2019年7月26日8:38
シンガポール通信大手のシングテル テレコミュニケーションズリミテッドの国際部門 シングテル インターナショナルと、スマートフォン決済サービス「Star Pay(スターペイ)」を提供するネットスターズは、2019年7月25日に記者説明会を開催し、シングテルが主導する越境モバイル決済国際アライアンス「VIA(ビア)」サービスを、日本で初めて羽田空港国際線ターミナルの34店舗で利用できるようになると発表した。
VIAは4,000万ユーザー、210万加盟店で利用可能
「VIA」は、シンガポールの通信大手シングテル社が主導するモバイル決済アライアンスだ。記者説明会では、シングテル・インターナショナルのヴァイスプレジデント Soon Sze Meng(スーン・ズ・メング)氏が登壇。VIAはシングテルが提供するアジアで初めての越境モバイルアライアンスであるとした。シングテルは、アジア、オーストラリア、アフリカ21カ国、6億9,000万以上のモバイル顧客基盤を抱えている。同社のビジョンはアジア全体をカバーすること、ワンストップで拡張可能なプラットフォームを構築することとなり、さまざまな決済手段がアジア地域全体で使えることを目指している。
現在、VIAは、4,000万ユーザーを抱えており、210万加盟店で利用可能だ。VIAは旅行者が国をまたいで利用することができ、外貨両替の手間を省くことが可能だ。加盟店にとっては、海外顧客を獲得することができる。メング氏は、「小規模の独立系の小売にとって、QRコードの決済を提供していますので、顧客層を広げることになります」と説明する。また、アライアンスパートナーが増えれば増えるほど、1つのインテグレーションでアクセスできる加盟店は増えるそうだ。
2018年、東南アジアから日本への旅行者は330万人に上り、前年比14%伸びている。この数は、来年に向け、さらに伸びると予想される。メング氏は、「東南アジアではモバイル決済が急速に浸透しており、日本と東南アジアのデジタル経済をつなげる大きな一歩となります」と意気込みを見せた。
羽田空港の免税売り上げは77%がキャッシュレスに
続いて、国土交通省 東京航空局長 柏木隆久氏が登壇。羽田空港は年間8,750万人が利用しているが、新たなモバイル決済のインフラが整ったことを歓迎した。また、日本全体を見ると、海外からのインバウンド旅行者数は3,119万人、消費額は4.5兆円となり、それぞれ7年間で5倍に拡大している。柏木氏は、「決済インフラが海外の方にも使いやすいことは、日本の旅行目的地としての魅力のさらなる基盤になると期待しています」と語った。
羽田空港では、シングテルの 「Dash(ダッシュ)」と AIS の「 AIS GLOBAL Pay(AIS グローバル・ペイ)」が利用可能で、シンガポールとタイからの訪日観光客が、自国の通貨でさらに為替手数料も割安に買い物や食事をすることが可能となる。日本空港ビルデング 上席専務執行役員 岩松孝昭氏によると、国際線ターミナルの免税店におけるキャッシュレス化比率は77%となっている。羽田空港では、今回のサービスにより、旅行者の利便性向上、売り上げ増加につなげていく。また、マルチQR決済サービスを導入することで、海外からの利用者に対応するとともに、国内のQRコード決済にも対応可能だ。
「Star Pay」は10万拠点で利用可能、サービスの魅力は3点に集約
なお、ネットスターズの「Star Pay」は、2015年にサービスをスタートしたマルチ決済サービスとなる。羽田空港をはじめ、全国10万拠点以上で導入されているそうだ。
ネットスターズ 代表取締役社長 李剛氏によると、「Star Pay」は3つの点が加盟店から支持されているという。1点目は加盟店の規模などの状況に合わせて、スマートフォンアプリ、専用端末、POSレジなどを選んで導入できる点だ。2点目は一括導入、一括管理が可能なことだ。「Alipay」や「WeChat Pay」といったインバウンド決済と、「LINE Pay」「PayPay」「d払い」などの国内ブランドを導入でき、売上管理が可能だ。3点目には、新しいブランドを追加する際の店舗のオペレーションが不要な点を挙げた。そのため、10万店舗の加盟店は、VIAをスムーズに導入できるとした。
李氏は、「今後はスターペイのグローバル化に加え、日本の多くの店舗で利用できるように努めていきたいです」と語った。