2018年5月8日8:00
ビームスでは2016年に、ポイントプログラム「BEAMS CLUB(ビームスクラブ)」をリニューアル。2013年に店舗とECのポイント統合は出来ていたものの、この度、会員IDを統合したことにより、両チャネルで商品を購入する会員が増え、年間購入金額も向上。さらに、ポイントをフックとしたキャンペーンや、MAによるきめ細かなメールマーケティングを実施して、会員のLTV(ライフ・タイム・バリュー)の最大化を図っている。
店舗・ECのポイント・IDを統合
アプリは購買頻度が高い会員が利用
メンズ、レディス、キッズ、ゴルフ、ジュエリーなど多様なカテゴリーの30以上のレーベルで、日本全国でセレクトショップを展開しているビームスは、2002年に会員組織「BEAMS CLUB(ビームスクラブ)」を設立。購入金額に応じてポイントを付与するポイントプログラムを核とするCRM施策を展開してきた。その後、オンラインショップの開設によるチャネルの多角化などにより、ポイント・会員IDの分散・重複が生じていたものを、昨年までに段階的に統合、2016年5月に再スタートを切った。
「ビームスクラブ」の入会方法は、Webサイトで、店頭で受け取ったカード記載のIDおよびPIN番号を入力、あるいは、必要事項を入力してIDを取得。または、スマホアプリ「WeBEAMS(ウィービームス)」からも入会手続きができる。会員証の形態は、カード、モバイル(スマホの会員専用ページ「BEAMS CLUB マイページ」でバーコード表示)、アプリの3通りがある。
同社ではさまざまなタイプの店舗を運営しており、顧客層も幅広い。それぞれの顧客にとって便利なものを提供する観点から、1つに絞ることは考えていない。ちなみにアプリは、年代にかかわらず、購買頻度が高い会員に利用されている傾向にあるという。
2017年末時点での会員ID数は、約600万
両チャネルを利用する会員が大幅に増加
年間購入金額で4つの会員ステージを設置
ID統合により、会員は、「BEAMS CLUB ID」1つでリアル店舗でもオンラインショップでも買い物ができ、共通のポイントを貯めたり使ったりできるようになった。ビームス 事業企画本部 CRM推進部 課長 山崎勇一氏は、「これまで店舗のみで買い物をしていたお客様も、積極的にECを利用するようになりました」と成果を述べる。
また同社では、ID統合と同時に、ECサイトを、「BEAMS公式オンラインショップ」に一本化。以前は会員宛てにメールなどで商品情報を案内しても、Web上で商品を購入するにはブランドサイトから、ECサイトに飛ぶ必要があったために、途中離脱が多かったが、一本化により離脱率を下げることができた。
さらに、Webサイトから店舗での試着、取り置きの申し込みができるサービスも実施して、オムニチャネル化を推進。山崎氏は、「ID統合前と比較して、両チャネルを利用するお客様は増加しており、平均年間購入金額も上昇しています」と胸を張る。
「ビームスクラブ」では、年間購入金額10万円未満、10万円以上、30万円以上、100万円以上の4つの会員ステージを設け、ポイント付与率をそれぞれ3%、6%、7%、9%としているが、会員のランクアップも目立って増えているという。
MAによるメールマーケティングを実施
ポイントを活用したキャンペーンも実施
同社では「BEAMS CLUB」のID統合と同タイミングで、マーケティングオートメーション(MA)を導入。約20以上の顧客セグメントに合わせたコンテンツをタイムリーに発信する、メールマーケティングを実施している。例えば、よくBEAMSをご利用されている人にはサイトの更新情報を案内したり、しばらく購買のない人には思い出していただけるようなメッセージを送ったりといった具合だ。
ポイントを活用したキャンペーンも行っている。ポイントアップキャンペーンを年4回実施しているほか、特定商品を購入した人に対して期間限定ポイントを提供する施策を展開している。
「単にポイントが付くというだけでは購買動機として弱いですが、もうすぐポイントが切れるという時期に駆け込みで購入するお客様は一定比率いらっしゃいます。通常のポイントは最終購買日から1年で失効になりますが、期間限定ポイントを発行することでお客様との接触機会を増やせるというメリットがあります」(山崎氏)
ビームスでは今後もきめ細かなコミュニケーションによって、顧客にとって価値ある情報を提供し、LTVの最大化、売上向上に結び付けていきたい考えだ。