2019年10月17日12:00
デジタルセキュリティベンダーのタレス(Thales)は、2019年10月8日、調査会社Ponemon Instituteに委託して実施した国際調査「クラウドセキュリティ調査レポート2019」(Could Security Study 2019)の結果を発表した。同調査から、クラウド上に保存されるデータの急増に対し、企業におけるクラウドセキュリティへの対応が遅れていることが顕在化した。48%(日本:48%)のデータがクラウド上に保存されている一方で、セキュリティファーストのアプローチを採用していないと回答した組織は、32%(日本:29%)だった。
同調査は、3,000名以上(日本 354名を含む)のITおよびITセキュリティ担当者を対象として、日本、オーストラリア、ブラジル、フランス、ドイツ、インド、イギリス、アメリカの8カ国を対象として実施したアンケート調査となる。結果として特筆すべき点は、クラウド上のデータ保護は、ユーザー企業である自社の責任であると回答した組織は、31%(日本:31%)に留まった。
半数近い48%(日本:50%)の組織が、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、IBMを中心とするマルチクラウド戦略を取り入れている。同調査において、1つの組織が利用するクラウドサービスプロバイダー数は、平均3社(日本:3社)であることが明白になり、4社以上を使用している組織は全体の28%(日本:30%)だった。
また、調査に参加した半数近くの46%(日本:52%)の組織が、クラウド上に消費者に関連する個人情報の機密データを保存することで、セキュリティリスクが増加すると回答した。さらに、半数以上となる56%(日本:72%)の組織が、コンプライアンス上のリスクが発生すると回答している。
その責任に関して、クラウド上の機密データは、クラウドサービスプロバイダーが負うべきであると考える割合が35%(日本:18%)となり、ユーザーとプロバイダー側の共有責任が33%(日本:最大値の51%)やユーザーである自社の責任が31%(日本:31%)という回答を上回った。日本においては傾向が異なり、共有責任であるという回答が51%で最も高く、31%が自社責任、18%がクラウドサービスプロバイダーに責任があるという結果だあた。企業はクラウドプロバイダーにセキュリティの責任を持たせている一方、プロバイダー選びの要素としてセキュリティを挙げた組織は23%(日本:22%)に留まるという結果になった。
さらに、調査対象者の約半数となる51%(日本:48%)が、現在もクラウド内の機密データ保護に暗号化やトークン化処理を行っていないという結果となった。データセキュリティに関して地域的な格差があることも明らかとなり、最も暗号化処理を行っているのはドイツ(66%)だった。
暗号化後に暗号化鍵をクラウドプロバイダーに渡していることも、明らかになった。クラウド上でデータを暗号化する場合、クラウドプロバイダーに暗号化鍵を提供している割合が44%(日本:48%)に上る一方で、社内チームが36%(日本:34%)、サードパーティが19%(日本:16%)という結果になった。また、78%(日本:75%)の組織が暗号化鍵を自社で管理することの重要性を認識しているにも関わらず、実際に自社で暗号化鍵を管理している組織は53%(日本:55%)に留まった。
半数以上に上る54%(日本:58%)が、クラウドストレージが機密データの保護を難しくしていると感じており、昨年の49%(日本:53%)よりも高くなった。企業の70%(日本:81%)が、プライバシー管理の煩雑性とデータ保護関連の規制が原因と回答している。また、67%(日本:38%)がクラウド環境内のデータ保護が難しくなり、従来の方法でクラウド上のデータ保護を困難にしている回答した。
なお、同調査は、タレスからの業務委託のもとPonemon Instituteが実施を担当した。ITおよびITセキュリティ担当者を対象として、日本、オーストラリア、ブラジル、フランス、ドイツ、インド、イギリス、アメリカの8カ国、3,667人(日本 354名を含む)を対象として実施したアンケート調査となる。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
カード決済、PCI DSS、ICカード・ポイントカードの啓蒙ポータルサイト