2019年10月28日8:00
一般社団法人浅草六区エリアマネジメント協会(安田和章代表理事)は、国家戦略特区の道路占用事業に認定された浅草六区ブロードウェイを活用した新プロジェクト「浅草六区-Connect with the world-」をスタートさせた。外国人観光客との交流ができるオープンカフェを配置した「TOMODACHI STREET」(友達通り)が目玉で、出店するキッチンカーには、キャッシュレス決済による飲食が楽しめるモバイルセルフオーダー「Putmenu」を導入する。(ライター 小島清利)
ナイトライフの充実と交流の場を同時に提供
国家戦略特区の道路占用事業は、国際的な活動拠点の形成に資する多言語看板やベンチ、上屋、オープンカフェなどの占用許可に係る余地要件の適用を除外するもの。10月25日、現地で記者発表会が行われ、内閣府大臣政務官の藤原崇氏が「子供連れで浅草花やしきを訪れる際にいつもこの商店街を通る馴染み深い地域です。道路占用事業は東京都内では10件目となりますが、浅草六区も他の地域同様に、国際交流の促進や賑わいの創出など素晴らしい取り組みが行われるものと期待しています」とあいさつした。
外国人観光客が最近10年で倍増していることに対応し、浅草周辺には新しいホテルの開業や建設ラッシュが続いている。しかし、多くの外国人観光客が宿泊する場となったにもかかわらず、ディナーや社交場を含めたナイトライフの充実が課題となっている。さらに、あらゆる観光シーンでのコミュニケーション不足も、観光立国を目指す日本の課題になっている。
浅草六区エリアマネジメント協会代表理事の安田氏は「浅草が抱えるこれらの課題を同時に解決するための施策がTOMODACHI STREETのプロジェクトです。ナイトライフを充実させ、グローバルなコミュニケーションが楽しめる場を提供し、外国人観光客と日本人観光客、地元の人たちが交流しやすいための仕掛けを継続的に実施していきます」とあいさつした。
例えば、5省庁の後援で観光地活性化プロジェクトを実施している温泉総選挙の運営事務局である株式会社ジャパンデザイン(東京都渋谷区、山下太郎代表取締役)と連携し、列島各地の祭りを誘致し、外国人観光客が楽しめる賑わいの場を創出する。第一弾として、10月26日、群馬県桐生市から桐生八木節まつりを招き、観光客らが踊りを楽しんだ。
オープンカフェに最大19台のキッチンカー
六区ブロードウェイ商店街振興組合代表理事の熊澤永行氏は「浅草は、かつては新宿や渋谷に負けないほどの賑わいがあったが、1964年の東京五輪を契機にカラーテレビなど娯楽が増えるに従い、浅草の劇場や映画館が少しずつ消えていった。最近は外国人観光客を中心に賑わいが戻りつつあり、新プロジェクトの幕開けでさらに活気を取り戻せるように期待しています」と話した。
友達通りの目玉として、毎週金曜、土曜、日曜、祝日の午前11時から午後9時まで歩行者天国化し、オープンカフェを設ける。サントリー酒類がドリンク専用のキッチンカーを出店し、ザ・プレミアム・モルツや事務ビームハイボール、角ハイボール、こだわり酒場のレモンサワーなど食事や飲み物を提供するなど、最大約19台のキッチンカーが出展する予定だ。
インバウンド対策として、12月以降をめどにパラソルとテーブルに翻訳機を置き、国際交流を促進する仕掛けを進めているという。ジャパンデザイン代表取締役で、温泉総選挙総合プロデューサーを務める社会起業家の山下氏は「訪日外国人観光客の不満ランキング1位は観光シーンでのコミュニケーション不足です。このオープンカフェが、食事やドリンクを楽しみながら、国境や言葉の壁を越えた国際コミュニケーションを促す場になればと考えています」と話す。
外国語で注文し、キャッシュレス決済
さらに、オープンカフェスペースでは、キャッシュレス対策の充実にも力を入れている。株式会社ジャストプランニングの子会社であるプットメニュー株式会社(東京)がモバイルセルフオーダー「Putmenu」を導入する。
プットメニュー取締役の中山朝之氏は「Putmenuの導入により、出店店舗は外国語対応を行う必要がなくなり、通常のキッチンカー営業と同様のオペレーションが可能になり、外国人観光客も、言語に悩まされることなく、国際ブランドクレジットカードやAlipay、Apple Payなど多彩なキャッシュレス決済手段で支払いができます」と話す。
Putmenuは、利用者のスマートフォンを使って、注文と支払いができるオーダーシステム。利用者は来店前に商品を事前決済で選択することができ、来店時にはレジに並ぶことなく、自分のタイミングで座席から注文を確定。その後、商品の準備ができたら、スマートフォンへプッシュ通知が届く仕組み。ショッピングセンターのフードコードなどでの採用があるという。