2020年4月2日8:00
アプリの魅力度を高め、アクティブユーザーのより一層の拡大を図る
福岡・博多に本拠を置く西日本シティ銀行は、2019年秋、自行アプリ「西日本シティ銀行アプリ」に、オールバンクで取り組むQRコード決済機能「Bank Pay」を搭載。銀行アプリに「Bank Pay」が搭載される国内初の事例となった。「西日本シティ銀行アプリ」はすでに60万超のダウンロードを達成し、銀行口座と紐づけされたアクティブユーザーも30万超に達している。同行は「Bank Pay」導入を機に、アプリユーザーの拡大に弾みをつけるとともに、導入費用ゼロ、店頭にQRステッカーを置くだけでQRコード決済を導入できることをアピールしている。中小店舗を中心に加盟店開拓にも力を入れることで、地域における同行のプレゼンスをより高めていきたい考えだ。
他行に先駆けスマホアプリを導入
30万人のアクティブユーザーを獲得
福岡・博多に本拠を置く西日本シティ銀行では、2015年3月より、口座開設者向けに「西日本シティ銀行アプリ」の提供を開始している。アプリ提供の取り組みは、地銀としては全国的に見てもかなり早かった。
現在アプリのダウンロード数は60万を超えており、口座情報と紐づけされたアクティブユーザー数も30万超に上っている。これだけ大きな規模のユーザーを獲得できているのは、先行導入のアドバンテージも効いているものと同行では見ている。
「西日本シティ銀行アプリ」では、残高照会、入出金明細、収支管理、投資信託運用損益照会などのメニューをラインナップ。インターネットバンキング、家計管理といったメニューごとに別々のアプリを制作し、提供している銀行もあるが、同社では1つのアプリにすべての機能を集約している。わかりやすく使いやすいアプリの設計および提供を、第一義としているためだ。
同行アプリのユーザーの9割以上は、銀行残高を確認するためにアプリを利用している。同行ではそれらのユーザーに、使い勝手の良い残高照会機能を提供するとともに、併せて同行の金融サービスや地域の情報も取得してもらえるような画面設計を心掛けている。投資信託の運用損益照会については、インターネットバンキングのメニューを経由せずに、ワンタップで見られる設計に変更している。何よりユーザーの利便性を重視して、都度改善を図っている。
銀行の店舗やATMは年々減少傾向にある。将来的には通帳もなくなるだろう。アプリはそれらの機能を代替するものという位置付けだ。同行では将来を見据え、金融機関のコア業務を1つずつアプリに搭載していく方針。まずは各種照会機能の拡充を図っているところである。
アプリに「Bank Pay」機能を初めて搭載
MPM方式のQRコード決済が可能に
加えて同行では2019年秋、「西日本シティ銀行アプリ」にオールバンクで取り組むQRコード決済機能「Bank Pay」を搭載した。
「Bank Pay」はJ-Debitを運用する日本電子決済推進機構(JEPPO)が提供するスマホ決済サービスで、メガバンクや地方銀行をはじめとする金融機関が参加。QRコード決済による銀行口座からの直接支払いを可能にしている。JEPPOでは、銀行アプリや加盟店アプリへの「Bank Pay」機能の搭載を推奨しているが、西日本シティ銀行は銀行アプリに同機能を搭載した国内初の事例となった。
今後、日本国内でQRコード決済が拡大していくことは間違いない。銀行の強みを生かしながらこの流れに対応する方法として開発されたのが、デビット方式のQR決済サービス「Bank Pay」である。「いち早く自行アプリにこの機能を追加することでアプリの魅力度を高めたいと考えました」と西日本シティ銀行 営業企画部 調査役 神﨑信太郎氏は導入の経緯を語る。
「Bank Pay」を利用することによって、加盟店は、初期費用無料、店頭にQRステッカーを設置するだけで、MPM方式のQRコード決済を導入することができる。ユーザーはスマホで店頭設置のQRコードを読み取り、自身の口座からの引き落としにより決済を完了。このシンプルな仕組みによって、ユーザー、加盟店、同行がともにメリットを享受することができる。
同行ではこのサービスの周知に努めることで、「西日本シティ銀行アプリ」アクティブユーザーのより一層の拡大を図る。また一方で、地元の商店街や中小店舗を中心に加盟店の拡大を進める。同部 副調査役 藪口隆洋氏は、「Bank Pay」の利用者と加盟店を両輪で広げていくことが大切だとした。この取り組みによって、九州地域における同行のプレゼンスをより高めていきたい考えだ。
カード決済&リテールサービスの強化書2020より