2019年7月11日8:00
大手企業に加え、中小の小売業者のキャッシュレス化も支援
出荷台数世界トップの決済端末プロバイダー、Ingenico Group(以下、インジェニコ・グループ)の日本法人Ingenico Japan株式会社(以下、インジェニコ・ジャパン)。キャッシュレス化が遅れていると言われる日本市場で存在感を高めるための具体的な戦略について説明してもらった。(提供 Ingenico Japan株式会社)
世界の同業、周辺サービスを取り込み成長
インジェニコ・グループは1980年から決済端末ビジネスで創業し、今年で39年目を迎える歴史のあるプロバイダーだ。Nilson Report2018によると、2017年の決済端末年間出荷台数は世界№1を誇る。
インジェニコ・グループを世界一の決済端末プロバイダーに押し上げた原動力の1つに、積極的なM&A(企業の合併・買収)戦略がある。インジェニコ・ジャパン代表取締役社長エリック・グルニェー氏は、「出荷台数で№1のポジションを続けている背景には、端末ビジネスを広げるための同業の決済端末プロバイダーをはじめ、オンラインやゲートウェイなどの周辺サービスの機能を獲得するなど、買収を重ねて、大きくなっていることがあります」と説明する。
インジェニコ・グループは世界170カ国に展開し、オフィスは88、社員数は8,000で88の多国籍だ。2018年の売上高は26.4億ユーロ、稼働決済端末は3,200万台、顧客数は6万5,000社の規模を誇っている。グルニェー氏は、「もちろん利益も出していて、EBIT(Earnings Before Interest and Taxes、税引前当期純利益に支払利息を加え、受取利息を差し引いたもの)20%を超えます」と話す。
スケールメリットを背景にしたコスト競争力
グローバル市場で圧倒的な強さを誇るインジェニコ・グループが、「最後の決済業界のフロンティア市場」と位置付けるのが日本市場だ。日本市場には大手エレクトロニクスメーカー系の強豪が上位を占めるが、グルニェー氏は、「グローバル№1の優位性を生かして、上位に食い込みたいです」と意気込む。
同社の強みは、スケールメリットに裏付けられるコスト競争力の高さだ。年間出荷台数がトップで、稼働端末数も多く、顧客数も多いとなると、同等の性能の決済端末に比べて、価格競争力を持つことができる。
最高技術責任者(CTO) グザビエ・ミシェル氏は、「コスト競争力だけでなく、他社と比べて、R&D(研究開発)や技術力でも上回っており、決済業界のイノベーションをリードする立場です」と話す。決済端末に事業をフォーカスしているため、「決済端末の製品ラインナップでも優位性があり、顧客のさまざまなニーズに対応できる。その上、1つの端末でさまざまなニーズに対応できるほか、ユースケースに特化した形の端末も実現している」という。
日本攻略は端末販売+ソリューションビジネスで
こうした強みを持って、満を持して日本市場の攻略を強化するインジェニコ・グループだが、グルニェー氏は、「今後は、ハード販売だけに頼るビジネスは限界を迎える可能性が強く、顧客の悩みを解決できるソリューション事業への広がりも大事です。インジェニコ・グループはハードだけでなく、オンライン、ゲートウェイも持っており、オムニチャネルへの対応力も高いです」とソリューションビジネスの強化にも自信を示す。
ある家電量販店チェーンの経営者が海外出張した際、インジェニコの決済端末を見て、その使い勝手の良さに感銘を受けて、日本に帰国してから、インジェニコの決済端末の導入を決めたというエピソードもあるといい、「グローバル№1が世界標準としての信頼性につながっていることも強みです」とグルニェー氏は言う。
一方、セールス&ビジネスディベロップメント部部長 矢部啓人氏は、「日本市場で高いシェアを占める国内勢に対抗するには、この決済業界に特化する強みを発揮したうえで、品質へのこだわりも強化していかなければいきません」と話す。ハード、ソリューションに加え、サポート体制も充実させ、市場のニーズや顧客の要望、期待感を理解することで、日本市場で受け入れられるブランドづくりを進める。
グルニェー氏は、「海外では、多少の製品の不具合は問題にせず、やり過ごしてしまうケースもありますが、日本の顧客の品質に対する目は厳しいです。日本では何か不具合があったなら、徹底的に原因を解析・追求することが大事で、ものづくりに対する期待感に応えることができる態勢を整えています」と説明する。
今後は、インジェニコ・ジャパンの市場拡大の第二幕として、グローバル企業だけでなく、中小の小売業者のマーケットにも積極的に展開していく。グルニェー氏は、「小さな店舗を開拓していくには、営業力が必要になるため、地元に強い日本企業とパートナーシップを組んでいきます」と話す。
決済業界最後のフロンティアである日本の攻略に本気を出す、世界№1の端末ベンダーの挑戦に期待したい。
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