2019年9月13日8:00
ヤフーとZOZOは、2019年9月12日に記者説明会を開催し、ヤフーがZOZOに対する公開買付け(TOB)を行い、ZOZOの株式の50.1%を取得して、子会社化する予定であると発表した。取得金額は約4,000億となる予定で、ヤフーにとっての最大規模の買収となる。
広告に加え、eコマースを収益の柱に
記者会見では、代表取締役社長 CEO 川邊 健太郎氏が買収する経緯について説明した。川邊 氏は、ヤフーにとってこれまで広告事業が柱だったが、eコマース事業をキードライバーにしていきたいとした。ZOZOの買収は、それを実現するために重要な戦略だ。
川邊氏は、重要なポイントとして4つを挙げる。1つめは、ZOZOTOWNが秋にスタートする「PayPayモール」出店で、ZOZOTOWNの出店企業に説明し、「理解を得て、全ショップに入っていただきたい」(川邊氏)とした。
2つめは、「eコマース取扱高(物販)爆増」だ。ヤフー、PayPay、ソフトバンクユーザーなどに、ZOZOTOWNの魅力を伝えて、eコマース取扱高を爆増させていく方針だ。また、相互送客も可能だ。5,000万人規模のヤフーユーザー、ZOZOTOWNの800万のコアユーザーは、非常に補完的な属性となっている。
3つめは、購入者爆増だ。取扱高もヤフーのEC事業で1兆8,700億円、ZOZOが3,231億円となり、合わせると2兆円を超えるが、両社のシナジーを結集し、さらに取扱高を爆増させていきたいとしている。ヤフーは、旅行事業で一休を買収したが、その取扱高も成長している。一休に加え、ヤフートラベルも伸びており、合算して4年で倍近くなっており、このノウハウをZOZOTOWNに注入していきたいとした。
4つめは、コマース事業の営業利益爆増だ。ヤフーとZOZOのeコマースの売上を伸ばし、2020年代前半に国内№1の存在を目指す。ヤフーでは、2019年度の営業利益として700億円を見込み、これにZOZOの19年度の収益計画である320億円を合算させると1.8倍の規模となり、両社のシナジーによりさらに利益を高めることができるとした。川邊氏は、「ヤフーは広告の一本足とみられていましたが、広告とコマースの柱が立ちます」と語った。
今後の展開として、ZOZOTOWNのPayPay導入なども検討していく予定だ。
ZOZOの代表取締役には澤田氏が就任
ZOZOは、2019年9月12日付けで、代表取締役社長 前澤友作氏が代表取締役および取締役を退任し、同日開催の取締役会にて、取締役 澤田宏太郎が代表取締役社長兼CEOに就任した。澤田氏は、自身は前澤氏と真逆なタイプだとした。これまでのZOZOは前澤氏のインスピレーションによりトップダウンで作り上げられた部分があったが、会社は成長し、社会に与える影響が大きくなる中で安定感が重要となる。澤田氏は、「社員のアイデアや挑戦心を経営者として大切にしながら、事業を展開していきたい。トップダウン経営から、組織の力を生かす経営に移行します」と話す。
前澤氏は、「ZOZO社は課題に直面している今、経営が変わるタイミングでした。新しいスタートを切れることを応援したいです」と語る。なお、前澤氏は2023年に月への旅行を予定しており、準備やトレーニングに割く時間が必要であるとした。また、今後は社会や人のために貢献できるような事業をゼロから手掛けていきたいとした。