2016年3月17日20:41
Visa Inc.は、米国時間の2016年3月9日、世界 70カ国の経済成長における電子決済の影響を分析した2016年度調査の結果を発表した。同調査は、Visaからの委託を受けムーディーズ・アナリティックスが実施したもので、2011年から2015年までの期間、対象の70 カ国においてクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードなどの電子決済商品の利用が拡大した結果、GDPが2,960億ドル(約33兆4,480億円)増加し、商品やサービスの家計消費が年平均で0.18%上昇したことが示された。また、調査対象の5年間における電子決済の利用増により、年平均で260万もの新規雇用が創出されたと推計している。調査は、世界のGDPのほぼ 95%を占める70カ国を対象に実施された。
調査結果は、ムーディーズの報告書『電子決済化による経済成長効果(The Impact of Electronic Payments on Economic Growth)』にまとめられており、決済の電子化は各国政府に恩恵をもたらし、よりオープンで安定したビジネス環境の実現に貢献したとされている。さらに、申告漏れの多い現金による経済活動、いわゆるグレーエコノミーの縮小にも、電子決済化は貢献。その結果、電子決済化を通じて、政府における潜在的税収増加、現金処理費用の減少、加盟店に対する支払い保証、消費者における金融サービスへの参加促進といった効果が見られた。
日本に関してみてみると、電子決済利用の拡大は、2011~2015年期の日本経済に対して、107.4億ドル(約1兆2,136億円)増という効果をもたらし、年平均27,840件相当の雇用も新たに生み出している。なお、アジア諸国でみると、カード利用増加に伴いGDPが平均 0.06%増加しており、中でも、タイ(0.19%)、ベトナム(0.14%)、シンガポール(0.1%)では、GDP の加重平均の増加が最大となっている。増加の一因としては、東南アジア諸国でのインターネットの利用拡大が挙げられ、インターネットへのアクセスが容易になったことで、同地域の消費者がさまざまな形態の電子決済に関する知識を得て利用できるようになったと考えられる。アジア諸国の年間雇用数については、大きな人口を有する国で最大の増加が見られた。特に、平均雇用増加件数が最大であったのは中国(427,000件増)とインド(336,000件増)であり、両国では、労働生産性の急成長とカード利用増加の相乗効果により、雇用が大きな伸びを示している。このような新興国市場にけん引され、年間の平均雇用増加件数は、新興国市場グループ(43,600 件)が先進国(14,800 件)を上回る結果となっている。