2016年6月2日11:40
UAEの3,000店舗で「Beam Wallet」による「MasterPass」支払いが可能に
UAEのドバイでは、消費者のモバイルアプリとBluetooth対応の専用Beacon(ビーコン)を活用した対面決済「Beam Wallet」が展開されている。「Beam Wallet」では、MasterCardのデジタル決済サービス「MasterPass」による支払いが可能だ。
Carrefour、COSTA、SUBWAYなどで利用可能
Beaconの通信距離は店舗によって異なる
「Beam Wallet」は、現在、Carrefour(カルフール)、COSTA(コスタ)、SUBWAY、COLD STONE、ENOC(エノック)など、ドバイを中心にUAEの3,000店舗で展開されている。
MasterCardとBeamでは、2016年5月31日、6月1日にドバイで開催された「Cards & Payments Middle East」において、スマートフォンアプリ(iOSおよびAndroid)「Beam Wallet」と、MasterCardが展開するデジタル決済サービス「MasterPass」を活用したデモを実施した。
具体的には、ドバイのガソリンスタンドであるENOCを想定したデモを実施。利用者は「Beam Wallet」アプリを立ち上げ、暗証番号を入力し、給油機の番号を選択すると、認証が行われ、「MasterPass」によるチェックアウト支払いが行える。スマートフォンアプリとBeaconとの接続はBluetoothで行われる。
スマートフォンとのBeaconとの通信距離は業種によって異なる。例えば、ENOCなどのガソリンスタンドでは、ユーザーが車に乗ったまま接続するため、通信距離は長く設定されている。逆にカルフールでは、レジのスタッフと対面でのやり取りのため、距離は比較的短く設定されているそうだ。
「Beam Wallet」はドバイで初めて対面でのモバイル決済を可能に
MasterCardはBeamの買収でビジネスを加速
「Beam Wallet」を提供するBeamは、UAEで初めて、消費者のモバイルを使って支払いを実現させた企業である。MasterCardはBeamを買収することで、モバイルウォレットのビジネスを加速させる目的があったという。
MasterPassは現在、オンラインでの「チェックアウトサービス」、「ウォレットサービス」、「高付加価値サービス」の3つの機能を提供している。現在、MasterPassは世界25万店舗で利用可能だ。海外では非対面でのチェックアウトでの支払いが多いが、ドバイでは対面でのチェックアウトが先行して進んでいる。「Beam Wallet」では、MasterCardブランドだけではなく、他のブランドのカードでも支払いが可能な点も特徴となっている。
Beamでは、スウェーデンでもサービスを展開しているが、今後はUAE以外の中東でも「Beam Wallet」を広げていきたいとしている。
「Beam Wallet」のダウンロード数は30万
ドバイでのNFC等の非接触決済の状況は?
「Beam Wallet」のダウンロード数は約30万。MasterCardでは、「Beam Wallet」は、斬新で、ハイテクなシステムを提供しており、将来的に必ず成功すると考えている。MasterCardのビジョンは、デバイス、チャネル等を問わずに、誰でも、簡単に、支払いが行えることとなる。同社では、カードに加え、モバイルを活用したサービスを世界中で広げることで、顧客利便性を高めていく狙いだ。
なお、MasterCardでは、かざすだけで支払いが可能な非接触IC決済サービス「MasterCard Contactless」を展開しているが、ドバイではモバイルウォレットによる支払いが先行しており、カードやモバイルによる非接触IC決済の普及はこれからとなるそうだ。