2017年3月24日11:18
じぶん銀行とセブン銀行は、2017年3月23日に東京大手町のKDDIホールで記者説明会を開催し、キャッシュカードを使わず、スマートフォンのみでATM入出金を利用できるサービス「スマホATM」を発表した。3月27日から、じぶん銀行の口座保有者は、2万3,000台以上のすべてのセブン銀行ATMでアプリケーションを使い利用できる。スマートフォンによるATM入出金サービスの全国規模での本格展開は、日本初の取り組みとなる。
セブン銀行ATMは全国2万3,000台以上設置、海外カードに対応
スマホで入出金できるサービスとして、全国規模での本格展開は国内初
2001年開業のセブン銀行は、国内屈指のATMネットワークを構築しているという。使えるカードは600種類、全国2万3,000台以上、年間8億件の取引がある。セブン-イレブンのネットワークに加え、駅・空港、商業施設などへ2,100台を設置している。セブン銀行ATMでは、海外発行カードへの対応、バリアフリー対応(音声ガイダンス・杖対応)、電子マネー「nanaco」のチャージなどの機能も有している。
じぶん銀行は、KDDIと三菱東京UFJ銀行が各50%出資し、2008年設立。240万口座を有し、預金は7,600億円となっている。2016年6月にはじぶん銀行のアプリを全面リニューアルし、「タイムライン」を日本の銀行で初めて導入した。また、2017年3月27日は同機能を刷新し、タイムラインへの通知情報を大幅に増やした。
両社では、2016年6月に、じぶん銀行に口座保有者が、キャッシュカードを使わずにスマートフォンを使って、セブン銀行ATMで入出金取引ができるサービスの導入を決定したと発表した。そして、3月27日から、サービスが開始されることとなった。一部の銀行がスマートフォンによるATM入出金サービスを特定のATMのみで実施しているケースはあったが、全国規模での本格展開は国内初の事例となる。
既存のインフラを活用できるQRコードのスマホでの読み取り方式を採用
NFCやQRコードのスマホ生成よりもコスト削減が可能に
利用者は、スマホ銀行ATMで、「じぶん銀行」のスマートフォンアプリを起動し、ATM画面から入金・出金メニューを選ぶと、ATM画面にはQRコードが表示される。利用者はQRコードをスマートフォンで読み取ると、企業番号の「8333」が表示されるが、その番号と暗証番号(PIN)を入力すると紙幣を受け取ることが可能だ。
スマホでのQRコードの読み取り方式を採用した理由として、既存のインフラを最大限活用することで、コストを削減できることが大きかった。たとえば、NFCの場合、ATMの改造が必要であるが、QRはシステムのアップデートで利用が可能だ。QRコードをスマホで生成する場合、ATMへのカメラ設置など改造が必要だが、そういった投資も不要となる。また、iOSとAndroidのほぼすべてのスマートフォンで利用できる。さらに、利用者がQRコードの読み取りに比較的慣れていることも挙げられる。
QRコードはワンタイムで生成、トークン化技術を採用
「LINE Pay」でもQRコードの読み取り方式で展開へ
ATM画面に表示されるQRコードはワンタイムで生成される。また、同仕組みでは、カード番号を別の乱数に置き換えるトークン化技術が採用されているそうだ。そのほか、じぶん銀行のアプリ利用時の指紋認証、仮にスマートフォンを紛失した場合の遠隔で操作不可設定などにより、セキュリティは担保されるという。
なお、セブン銀行ATMにおいて、QRコードを表示させる仕組みに関しては、他の決済サービスでも応用可能だ。すでにLINE Payが提供するコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」上で展開する「LINE Pay」において、2017年春頃より、セブン銀行ATMでLINE Payへの入金(チャージ)と出金を可能とするATM利用提携を実施すると発表されている。今後は、LINE Payはもちろん、さまざまな金融・決済サービスへの展開を図る方針だ。