2016年1月18日8:00
国内最大規模の決済プロバイダーとして多岐にわたるサービスを展開
デジタルガレージグループのイーコンテクストとベリトランスは、国内最大規模のEC決済プロバイダーとして、国内はもちろん、アジアのインドネシアなどで決済サービスを提供してきた。両社では、EC決済サービス、送金サービス、対面決済など、さまざまな加盟店に対し、サービスを提供している。
国内EC市場と比例した成長を続ける
「IVR決済」などほとんどのサービスを国内で開発
デジタルガレージのペイメント部門は、2015年6月期の決算発表で145.6億円の売り上げとなり、国内のEC市場の伸びと比例した成長を続けている。両社が提供する決済サービスの特徴として、「自社開発したシステムであるため、サービスの組み込みやすさ、汎用性、拡張性については、強みであると考えています」と同社では自信を見せる。また、新サービスについての技術チームの対応の速さも差別化のポイントとなっている。
たとえば、コールセンターのオペレーターが消費者のクレジットカード番号に直接触れることのない音声自動応答によるASP決済サービスである「IVR決済」は自社で開発し、特許を取得済みだ。
葬祭や免許など新市場開拓に注力
リアルではVeriTrans mPOSに加え、Alipay決済を支援
両社では、マルチ決済を推進しており、イーコンテクストはデジタルコンテンツや旅行、チケット、資格試験、ベリトランスは通信販売等の加盟店が多い。近年はクレジットカード決済が利用できる新分野の開拓にも注力。ベリトランスでは、葬祭クレジットカード決済サービス「セレモニーPAY」、イーコンテクストでは全国の指定自動車教習所向けに「免許PAY(免許ペイ)」の提供を行うなど、オンライン化されていない新たな領域の開拓を進めている。
また、ベリトランスでは、MasterCardの「MasterPass」、楽天の「楽天ID決済」、LINEの「LINE Pay」など、ID決済サービスを積極的に取り込んでいる。さらに、TFペイメントサービスと連携し、nanacoの電子マネー支払いを提供するなど、対応する決済手段を拡充してきた。ただし、ベリトランス、イーコンテクスト共にクレジットカードの取引が圧倒的で、次いでコンビニ決済、ペイジーの比重が多くなっており、「ID決済や電子マネーについては対応していますが、それによって収益化を図るよりかは、ニーズに合わせて利便性の高い決済パッケージを提供していくのが基本方針となっています」と同社では説明する。ID決済や電子マネーの事業体は多くの潜在顧客を抱えており、加盟店によっては送客効果を期待できるなど、副次的な効果が見込めるそうだ。
リアル店舗向けには、スマートデバイスと接続可能な「VeriTrans mPOS」を展開。すでに端末やセンターのEMV対応は完了しており、特に訪問販売や修理業者などからの引き合いが多く寄せられている。また、カカクコムが提供する食べログの「食べログPay」やNTT西日本の「フレッツ・スマートペイ(スマートフォンタイプ)」では、ICチップの読み取りとスマートデバイスへのサインによる認証が行われているが、端末や決済処理などをOEM提供でサポートしている。
さらに、Ant Financial Services Group傘下の決済サービス「Alipay」のQRコードを「Airレジ」にかざすことで決済できるサービスをリクルートライフスタイルが運営する無料のPOSレジアプリ「Airレジ」で開始したが、ベリトランスでは決済処理を担う。すでに大手小売企業でサービスが行われており、売り上げも順調に伸びているそうだ。
送金サービス「CASH POST」が想定以上の伸び
コインと提携しビットコイン決済を開始
一方、イーコンテクストについては、マルチ決済を推進しており、統一した管理画面で決済の管理が可能だ。同社は、コンビニでのキオスク端末を利用したリアル決済の先駆け的存在であり、コンビニ決済で業界二位の実績を誇る。また、CtoC取引のBASE、楽天などのコンビニ決済を支援している。
さらに、イーコンテクストが提供するオンライン銀行振込による送金サービス「CASH POST」は想定以上の伸びがあるそうだ。イーコンテクストでは、CASH POSTの提供から約4年となるが、サービスの認知が進み、ECサービスの返品・返金対応、航空会社の返金対応、CtoCサービスの支払いなどで利用されるケースも出てきた。
新たな取り組みとして、ビットコイン事業を推進するシンガポールのQUOINE Pte. Ltd.(コイン)と提携し、同社の決済サービス「イーコンテクスト決済」にて「ビットコイン決済」の提供を開始した。
デジタルガレージグループとしての展開を強化
両社では今後も「売り上げや成長率で業界をリードしていきたい」と意気込みを見せる。また、国内に加え、東南アジアなど海外での展開においても継続して力を入れる方針だ。さらに、デジタルガレージグループの各種サービスをパッケージングし、ECの購買活動における入り口から出口までの横断したサービスを提供していく方針だ。