2016年12月5日9:58
ブルガリアのDATECS(ダテックス)は、スマートフォンと連携した決済端末(mPOS)を提供する企業だ。同社のモバイル型決済端末「BluePad-50」は、日本でも三菱UFJニコスと連携し、KDDIのau直営店等で導入されている。グローバルでも出荷台数が増加するDATECSの決済端末の強みについて、Executive DirectorのPenCho lliev氏に話を聞いた。
グローバルでは25万台のmPOSを出荷
スウェーデンのiZettle等に端末を提供
――まずは、ダテックス様のビジネスについて、お聞かせください。
PenCho lliev:ダテックスは5~6年前から決済端末のビジネスを開始しました。以前はキャッシュレジスター、プリンター等の販売がメインビジネスであり、日本のシチズンがパートナーでした。現在は、日本の三栄電機がダテックスのメンバーになりました。
決済端末のビジネスはスタート当初は苦労もしましたが、現在はノウハウも蓄積し、今年はグローバルで25万台のmPOSを出荷しています。主要なパートナーとして、スウェーデンのiZettle(アイゼトル)が挙げられます。また、欧州で2番目に大きいmPOS企業も弊社のパートナーとなっています。近年はマレーシアのFirst Paymentがタイで銀行に弊社のターミナルを提供されています。
日本でも「BluePad-50」がFeliCa Mクラス認定を取得しました。また、三菱UFJニコスと提携し、au直営店舗に「BluePad-50」を導入するとともに、(日本人なら誰でも知る)大手店舗でパイロットが展開されています。
EMVコンタクトレスは各国際ブランドに対応
自社での端末の開発力が強み
――世界にはMIURA SystemsやSpire Paymentsなど、mPOSを販売する大手企業がありますが、貴社の強みについてお聞かせください。
PenCho lliev:EMV Contactless(非接触機能)は、Visa、Mastercard、American Express、Discoverの認定を取得しています。また、来年の1月もしくは2月には銀聯の認定を取得する予定です。さらに、EMVスキームであるカーネルは自社で開発しているのも特徴です。以前はCreditcall(クレジットコール)のカーネルを使っていましたが、現在はすべて自社での開発に切り替えました。
弊社の強みは、カードの読み取り機能の開発、ファームウェアの開発、iOSやAndroid、WindowsなどのSDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)の開発などが挙げられます。他のmPOSを展開する会社は、開発・生産を外部企業に委託している部分もありますが、弊社はすべて自社で行っているため、迅速に対応が可能です。また、POSのソフトウェアを提供している企業が簡単に彼らのシステムの中にインテグレーションすることができます。
グローバルでは50万台の出荷を目指す
日本ではSuica等の交通系電子マネーにも対応へ
――日本の決済端末市場は、外国の端末メーカーにとって難しいと言われています。
PenCho lliev:日本は欧州に比べ、EMVを理解している開発者やエンジニアが少ないこともあり、難しい市場です。ただ、三菱UFJニコスと連携したことにより、多くの会社から引き合いが寄せられるようになりました。たとえば、欧州でも以前は別の会社の端末を利用していたiZettleが弊社の良さを理解していただき、切り替えていただいています。
――今後の目標についてお聞かせください。
PenCho lliev:来年はハーフミリオン(50万台)を出荷したいですね。日本では1~2万台をまずは達成させたいです。非接触機能では、Suica等の交通系電子マネーも利用できるようになる予定です。
※取材は2016年11月29日~12月1日まで、フランス・カンヌで開催された「TRUSTECH(トラステック)」にて