2019年1月16日8:00
イギリスのDIGISEQは、トークン化されたデータをウェアラブルなどの非接触デバイスに送信するプロビジョニングサービスを提供している。同社の強みについて、フランス・カンヌで開催された「Trustech2018」のMULTOSブースにおいて、CEOのTerrie Smith氏に話を聞いた。
リモートパーソナライゼーションサービスによるトークンシステム
Terrie Smith氏は、「弊社は、バッテリーなくして、リモートパーソナライゼーションサービスによるトークンシステムを開発した世界で唯一の会社です」と強みを語る。
DISESEQは、時計、キーフォブなどのウェアラブルデバイスにトークンデータを安全に送信する技術を提供している。主要な金融機関と生産会社を仲介しており、さまざまなウェアラブルをパーソナライズ可能だ。プロビジョニングは、NFCやBLE(Bluetooth Low Energy)等の技術を利用して行う。利用者は、手にしたデバイスのトークン化されたデータにより、セキュアに非接触決済を行うことができるという。
従来のウェアラブルデバイスでは、指定の金融機関が提供するサービスを顧客に提供するケースが一般的だったが、同社が金融機関とデバイスメーカーの中間に入ることで、利用者自身でウェアラブルを選択し、プロビジョニングおよびパーソナライズできるプラットフォームを設定できる。これにより、デバイスメーカーや金融機関にとって負荷がかかっていた作業を取り除くことができるとした。また、消費者にとっては、さまざまなデバイスで金融機関のサービスを利用でき、また、単一のデバイスに複数のアプリケーションを格納することが可能だ。
主要なカードブランド、チップメーカーと連携
DIGISEQでは、決済におけるトークン化の独自のポジショニングを形成することで、Apple、PayPalなどと共に、Mastercardのデジタルイネーブラのうちの1つとなっている。また、VisaやAmerican Expressなどとも連携。さらに、STマイクロエレクトロニクスやインフィニオン・テクノロジーズ、ジェムアルトなど、さまざまなチップメーカーのデバイスをマネージできる。
Terrie Smith氏によると、ウェアラブルデバイスによる支払いは、静かなブームが起きているとした。オランダのある銀行がウェアラブルデバイスを顧客に提供した結果、使用した7割の人がカードよりもウェアラブルデバイスの方がいいという結果となったそうだ。DISISEQでは、安全なプロビジョニングの技術を提供することで、世界中でウェアラブルデバイスの利用者はさらに増えると期待している。
※取材は「Trustech2018」のMULTOSブースにて。