2020年4月16日8:00
法事後にお気持ちの金額を決定し、後払いで支払い可能に
よりそうは、僧侶手配サービス「お坊さん便」において、新しい決済方法「おきもち後払い」を導入した。法事後におきもちの金額を決めて、後から支払いが可能な業界初のサービスだ。
全国1,300名のお坊さんと提携
大手ECサイトでの掲載を終了
お坊さん便は、葬式や法事にお坊さんを初回3万5,000円で手配できるサービスだ。よりそうでは、志あるお坊さんと菩提寺がない方を結ぶことで、「菩提寺のない方向けのグリーフケア」の提供を目指している。よりそう 広報・PRグループの高田綾佳氏は「全国1,300名のお坊さんと提携しており、菩提寺がない方でもお電話一本で法要を定額で手配できます」と説明する。
よりそうは、2013年から「よりそうのお葬式(旧:シンプルなお葬式)」、お坊さん便のサービスをスタートした。利用者は、インターネットを経由して申し込むケースが多数だが、お坊さんはインターネットに触れる機会が多くなく、平均年齢が高い業界のため、やり取りは紙やFAXが一般的となっている。そのため、よりそうでは、インターネットのサービスに加え、電話でのサポートも強化している。
お坊さん便では、法要は初回で3万5,000円、2回目から4万5,000円からの金額で僧侶手配サービスを提供している。よりそうでは、利用者に適したお坊さんを探し、同社の提示した価格で法要を行ってもらう。そしてその差額の仲介手数料が同社の収益となるというビジネスモデルだ。
よりそうでは、2019年10月24日に大手ECサイトへの出品を終了。高田氏は、「サービス開始当時は、民間の僧侶手配サービスの社会的認知を高め、菩提寺のない方へ広くアプローチする手段となりましたが、公益財団法人全日本仏教会との話し合いがあり、ご意見をいただく中で、大手ECサイトでは仏事・供養が成しているグリーフケアについて必要十分な説明ができないという結論に至り、自主的に取り下げました」と説明する。ECサイトで「手配を行う引換券」を販売したことに対し、仏事そのものが「出品」されたかのような誤解が生じたり、大手ECサイトに掲載できる情報量では供養の役割を十分伝えられなかった。
ECサイトからの撤退を決めたのは、2015年の出品開始当時に比べ、お坊さん便の知名度も高まっており、自社サイトの運用のみでカバーできる体制が整っていたことも大きかった。
おきもちで自ら価格を決定
法事後にメッセージ入力が可能
お坊さん便では、従来のクレジットカードや現金に加え、新サービスとして「おきもち後払い」を導入した。利用者は、法事終了後に一定の範囲内で自らお坊さんへお支払い費用を決定し、後払いできる。高田氏は「従来のお布施は、お坊さんとの関係性に応じて、おきもちで任意の価格を決められます。同様のアプローチができないかを考えました」と説明する。利用者からも仏事に対するお礼、供養や信仰への想いから費用と別途お布施を渡したいという声があった。
「おきもち後払い」では、法要の申し込み時に決済方法として選択。利用の後、ECサイトの入力フォームにて評価と金額を入力し、申請する。その後、後日郵送される請求書に従ってコンビニエンスストアなどから支払いが可能だ。ベースとなる金額は変わらないが、想いを反映した金額を一定の幅で自ら加えることが可能だ。金額は目盛りで設定でき、ゼロを選ぶことも可能だ。
入力フォームでは、非対面で金額の決定や評価の入力ができる。そのため、金額の上積みはなくとも、お坊さんに直接は伝えにくい気持ちを伝えることが可能となっている。
おきもちを上積みする人が多い
評価データでサービス向上を目指す
後払いサービス導入のメリットとして、与信の管理から回収の代行まで後払い決済事業者が代行してくれる点も大きい。高田氏は「住所と電話番号、名前だけで与信が取れる点も魅力だと考えています。弊社のお客様は年齢層が高いため、難しい情報を入力するのに抵抗がある方もいらっしゃいます」と述べる。導入から間もないが、大きな問題なく運用できているそうだ。
導入後は、「おきもちを上積みしていただいている方が増加傾向です」と高田氏は語る。良い仏事を執り行った場合、利用者の方から具体的な評価を得られる仕組みのため、お坊さんにとってもモチベーション向上につながると期待している。
よりそうでは、「おきもち後払い」で得られるデータをもとに、サービス改善および顧客満足度の向上を目指す。また長期的に「おきもち後払い」を利用することで得られたデータから高評価のお坊さんの知識・経験を分析し、他のお坊さんと共有することで、お坊さん便と提携するお坊さん全体に大きなメリットが生まれるとした。
カード決済&リテールサービスの強化書2020より