いつでもどこでも自国通貨が使える世界を実現へ NTT ComがM-DAQと日本初のサービスを提供開始

2019年11月14日8:00

NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は、シンガポールのフィンテック・スタートアップ企業M-DAQ.LTD(以下、M-DAQ、エムダック)と協業し、レート保証型外国為替情報と取引情報のデータ流通サービス「Home Currency Anywhere(以下、HCA)」を、2019年11月下旬から提供開始する。NTT Com初のフィンテックサービスの提供で、将来的には、世界中の電子マネー事業者がクロスボーダーでつながる「プラットフォームサービス」の実現を目指す。(ライター 小島清利)

自国通貨の金銭感覚でレート気にせず決済

NTT Com経営企画部ビジネスイノベーション推進室長の東出治久氏は「増加する訪日外国人を対象としたインバウンドビジネスなどでの顧客体験価値向上を図るため、通貨というデータの価値交換機能に着目した」と新サービスHCAの開発の経緯を話す。

NTT Com 経営企画部ビジネスイノベーション推進室長の東出治久氏

HCAは2つの日本初のサービスがあるという。具体的には「一定期間の外国為替レート保証」と「長期間のリファンドレート保証」だ。これらの機能を顧客企業のビジネスに組み込みやすいAPIで提供する。

想定するターゲット顧客は、飲食店、小売店、ECサイト、旅行代理店および電子マネー事業やキャッシュレス決済事業などのクロスボーダービジネスを展開する企業。これらの企業が経営する店舗では、インバウンド消費の取り込みが経営課題だ。しかし、常に変動する外国為替レートの影響で、外国から日本を訪れた観光客が買い物する時、現地通貨表記での決済後に一定期間をおいて発行される請求書などにより外貨での支払額が判明することが一般的であり、想定していた金額とは異なる請求が発生するなどの不安があった。

これらの顧客がHCAのサービスを利用することで、店舗側は外国為替手数料を含んだ当該日のレートでの最終支払価格を、外国人買い物客が慣れ親しんだ自国通貨で表示できる。一方、エンドユーザーは慣れ親しんだ自国通貨での最終支払金額を把握したうえで、為替変動で想定外の金額に膨れ上がるリスクを心配することなく、日本での買い物体験ができるという。

初のフィンテックで共創ビジネス加速

東出氏は「24時間中の為替変動を気にすることなく、外貨での一定の価格表示が可能になれば、インバウンドビジネスの拡大が期待できる。NTT Comにとっては初めてのフィンテックだが、決して『飛び地』のビジネスに進出したのではない。お客様と一緒にパラダイムシフトを起こすという共創ビジネスと同じ領域だ」と言う。

NTT Comが協業相手に選んだのは、外国為替変動リスクを抑制するユニークなソリューションを持つシンガポールのフィンテック・スタートアップ企業、エムダックだ。NTT Comはエムダックに出資し、協力関係を積世、得たうえで、日本でHCAを協業する。

エムダックは、シンガポールを中心に「通貨の国境なき世界」を実現するというビジョンのもと、FX専業化の創業者を中心としたフィンテック事業者。売上実需による独自アルゴリズム(外貨需要予測)により、「競争力のあるレート」や「一定期間のレート保証」というユニークなソリューションに強みを持っている。

また、エムダックはシンガポール政府系主要3機関のバックアップを受けているという。2010年、経済開発庁から、150万シンガポールドル(約1億2,000万円)をシステム開発投資と国内雇用などの条件で返済不要提供を受けたほか、15年にシンガポール経済開発庁ファンド(EDBI)からの出資を受けた。

また、国際競争力の高い企業である「Global Competitive Company Status」に選出されたことを受け、政府が国内外に売り込みを支援していると言い、金融管理局は17年に海外送金のライセンスを付与している。

レート保証型外国為替情報と取引情報のデータ流通サービス「Home Currency Anywhere」の特長のイメージ

OKIはセルフ端末用ミドルウェア実装へ

沖電気工業(OKI)は、OKIの店舗変革ソリューション「Enterprise DX」のサービス変革ソリューション「SDBC(スマートデバイスビジネスコネクター)」を経由し、ストアフロント変革ソリューションのセルフ端末用ミドルウェア「CounterSmart(カウンタースマート)」上でHCAを利用した新サービスを検討する。

海外の電子マネー・日本国内の電子マネー間のチャージや、クレジットカード決済におけるその日レート利用などのテストケースを評価し、さまざまな活用シーンにおける顧客体験向上を目指し、2020年の実証実験開始に向けて取り組む方針。

主な検討課題は、訪日外国人への外貨決済・外貨両替サービスの使い勝手の検証、APIによる外国為替レート情報流通の適切なシステム動産の検証、取引情報流通の適切なシステム動産の検証、外貨決済・外貨両替のトランザクション情報保存の検証、適切な保守運用体制の検証などだ。

NTT ComとOKIは、海外の電子マネー・日本国内の電子マネー間のチャージや、クレジットカード決済におけるその日のレート利用などのテストケースを評価し、様々な活用シーンにおける顧客体験価値向上を目指す

スマートワールドの実現を目指す

NTT Comは、フィンテックに踏み出したことについて、「データ流通やAPI Mashupなどの得意の技術を十二分に生かせる」(東出氏)と自信を示す。HCAのビジネスモデルは、外国為替情報と取引情報データの管理において、システム基本料と外国為替の利用額に応じた手数料で収益を稼ぐもの。HCA単体では、2025年度50億円、2030年度130億円の収益を目指している。

HCAは、「Smart Data Platform」という安心安全なデータ流通環境の基盤の上に新しいアプリケーションとして追加される。NTT Comは今後、国内において、HCAの導入を推進し、活用事例を拡充させていくとともに、海外企業との連携により、日本人観光客が海外で日本円による買い物や飲食ができる顧客体験づくりにも取り組む。

東出氏は「さらに、将来的には、世界中の電子マネー事業者がクロスボーダーでつながるプラットフォームサービスの実現に取り組む。パートナー企業との連携を加速しながら、スマートワールドの実現を目指したい」と話している。

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