2015年12月14日9:02
台湾のCastles Technology Co.,Ltd.(キャッスルテクノロジー)は、クレジットカードやEMV(接触・非接触)に対応した決済端末をグローバルに展開している。近年は、日本がグローバルの中でも成長市場となっているそうだ。
2015年には500万台を出荷
日本では累計100万台の実績
Castles Technology は、1993年に設立。決済端末のビジネスを20年以上に渡り、約50カ国で展開している。主にPOS端末、PINパッド、コンタクトレスリーダを製造しており、2015年には500万台を出荷。グローバルでもトップ5に入るという。
海外には、アジア、中東、ヨーロッパなどに数多く端末を出荷しており、「日本は成長している市場の1つです」と、Castles Technology Chief Strategy OfficerのWinston Fong氏は説明する。国内では、岡山のネットアライブが提供する決済端末、三菱UFJニコスの「J-Mups」等で採用されているそうだ。具体的な採用事例として、ディズニーストア、マクドナルドでのNTTドコモの「dカード」のポイント端末等が挙げられる。
日本では、EMV化などの要因により出荷が伸びているという。同氏は、「日本の決済端末ベンダーが持っている技術と同等のサービスを提供することで、シェアを取っていきたいです」と話し、笑顔を見せる。日本は、国産メーカーが強い市場だが、すでに累計100万台を出荷しているそうだ。また、市場からの機能についての要求も厳しいが、Castles Technologyのオフィスを銀座に設置し、ローカルに対応できる準備を整えている。
日本で展開するうえでのアドバンテージは?
セキュリティに加え、日本の電子マネーにも対応
「台湾は親日であり、日本とカルチャーも近く、密にお客様に対応できる準備はできています。また、弊社は決済端末に関する技術をインハウスで提供しており、製品の品質を担保できる独自の技術も持っています。PCI PTSやEMVのセキュリティ、日本のローカルな電子マネーにも対応しています」(Winston Fong氏)
Castles Technologyが日本で展開するアドバンテージとしては、EMVコンタクトレスへの対応も挙げられる。EMVコンタクトレスは、欧州や北米では必須に近い機能となっているが、同社では少ない製品でマルチに対応できることが強みとなっているそうだ。開発スピードが速い点、リモートコントロールが行える点も差別化となる。
また、据え置きやモバイル端末に加え、モバイルPOS(mPOS)も提供しており、たとえば台湾のクロネコヤマトでは4,000台が採用されたという。
タブレットタイプの新製品の「SATURN1000」を出展
多機能端末をSME等に提供へ
フランスで開催された「CARTES SECURE CONNEXIONS 2015」では、新製品の「SATURN1000」を展示。磁気とEMVコンタクト、EMVコンタクトレス、Bluetoothなどの機能を備えており、FeliCaにも対応する。PINはタッチパネルに入力するが、PCI PTSに対応している。
タブレットタイプの製品は海外でも複数の企業が提供しており、比較的に安価な価格で提供しているが、「弊社はペイメントテクノロジーカンパニーであり、他社にはないノウハウがあります。また、コンペチターと比べてもコスト面で優位性があります」と、Winston Fong氏は自信を見せる。「SATURN1000」は、主に中堅企業に向けて提供していく方針だ。新端末のため、これから市場投入へのマーケティングを行うが、まずは米国やヨーロッパを中心に展開する予定だ。
現在、決済端末ベンダー同士の競争は激しくなっており、グローバルで端末の価格は減少傾向にある。そんな中、「クオリティ、サービス、システムインテグレーションがコストとは別にあるため、弊社ではコストだけではなく包括的に考えています。決済端末は5年間が償還期限ですが、その間のアフターサービスも含め、長い目で見て優位性があるように取り組んでいきたいです」と、Winston Fong氏は意気込みを語った。