2016年1月26日8:49
MasterCardは、国内消費者動向分析レポート「SpendingPulse(スペンディング・パルス)」を日本で提供すると発表した。SpendingPulseは、毎月第3週に定期購読者に送付され、織物・衣服・身の回り品、電気製品、総合小売、燃料についてのレポートを提供する。
カード決済に加え、現金支払いなどを通じてレポート
約150万のルールに基づいて分析
SpendingPulseは、MasterCardの事業部門、MasterCard Advisorsが他のレポートよりも早いスピードで、日本国内の消費者動向及び小売業績についてのマクロ経済分析を提供するレポート出すという。
MasterCardでは、匿名の販売データを数多く保有しているが、カード決済だけではなく、現金の支払いなどを通じてレポート化することで、消費者動向についてのインサイトと市場の指標、早期の概況を提供し、小売業者、投資家、カード発行会社、銀行、政府等をサポートする。MasterCard 日本地区社長 ナンダン・マー氏は、「MasterCardは、業界別にさまざまな指標やあらゆる支払い方法の形態を収集して、日本のビジネスで活用できるデータを日本政府から出てくるレポートよりも早く出すことを目標にしています」と説明する。
SpendingPulseは、1時間で約1億6,000件あるMasterCardのトランザクションをベースとしている。また、MasterCardのデータクレンジング、分析やモデリングの実績を活用。さらに、約150万のルールに基づいて分析を行う。MasterCardでは、200名のデータサイエンティストを有しており、タイムリーな情報を政府が発表する前にレポートすることができるという。
経済産業省のデータとの相関係数が97%で見られる
世界中でSpendingPulseを提供
たとえば、SpendingPulseは、日本の経済産業省が発表するデータ(小売業販売成長率)と相関性が高いデータを反映することが可能だ。MasterCard Advisors シニア・バイス・プレジデント サラ・クインラン氏によると、「日本の小売りの売上と経済産業省のデータとの相関係数が97%で見られています。しかもSpendingPulseは経済産業省よりも2週間早くレポートが出てきます」と自信を見せる。
日本における最初のレポートでは、2015年12月の小売業の販売額が前年比0.8%減少し、全体の小売販売額の前年比の伸びに比較し、総合小売、織物・衣服・身の回り品、そして燃料の販売額が鈍化しているという。一方、電気製品は小売の総合販売額をしのぐ業績をあげている。12月の販売実績は前年比成長率が2014年から2015年にかけて0.6%減少した。
SpendingPulseは現在、ブラジル、カナダ、アメリカ、英国、香港、日本で展開しており、今年の終わりにオーストラリアも開始される予定だ。
なお、日本のMasterCardのペイメントビジネスは国内の消費を上回るペースで成長しているという。国内の民間最終消費支出に占めるカード決済の割合は約14~15%となっているが、「我々の昨年から今年の成長率はGDPに比べて高いので、日本で電子決済比率が低いことを考えると伸びる余地はあると思います」と、MasterCard 日本地区 上席副社長 マーケット デベロップメント 広瀬薫氏は語った。