2016年11月4日8:31
FinTechの主要ターゲットの1つである決済や送金に関するカテゴリーでは、B2C(事業者―個人)やC2C(個人間)のリテール分野においてスマートフォンによるモバイルペイメントが引き金になってイノベーションが起きていることに加え、B2B(事業者間)における各種経費支払や調達などにおいてもイノベーションが起きている。「世界の決済・ 送金サービスのイノベーション」は、IoP(Internet of Payments)などオンラインベースと、パーチェシングカード(購買・調達)カードなどのカードベースのB2B(企業間)のペイメントのイノベーションについて紹介している。
小切手ベースの決済や銀行振込などに比べてコストは4分の1以下に
FinTechにおけるペイメント分野のイノベーションは、B2CやC2Cなど消費者が関わった決済におけるNFCやQRコードなどによるインストアのモバイルペイメントやインアプリのクラウド型決済、モバイルPOSペイメントなどのスマートフォンやタブレット端末機などのモバイルデバイスを用いたものやオンラインベースの決済・送金サービスの分野を中心に新たなサービスや事業が生まれている。
一方、各種経費支払や用品調達のためのB2B(事業者間)の決済におけるイノベーションは、電子インボイスによる請求支払やダイレクトデビットなどのオンラインベースとクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードといったペイメントカードベースの決済が注目されている。バーチャルカードを含むカードベースのB2B決済は、リアルの店舗における決済とオンライン決済のいずれも可能であるが、オンラインベースの決済は、オンライン上の決済に限られ、店舗などでの決済には用いられない。カードベースのB2Bペイメントは、従来の小切手ベースの決済や銀行ベースの振込などに比べて4分の1以下のコストで済むといわれている。
B2Bペイメントイノベーションの分類は?
FinTechにおけるオンラインベースのB2Bペイメントイノベーションには、Ebury(イギリス) やPayoneer、TRAXPAYなどの低コストによる国境を超えた事業資金決済である「クロスボーダー(国際)B2Bペイメント」、Go Cardless(イギリス)、Access Pay(イギリス)、Twikey(ベルギー)などのキャッシュフローの改善につながる口座振替の「ダイレクトデビット」、Armorのサプライヤーとバイヤーとの間で決済保証を仲介する「エスクローサービス付きペイメント」、Taulia、TRADESHIFT、Viewpostなどの紙ベースの請求書を廃した電子請求・電子支払の「電子インボイス」、C2FO、Kick Pay、Fund Boxなどのファクタリングなどによりキャッシュフローの管理や最適化を図る「B2Bキャッシュフローマネジメント」、イギリスのSage Payのモバイルアプリを用いた「モバイルB2Bペイメント」の7つのカテゴリーがある。また、FinTechにおけるカードベースのB2Bペイメントイノベーションには、法人・事業者カードである「パーチェシングカード」(P-Card)がある。
なお、日本では、オリコが加盟店サービスとして、電話やFAX、Web(ネット)による卸・仕入決済サービス“B2Bサポートプラン”を提供している。