2016年3月4日8:00
Apple Payデビューの衝撃は大きかった。
巨大隕石のように、世界中のモバイル決済、いや決済業界全体を揺るがした。
国際決済ブランドを巻き込み、イシュアを絡め、マーチャントまで虜にした。
Apple Payのリリースから1年強。
その間にモバイル決済地図はどのように塗り替わったのだろう。
なかには既存決済インフラを侵食しはじめている例もある。
そのいっぽうで、気になるのはApple Payの利用状況だ。
Apple Payは本当に使われているのだろうか。
どんな使われ方をしているのだろうか。
Apple Payの軌跡を追いながら、そのインパクトをレポートする。
■すべてのモバイル決済をペイにした
アップルがApple Payを発表するまでのモバイル決済は「ウォレット」だった。Google Wallet、ISIS Wallet、Square Wallet。モバイル決済の代名詞のように、みんなウォレットをつけた。
しかし、モバイルNFC非接触決済で先鞭をつけたGoogle Walletも、携帯キャリア連合のISIS Walletもなかなか思うような成果を上げられず苦しんでいた。
モバイルNFC非接触決済は死んだ。モバイル決済は飛び立てない。そう言い切ったアナリストもいる。
iPhoneが発売される前には、今度こそモバイル決済機能がつくという噂が立った。それほどアップルのモバイル決済に多くの人たちが期待していた。Android OSとiOSの両方が揃わなければ、モバイル決済は広まらないからである。
そして2014年9月。ついにアップルはモバイル決済機能がついたiPhone6をリリースした。新サービスの名称はApple Walletではなく、Apple Pay(アップルペイ)であった。
ウォレットというネーミングではグーグルやISISの後追いというイメージが強い。ウォレットで支払うのではない。アップルで支払うからApple Pay。支払いはアップルで。そう主張したかったに違いない。
ウォレット機能はPassbookというアプリで対応していたが、それをApple Walletに改名した。決済はApple Payなのだ。