広島銀行、学生証や職員証、社員証への地域電子マネー「HIROCA」搭載を強化

2018年3月19日8:00

広島の地域インフラとして、自治体での活用も視野に

広島銀行では、2016 年4月11日から、地域電子マネー「HIROCA」の運用を開始した。「HIROCA」カードには、「HIROCA」のほか、イズミの「ゆめか」、フレスタの「スマイルマネー」、「QUICPay」と、4つの非接触決済機能を搭載。地域密着型カードとして、学生証や社員証、広島の自治体などとの連携を強化している。

18万会員、750加盟店を有する
自販機でのHIROCA決済を予定

広島銀行の「HIROCA」は、広島県が公募した「電子マネー方式プレミアム付き商品券発行モデル事業」として採択され、2015年11月25日~2016年2月28日までプレミアム付き商品券として取り扱われた。同期間での利用件数は104万9,445件、利用金額39億8,024万円(チャージ総額39億8,608万円)、利用率99.9%となり、広島県からも高い評価を受けた。2016 年4月11日からは、地域電子マネー「HIROCA」として新たに運用を開始。2018年1月現在、HIROCA会員は約18万名、加盟店は750店舗弱となっている。現在は、イオン、ビックカメラなどの地元資本以外の企業でもサービスが利用可能だ。また、決済単価は500~600円の少額が中心となる。

右から広島銀行 個人ローン部 カードビジネス推進室 室長 倉本英一氏、同部 担当課長代理 延堂光太郎氏

HIROCAの推進に向け、広島銀行が強化しているのは、学生証や職員証、社員証などへの機能搭載だ。現在は、県立広島大学の職員証および学生証、エリザベト音楽大学の学生証、広島の企業である八天堂の社員証などにHIROCAが搭載されているが、「2018年春に向け、さらに9先とHIROCA搭載カードの発行準備を進めています」と、広島銀行 個人ローン部 カードビジネス推進室 室長 倉本英一氏は説明する。

実際にHIROCAを保有し、決済してもらうための取り組みにも力を入れている。例えば、県立広島大学の庄原市キャンパスでは、ほとんどの学生が学生証へのHIROCA搭載を選択しているが、広島市や三原市のキャンパスでは10~15%にとどまっている。そのため、来年度からは、全キャンパスでHIROCA搭載カードを基本にする予定だ。また、県立広島大学内の一部店舗ではHIROCA決済が可能となっているが、さらに自動販売機でHIROCAが利用可能となるよう対応していく予定である。これは大学の入学式に向け、父兄がキャンパスを見学するときにキャッシュレス化が進んでいることをPRしたいという大学側の要望に応えるものである。

県立広島大学の職員証
県立広島大学の学生証の表・裏

倉本氏は、「現金の持ち歩きに不便を感じていらっしゃる工場や、医療現場、大学などでHIROCAの利便性を実感していただきたいです。職場等での利用が当たり前になれば、普段使い慣れたアドバンテージが生き、利用の拡大につながると考えています」と、地域電子マネーとしての発展に向けた構想を口にする。

現状、HIROCAの決済トランザクションは日に300件ほどだが、庄原市、世羅町では順調に利用が伸びている。庄原市および県立広島大学とは、「庄原市街地のにぎわいを創出する」取り組みについて提携しているが、学生が喜ぶようなスイーツやパン屋などの加盟店の開拓に力を入れている。また、庄原キャンパスの学生に、「HIROCA」も利用可能なイズミのゆめタウンで開催されるスイーツフェアを告知し、送客を行うなどの、地域企業と連携した施策を検討中だ。世羅町では毎年果物狩り、花めぐりなどのイベントが開催されているが、HIROCAを使うと特典が受けられる取り組みについても検討している。

行政と連携して地域貢献に活用へ
商品券の電子化を23市町に提案

因島商工会議所および尾道商工会議所では、三井住友カードとJMSがキャッシュレス決済導入に向けた取り組みを行っているが、JET-S端末にはHIROCAの機能を搭載することも可能だ。倉本氏は、「行政と連携することで、広島銀行として地域への貢献ができるのではないかと考えています」と意気込みを見せる。

現在は広島県と連携し、プレミアム付き商品券発行で活用されたHIROCAのインフラを広島県内の23市町で活用してもらうよう働きかけを行っている。同部 担当課長代理 延堂光太郎氏は、「プレミアム付き商品券の取り扱い時に、地域電子マネーのインフラ整備を進めており、紙のプレミアム商品券等を取り扱っている自治体には、商品券の電子化に向け、当行のインフラを積極的に活用していただきたい」と話す。

なお、HIROCAの利用を高めるために、過剰なポイント付与は考えておらず、今後も利便性を高めることにより利用率を上げる方針だ。HIROCAはマンション共用部のセキュリティ機能を持つカード(エントランスキーカードなど)にも搭載することができ、居住者向けにも一体型のカードを発行している。マンションベンダーから居住者に発信する情報についても、イズミと連携し、HIROCAやゆめかの利用を促進する内容を検討している。

年間10社のHIROCA搭載を目指す
広島に根ざした展開が強み

広島銀行では、企業や組織との連携を年間10社程度実現させることを目標とし、1つ1つの成功事例を積み重ねることで、地域インフラとしてHIROCAを発展させる方針で、当面は年2,000万円の決済取引額を目指す。

倉本氏は、「広島銀行には、約230万のお口座と、2万数千社とのお取引きがあり、それは当地域において他社にはないアドバンテージとなっています。広島にお住まいの皆様とのリレーションを磨き、決済スキームを進化させていくことで、将来的にはAmazonが世界で行っているような決済サービスの広島版のご提供も可能だと考えています」と意気込みを見せた。

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