2016年4月14日8:00
「円」・「米ドル」2種類の通貨による支払いに対応
住信SBIネット銀行は、2016年1月27日から、Visa payWaveおよび「円」・「米ドル」2種類の通貨による決済にも対応した、Visaデビット付キャッシュカードの取り扱いを開始した。
日常的な利用で生活口座の活性化を図る
「Visaデビット」と「キャッシュカード」の一体型
住信SBIネット銀行がVisaデビット付きキャッシュカードを発行した狙いは3つ。1つは決済事業の強化だ。同社では、2013年からの三カ年の中期経営計画において決済事業を強化する方針を打ち出しており、SBIカードでクレジットカードおよびプリペイドカードを発行しているため、今回のデビットカードの発行によって3つの決済手段を取り揃えた。
2つめは、プロダクトの強化が挙げられる。同社では、ネット銀行としてさまざまな商品を提供しているが、メガバンクや地方銀行と比べると、生活口座の活性化という面では課題があった。今回、日常的な買い物に利用できるデビットカード発行により、「弊社との取引を長く、継続的にご利用いただくためのインフラになると期待しています」と、住信SBIネット銀行 執行役員 コンシューマー事業部長 依田康裕氏は説明する。
3つめは、決済収益基盤の拡充だ。同社は、住宅ローンの収益が多くを占めているが、今後はコンシューマーや決済事業にも注力していく動きがあるそうだ。
Visaデビット付キャッシュカード発行の意思決定を行う以前からも、「お客様からデビットカードを求める声も上がっていました」と、同部 デビットカード推進グループ長 入戸野真弓氏は口にする。現在、同社の口座数は250万強あるが、Visaデビット付キャッシュカードは「Visaデビット」と「キャッシュカード」の一体型のため、今後、新規に口座を開設してキャッシュカードを保有する人はすべてVisaデビット機能が付く。また、既存の口座開設者については、切り替えも可能だ。
最大1%のポイントを付与
個人に加え、法人カードも発行
機能の特徴も大きく3つ挙げられる。まずは、月間のデビット利用金額合計×0.3%分がポイントとして付与されるが、月々の利用金額に応じて最大1%まで還元率がアップする。高いポイント還元率を設定することで、同社のカードを選んでもらう動機づけを図る。また、1ポイント1円として1,000ポイントから現金に交換可能だ。
2つめは、1枚のカードで、「円」・「米ドル」2種類の通貨による決済が行えることだ。入戸野氏は、「米ドルでご利用いただいた場合には弊社の外貨普通預金口座から即時で引き落としができる体制を整えています。その場合、為替手数料がかからず海外利用手数料もいただきません。円から外貨預金にする時の為替手数料は15セントで業界でも最低水準であり、また、海外でお使いいただいた場合でもポイントが付与されます」と特徴を述べる。
3つめは、日本のVisaデビットで初めて、Visaが提供する非接触IC決済サービス「Visa payWave」を搭載した。海外ではVisa payWaveが当たり前のように利用されている地域もあり、2020年の東京五輪に向け、国内でも利用環境が整備されていくとみている。
そのほか、同カードでは、個人の利用者に加え、法人格を持つ企業に対しての法人向けデビットカードも提供。利用については、中小企業を想定している。
今回のVisaデビット付キャッシュカード発行に合わせ、同社では口座開設年齢を18歳から15歳へ引き下げた。これにより、住宅ローンや資産運用といった商品を利用する30代、40代のビジネスマンに加え、若年層や主婦など、より幅広い層に利用してもらえると期待している。
なお、高速道路や機内販売など、国内特有のインフラ面の課題から利用を制限する加盟店もある。サービス開始当初は継続課金の利用も制限しているが、春以降は一部開放することも検討しており、生活シーンで便利に利用してもらいたいとしている。
発行目標については公表していないが、同社では年間30万~40万の新規口座開設があり、従来のキャッシュカードからの切り替えを想定すると、おおよその数字が見えてくるという。また、すべてのキャッシュカードにVisaデビット機能を付帯するため、稼働率は25%程を想定。同社では、サービス開始に合わせVisaデビットサービス開始記念キャンペーンを実施するなど、稼働率アップに向けた施策を行っている。
依田氏は最後に、「東京五輪に向けて、デビットカードは徐々に認知されるようになり、普通に日本でも利用されるようになると思いますので、そのインフラに乗ることができたのは大きいです。弊社で口座開設をしていただくお客様のベースとなる入り口の商品として、多くの方にご利用いただきたいと考えています」と意気込みを語った。