岐阜県大垣市、新庁舎での業務開始に合わせ窓口のキャッシュレス決済を本格始動

2020年3月9日8:00

クレジットやデビットに加え、4種のQRコード決済に対応

大垣市では市民サービス向上のため、ロボットやAIなど最先端技術を採り入れた“電子市役所”を標榜。2020年1月から業務を開始した新庁舎では、その一環として、税や証明書交付手数料等の納付に、キャッシュレス決済を採用している。2019年1月からの約1年間の実証実験を経て、本格導入に至った。クレジットカード、デビットカード、WAONなどの電子マネーに加え、Origami Pay、PayPay、LINE Pay、d払いの4種類のQRコード決済が可能だ。窓口でのキャッシュレス決済比率はまだ1%強、QRコード決済比率は0.7%強にとどまっているものの、利用者の反応は良好で、今後この比率は高まっていくものと見られている。

スマートシティ実現の一環としてキャッシュレス対策を推進

岐阜県大垣市では、全国に先駆けて、ICTをはじめとする最先端技術を活用したスマートシティ構想を発表。市民の利便性を高めるための“電子市役所”の構築は、その根幹を成す政策の1つだ。

この一環として同市が力を入れているのが、キャッシュレス化の推進。同市は2020年1月に新庁舎での業務を開始したが、これに合わせて、窓口でのキャッシュレス決済を本格始動させている。

同市では税や証明書交付手数料等の納付に、従来からクレジットカード、デビットカード、商業系や交通系の電子マネーを導入しており、これに加えて、Origami Pay、PayPay、LINE Pay、d払いの4種類のQRコード決済の利用を可能にした。

大垣市役所 総務部 契約課 庁舎建設推進室 主事 浅野亨氏は「そもそものきっかけは、経産省が発表したキャッシュレスビジョンでした。大垣市としても、市民サービス向上の施策のひとつとして、多様な決済手段を提供することが必要だと考えていましたので、その取り組みのひとつとして、より一層キャッシュレス化の推進に力を入れることにしたのです」と説明する。

キャッシュレス決済に対応した窓口の様子

1%強の利用実績ながら今後の伸びに期待
QRコード決済はPayPayの利用が多い

同市では窓口でのキャッシュレス決済導入に当たって、2019年1月より実証実験を開始した。まず、クレジットカード、デビットカード、商業系および交通系の電子マネーの導入実験を開始。同年4月からはOrigami Pay、9月からはPayPay、LINE Pay、d払いのQRコード決済の利用も可能とした。

QRコード決済に関しては、利用者が、窓口に設置したQRコードをスマホで読み取り、職員が提示した手数料などの金額を入力した上、事前にアプリに登録したクレジットカードなどにより決済する方式(MPM方式)が採用されている。いずれの決済サービスに関しても、決済サービス事業者への手数料は、市が負担する。

2019年1月から12月までの約1年間行われた実証実験の結果では、キャッシュレス決済の総計は全体の1.16%。4種類のQRコード決済の合計は全体の0.75%であった。

QRコード決済では、PayPayが0.51%、ほか3種類が0.1%前後である。浅野氏は「今後、キャッシュレス決済の普及とともに、まだ伸びていくと考えています」と期待を寄せる。

利用者の反応は上々
事務手続きの簡略化と手数料負担が課題

高額に及ぶ納税は、口座振替のほか、窓口納付や、コンビニ払いなどの現金で行われるケースが多い。しかし数百円単位の証明書交付手数料の決済は、キャッシュレスで行えたほうが利用者にとっても便利であり、徐々にこちらに移行してくるものと同市では見ている。大垣市役所 総務部 課税課 窓口証明グループ 主幹 笠浪俊彦氏は「キャッシュレスでは現金払いよりスムーズに決済を完了することができます。一度体験することで、その利便性を実感していただけると思います」と話す。現に、すでに利用した市民からの反応は上々だ。

現行では、クレジットカード、デビットカード、電子マネーによる決済情報はOKBペイメントプラットから一括して通知されるが、QRコード決済サービス4社とは個別契約のため、事務手続きも個別に必要となる。現状、同市には、労力面での負担はあるが、利用が増えてくれば同市のメリットも増大するはずで、同市ではキャッシュレス決済の動向を注視しながら体制の整備を進めていく。

カード決済&リテールサービスの強化書2020より

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