2018年4月4日8:30
LINEとの連携によりマーケティング展開を強化
キリンビバレッジバリューベンダーはLINEとの連携により、自動販売機で「LINE」をかざすとポイントが貯められ、「LINE Pay」での支払いも可能な自動販売機コミュニケーションサービス「Tappiness」を展開。特にオフィス内設置の自動販売機での利用が活発だ。今後はここから得られる購買データを、キャンペーンの展開や、商品開発に活かしていきたい考えである。
ビーコンでスマホと自動販売機をつなぐ
LINE会員の送客に期待
キリンビバレッジバリューベンダー(KBV)は、2017年4月より、自動販売機コミュニケーションサービス「Tappiness(タピネス)」を提供している。「Tappiness」は、専用アプリ不要で、LINEアプリがあれば利用できる。
ビーコンによりスマホと自動販売機を接続し、飲料を購入するごとに「ドリンクポイント」を付与。一定数のドリンクポイントが貯まると、自動販売機で飲料を購入できる特典チケットが発行される。支払方法は現金、LINE Pay、電子マネーから選択可能だ。
KBVとLINEは、2015年に共同で、フレーム付き自撮り写真提供機能「VENDORPHOTO(ベンダーフォト)」を搭載したデジタルサイネージ式自動販売機を展開した。「LINEビジネスコネクト」を活用し、飲料購入時に自動販売機のカメラで撮影した自撮り写真をLINE経由で受け取ることができるというものだ。「Tappiness」はこれに続く、2社の協業第二弾となる。
「LINE様との連携により、社内のデジタルマーケティングの知見が一気に深まりつつあります。VENDORPHOTOは空港やイベントスペースなど限られたシンボル的な場所で展開したのに対し、Tappinessは広範囲でユーザーの日常生活に密着したサービスを提供していきます」(キリンビバレッジバリューベンダー イノベーション推進部部長代理 岡部愼一郎氏)
オフィス内での利用が活発
LINE Pay利用者はリピーターの傾向に
「Tappiness」は2017年4月より首都圏、近畿圏でスタート。7月から他エリアにも展開地域を広げている。2017年末現在で、KBV が管理する自動販売機27万台(コラム換算)のうち、「Tappiness」に対応しているのは1万5,000台。スタート時に掲げた2018年3月末までに2万台という目標は十分達成できる見込みで、今後も積極的に展開数を増やす見通しだ。
「Tappiness」対応機と対応していない自動販売機を比較すると、「対応機のほうが顕著に売上が伸びています」と岡部氏は成果を口にする。
設置場所別では、特にオフィス内に設置された自動販売機の利用率が好調だ。高いところでは80%に近い。逆に路面設置の場合は利用率が低いのが現状。一度利用するとその約7割がリピートにつながるため、いかに初回利用を促すかが課題となっている。
支払方法では現金が最も多いものの、LINE Payを継続して使っている人は利用頻度が高い傾向にあるという。同部 主任 児島由布子氏は、「もともとLINE Payをよく利用する人が、Tappiness対応機を選んでくれているようです。LINE Payの利用者増に伴って、自動販売機の売上も増えていくと期待しています」と話す。
サービス周知を徹底し利用拡大へ
キャンペーンへのデータ活用も視野に
サービススタート当初、KBVとLINEは、初めての利用で10ドリンクポイントをプレゼントしたり、特定商品のドリンクポイントが倍になるキャンペーンを実施。その約半年後の11月には「Tappiness」対応機のそばでLINEアプリを起動し、シェイクした後にキリンの公式アカウントに友達登録すると、先着30万人に150円の「LINE Pay」残高をプレゼントするキャンペーンを実施。また、「FIRE」のリニューアル時にポイント2倍キャンペーンを行い、いずれも好反応を得た。
しかしまだ、利用方法を知らない人も多いため、紙のチラシなどのアナログ媒体も活用しながら、LINEアプリがあれば誰でもすぐに利用できることなどの周知を図っていく。
また、「Tappiness」の非ユーザーも含め、キリンのLINE公式アカウントに友達登録している人に対しては、キャンペーン情報などをプッシュ通知している。
利用者の属性情報についてはアンケートによって得られる性別などいくつかの項目に限られているが、いつ、どこで、何を購入したかのデータは日々、蓄積されていく。KBVでは今後、これを活用して、個人の好みや購買サイクルに合わせたキャンペーンや、ある特定の自動販売機限定のキャンペーンなど、きめ細かな販売促進策を展開していきたい考えだ。また、得られたデータをグループ会社と共有して、商品開発・改善に活かしていく。