2019年12月2日8:53
Nexi(ネクシー)は、イタリアでデジタル決済サービスをリードするプレイヤーとなり、イシュイング(カード発行)、アクワイアリング(加盟店管理)、電子バンキングソリューションを軸にビジネスを展開している。また、スマートフォンアプリの「Yap」を提供している。同社の取り組みについて話を聞いた。
イシュイング、アクワイアリング、バンキングソリューションを柱に展開
Nexiは、150の銀行との統合パートナーシップで事業を展開している。イシュイングでは、Nexiとパートナーの銀行は、4,100万枚のペイメントカードを管理している。また、約89万の加盟店にサービスを展開。140万のPOS端末を管理している。さらに、Nexiは1万3,400台のATM、約42万台のバンキングステーションを管理している。イシュイング、アクワイアリング、バンキングソリューションを幅広く展開しており、デジタル決済においてイタリアを代表する企業となっている。
決済・送金アプリ「Yap」、Google PayやApple Payに対応
Nexiでは、スマートフォンアプリ「Yap」を展開。同アプリでは、店舗での決済に加え、金額の受け渡しを行うことができる。店舗ではMastercardといった国際ブランドを使用できるため、Google PayやApple Payとしての支払いが可能だ。また、オフラインに加え、ネットでの支払いにも対応している。送金では、例えばレストランにおいて、1人がまとめて金額を支払い、他の人は金額を後で送ることが可能だ。また、国内に加え、海外でも使用できるため、例えば、留学で海外に行った子供に、金額を送ることもできる。送られた金額は、Google PayやApple Payを利用して世界中のお店で使うことができる。
現在、イタリアは26%がカードやアプリを使った支払いとなり、多くを現金が占めている状況だ。これは、欧州平均の46%、イギリスの66%、80%を超える国もある北欧に比べ低い数字となっている。Nexiの担当者は、「イタリアの決済比率は決して高くはありませんが成長しており、毎年10~11%の伸びを示しています」と話す。また、コンタクトレス決済(非接触決済)が数多く利用されており、伸び率も高い。現在は、Apple Pay、Google Pay、Samsung Payなどが普及しており、モバイルでの支払いも広がっているそうだ。
今後もイタリアのキャッシュレス化が進むことは間違いないが、まずは欧州の平均に到達する後押しをしていきたいとしている。イタリア人の特性として、新しい技術への抵抗が強いため、キャッシュレス化を妨げてきたが、Apple、Google、Samsungが提供するニューテクノロジーにより、近年は動きが活発になっている。また、政府も、簡単で、クリーンで、なおかつ便利であるデジタルデバイスを使用するように後押ししているという。Nexiの担当者は今後について、「信頼を獲得するのが重要ですので、パートナーと手を取り合ってより硬く進むことが目標ですが、将来的にはイタリアだけではなく世界に進出したいと考えています」と語った。
※取材は2019年11月6~8日までイタリア・ミラノで開催された「Il Salone dei Pagamenti~payvolution~」