2017年12月8日11:50
2020年初頭には国内ナンバー1のECを目指す
ヤフーは、2017年12月7日、同社本社で記者懇親会を開催した。2018年春には、かねてから構想していた、スマートフォン決済サービス投入を予定している。また、データ活用にも引き続き力を入れる方針だ。
個々にあった商品やサービスをパーソナライズして提案へ
ヤフーの売上は、2012年の約3,500億円から、2016年度は8,570億円まで伸びている。また、eコマースの流通総額は、5年前は1兆円に満たなかったが、2016年度で1.8兆円となり、約2倍に成長した。IDの利用者は累計では数億となるが、毎月1度でも使っているアクティブユーザーは、5年前の約2,800万から3,898万まで伸びたそうだ。
この5年間は、スマートフォン経由の利用者の獲得にも力を入れているが、スマホ経由のPV(ページビュー)数は約2倍以上、スマホ比率は58%まで成長した。また、eコマースについては、約2.5倍、スマホ比率は46.3%となっている。
2017年はスマホからデータの会社になるための取り組みを強化していく方針だ。メディアデータ、ECデータ、位置データ、オフライン決済データ、PIMデータなどのハイブリッドなデータを組み合わせて、個々にあった商品やサービスをパーソナライズして提案していきたいとした。
ヤフー 代表取締役社長 宮坂 学氏は、「世界で誰も出来ないようなハイブリッドなデータを作りたい」と意気込みを見せた。また、ビデオの視聴データに加え、来春に開始するスマートフォンの決済データを組み合わせていく方針だ。
メディア事業は決済やリアルビジネスとの連携強化を図る
上級執行役員 メディアグループ長 宮澤弦氏は、メディア事業の取り組みについて紹介。2017年のハイライトとして、動画領域の強化が挙げられた。2017年4月から、「日テレNEWS24」「TBSニュースバード」がヤフーチャンネル上で24時間365日、スマートフォンやPCで視聴可能となった。また、さまざまな施策により、動画視聴時間が前年同四半期比として、3.3倍に大幅アップ。
2018年は、Yahoo! JAPANアプリにおいて、生活を便利にする機能と、日常生活のさまざまな課題を解決する機能を強化していく方針だが、「決済やリアルビジネスとの連携を深め、飲食店の予約も、決済もできる世界を実現させていきたい」と構想を語った。さらに、Yahoo! JAPANアプリのフォロー機能からファン同士のコミュニケーションを促進させていく考えだ。
加えて、Yahoo! JAPANアプリ以外のサービスでもタイムラインの動画化、動画チャンネルやライブ配信の充実により、Yahoo! JAPANのサイトに訪れれば、さまざまな動画を楽しめる世界を提供していきたいとした。
「いい買物の日」Yahoo!ショッピングの短日の取扱高は前年比140%
コマース関連については、ヤフー 副社長執行役員 最高執行責任者(COO)コマースグループ長 川邊健太郎氏が説明。
Yahoo!ショッピングは、店舗数で国内トップの数となったが、今年度のトピックとしてソフトバンクとの連携強化を挙げた。ソフトバンクユーザーであればすべての人がヤフープレミアム会員となり、ポイント付与がお得になっている。これにより、ソフトバンクユーザーの取扱高が非常に伸びたという。
また、11月11日の「いい買物の日」は3年目の開催となったが、今年は100社近い企業の協力を得た。Yahoo!ショッピングの短日の取扱高は前年比140%増となるなど、大きな成果が生まれたとした。
Tポイントを活用した取り組みでは、「ヤフオク!」において電子マネー「Yahoo!マネー」で売って、買ってお得にTポイントが手にできるサービスを実施している。また、ブックオフコーポレーション、マーケット エンタープライズと連携し、Tポイント受け取りであれば、お得になる買取サービス「カウマエニーク」も開始した。
川邊氏は、2020年初頭には楽天やAmazonを超えるような、国内ナンバー1のECを目指したいとした。
白河にデータセンター設立、スーパーコンピューター「kukai」を開発
データ利活用については、ヤフー 上級執行役員 最高技術責任者(CTO) 藤門千明氏が紹介。
ヤフーでは、データ活用に力を入れているが、パーソナライズデータの利活用も有効性が検証できてきたという。同社では、福島県白河にマルチビッグデータ活用の処理基盤を強化したデータセンターを増強して建築中だ。
また、ビッグデータ計算能力向上のため、ディープランニングに特化したスーパーコンピューター「kukai」を開発している。さらに、CTO直下にクリエイター人材戦略室を設置するなど、採用分野にも力を入れている。