2018年6月26日8:00
スマートフォンのアプリ上で弁護士とチャットで法律相談できる「弁護士トーク」を全国で展開中の弁護士トークは、2018年5月15日から、アプリ上でチャット相談中にそのまま弁護士費用をクレジットカードで支払うことができる決済機能を搭載した「弁護士トーク(プレミアムプラン)」の提供を開始した。同サービス開始の経緯について、弁護士トークに話を聞いた。
チャット上で相談から決済まで完了
目指したのは“弁護士業のEC化”
弁護士トークは、法律業務を支援するサービスとして、2015年10月9日からスタート。一般相談者は、弁護士トークアプリをスマホにインストールすることで、弁護士トークに登録している全国各地にいる弁護士に、メッセージのやりとりだけで簡単、気軽に法律相談することを可能にしており、法律業務を支援するテクノロジー「リーガルテック」の一翼を担う存在だ。現在、累計4~5万ダウンロードあり、一般 相談者は増加している。従来は、チャットでの無料相談機能だけであったが、このほど、チャット相談中に有料の法律事務の依頼を受け付け、その費用をクレジットカード決済ができるサービス(プレミアムプラン)を決済代行事業者のソニーペイメントサービスと共同開発した。
一般相談者は、ネットトラブル、相続等、相談したい内容のカテゴリーを選んで、そのカテゴリーに登録されている弁護士のプロフィールや料金表などから、相談する弁護士を見つけてチャットで相談することができる。弁護士トーク 最高執行責任者 COO 山田遣人氏は、「従来は、弁護士に相談したくてもどの弁護士に相談してよいかわからず、相談することができなかったり、相談することとなっても選択できる弁護士は、面談が可能な範囲から選ぶしかなかったりという状況で、弁護士事務所に訪問して相談するしかありませんでした」と話す。
今回、弁護士トークにカード決済機能を導入したことにより、法律事務所への訪問等は必須ではなく、かつ、相談料、着手金、成功報酬などの弁護士報酬の支払いもアプリ上でできるようになった。弁護士は、一般相談者とチャット上でやり取りをし、受任(課金)することになれば、チャット画面から「請求する」ボタンを押して、請求額が利用者に届く。その金額を一般相談者は決済する仕組みだ。
山田氏は、「こだわったのは、すべてチャットの中で完結するサービスであり、“弁護士業のEC化”でした。弁護士トークでは、アプリ上で契約書など相談に必要な資料を写真で送れますので、地方の弁護士であっても、一般相談者が気軽に相談、依頼することが可能です」と説明する。たとえば、ネットショップであればホームページにおける表示についての違法性、契約書のリーガルチェックなど、ネット上ですべてのやり取りを完結できる。
クレジットカード決済は非通過型決済サービスに対応
クレジットカード情報は非保持を実現
なお、一般相談者のクレジットカード情報(以下、カード情報)は、別の文字列(トークン)に置き換えて決済を行える「カード情報非通過型決済サービス」を採用した。これにより、弁護士トークのサーバーには、カード情報が通過することはないという。改正割賦販売法に規定されるセキュリティ対策義務の実務上の指針である「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画」では、PCI DSSに準拠していない事業者のシステムではカード情報を通過および保持させてはいけないとされており、トークン決済は非通過型決済を実現するシステムの1つだ。
弁護士トークを利用する会員はカード情報を登録することで、2回目以降はカード情報を入力しなくても決済が可能となるが、カード情報自体もPCI DSSに準拠するソニーペイメントサービスに預けて、弁護士トーク側では保持をしない。それにより、弁護士、一般相談者ともに安心してカード決済を利用できる環境を実現した。
弁護士の法律事務受任機会の拡大へ
年内100名、将来的に1,000名の登録を目指す
プレミアムプランスタート前まで、弁護士トークのフリープランは約200人の登録があったというが、順次プレミアムプランへの切り替えが行われている。サービスインの段階で、約15名がプレミアムプランへの登録を行ったが、年内100名の登録を目指している。
山田氏は、「3万円のプレミアムプランにご登録いただくとカード決済をお使いいただくことができます。また、予約台帳アプリ『トレタ』やショッピングカート等と広告提携することで、各サービスをご利用いただいている事業者が法律相談するといった効果も期待できます」と特徴を述べる。なお、弁護士が支払うプレミアムプランの月額でもカード決済に対応した。
現在、国内の弁護士は約3万8,000人おり、毎年2,000人ずつ増えているため、以前よりも収益性は厳しくなっている人も多いという。山田氏は、「弁護士トークの仕組みを通じて、弁護士と、顧問契約を希望する事業者等と知り合う機会をお作りいただき、信頼関係を構築していただきたいです」と意気込みを見せる。弁護士トークでは将来的に、1,000名のプレミアムプランの登録を目指す方針だ。