚貯まらないと「お買物券」として利用できなかったという。また、商品に交換するためには500ポイントが必要だったため、利用してもらうまで時間がかかるのが課題だった。エフコープ 店舗支援部 部長 亀井正周氏は、「『エフコープぷるか』の発行を機にポイント制度も見直して、100ポイント貯まったら100円として利用できるようにしました。また、組合員からも電子マネー導入の要望があり、エフコープとしても現金とクレジットカードに加え、電子マネー導入による決済手段の拡充により、組合員の利便性を高めていきたいと考えました」と説明する。導入に向けては、非接触電子マネーの提案もあったが、経済条件なども含め、自社で使えるプリペイドカードを選択した。
エフコープでは、約3年前に券面に印字機能が付いたリライトカードからサーバ管理型の磁気カードに切り替えた。これにより、組合員番号と紐づけることができるようになり、誰に何枚カードを発行しているのかが把握できるようになった。今回、ポイント制度を刷新するとともに、電子マネー機能をプラスすることで、ポイント付与による再来店の促進とキャッシュレスによるスムーズな決済で、レジ効率の向上を図っている。
店舗で決済に利用している割合は約13%
1会計当りの購入金額は現金での決済よりも多い
カード発行枚数は2015年7月末時点で約11万枚。また、店舗で電子マネー機能を利用している人は13%前後となっている。チャージについてはPOSで行っており、規模の大きな7店舗ではチャージ機による入金も可能だ。
通常は、店舗での決済にのみポイントを付与しているが、6月から7月にかけてチャージでポイントを付与するキャンペーンを実施。「その成果もあり利用が10%台まで伸びた」と亀井氏は成果を口にする。今後も利用を活性化させるキャンペーンを不定期に実施する予定だ。また、将来的には電子マネー決済によりポイントが2倍になるといったことも考えていきたいとしている。
これまでの成果として、6月、7月の1件当たりのチャージ金額は平均5,000円を超えている。当初はいくらチャージしてもらえるのか想定できなかったが、組合員の利用傾向が掴めてきたそうだ。また、組合員の中には、上限金額をチャージする人も見受けられるという。さらに、現状の利用の中心は、40代、50代の主婦層が占めている。
電子マネーを利用している組合員の一回当たりの利用金額は、現金よりも高めに推移している。6月のデータでは、全体の1会計当りの利用金額は1,800円台だったが、電子マネーは2,000円台となった。
小銭のやり取りが少なくなるため、レジのスタッフも負担も軽くなっているが、「組合員の購入金額から損益分岐を出すと、実際の供給高や粗利益などを加味すれば20%まで利用率が高まれば、さらに効果が表れます。エフコープの商圏は、競合店も多く、店舗を使い分けている人もいるため、再来店を促すツールとして結び付けていきたい」(亀井氏)としている。
なお、レジスピードの向上については、現状はカードを組合員に説明する時間もあり、目に見える成果は表れていないが、利用率の伸びに従い、効果は表れると期待している。
チャージ機能を利用して再来店を促す
今後は、チャージ機能をうまく利用して、再来店の動機づけにつながるような取り組みを打ち出していきたいそうだ。ブルーチップからは顧客の購買動向のデータが提供されるため、実際に現金と電子マネーの利用者の利用傾向、商圏別の年齢層の分析を行う方針だ。また、これまでも上位ランクの組合員にクーポンを配布する取り組みは行ってきたが、電子マネーの利用と絡めたマーケティングも検討していきたいとしている。