2020年4月6日8:00
クレジットカードなどのキャッシュレス決済のテストソリューションを提供している世界的な認証機関であるフランスFIME(フィム)の日本法人、FIME JAPAN(フィム・ジャパン)が従来の認証ラボテスティングに加え、生体認証やオープンバンキングAPIなどの新たなサービスの強化に乗り出した。欧米などの先進国では、クレジットカードのICチップ化などのEMV化がほぼ完了しており、インバウンド(訪日外国人観光客)の需要が拡大している日本市場でも、クレジットカードのITをトータルにサポートする狙いだ。
クレジットカードがキャッシュレスの本命の一角だ
FIME JAPAN代表取締役の門山隆英氏は「日本は、クレジットカードIT後進国と言われてきましたが、世界の流れは、モバイルのコード決済や交通系の電子マネーだけでなく、クレジットカード決済も大きな役割を果たす時代になります」と話す。
フランスに本拠を置くFIMEは、フランスの電子メッセージングインターフェイスの頭文字を社名に冠し、1962年からワールドワイドにテレックスビジネスを展開してきた。現在では、世界中の拠点が連携し、決済関連やNFC関連サービスの要件定義や開発、実装・認証(検証)まで包括的なサービスを提供し、世界のキャッシュレス決済の推進役を担っている。
日本法人を2013年に設立し、クレジットカードをはじめとする決済関連(EMVCo、PCI、モバイル決済関連技術など)やNFC関連技術のテストソリューションパートナーとして、各種認証試験の提供や、テストツールの販売、最新技術や市場トレンドのコンサルティングなどを行っており、国内外のスマートフォン決済や決済ターミナル製造業の顧客から、通信事業者まで幅広く取引している。
門山氏は「日本がクレジットカードITに出遅れた背景には、交通系電子マネーの技術であるFeliCaの普及が進んだことで、かえってそれで十分な状況になってしまったことや、英語の壁により技術的な対応が進みにくかったことも大きかったです。しかし、改正割賦販売法やライアビリティシフトの台頭などにより、決済関連の業界にとってはクレジットカードのIT化は避けて通れません」と話す。
日本では、交通系電子マネーに続いて、スマートフォンを使ったコード決済が普及し始めているが、FIME JAPANでは、次のステージとして、欧米を中心に広まっているクレジットカードのIT化(特に非接触カードでの決済やモバイル決済)が今後、キャッシュレス決済の本命の1つとして急速に立ち上がっていくとみている。
言葉の壁をクリアする丁寧なサポートで支持を広げる
FIME JAPANは、これまで、EMVやeID、NFC、RFIDに対する準拠テストやパフォーマンステスト、互換性テスト、エンド・ツー・エンドテスト、セキュリティ評価テストツールなどのラボテストや、RFテストベンチ(ISO、EMV、NFCなど)、の提供といった「認証ラボテスティング」サービスや「テストツール」の販売を通し、日本のキャッシュレス化をサポートしてきた。「英語・日本語」の言葉の問題を解決する丁寧なサポートが好評で、日本市場で圧倒的なシェアを誇っているという。
今後、日本市場のキャッシュレス化の加速度的な進展を視野に入れ、コンサルティングとエンジニアリングにも力を入れている。EMV化や、ICカード・NFCトレーニング、各種仕様の策定、ターミナルインテグレーション、カードパーソナライゼーション、RFアンテナ設計などを支援する。また、生体認証や3-Dセキュア、交通分野、オープンバンキングなどの新サービスの展開も始めた。
Mastercardの指紋認証認定ラボでは、指紋認証のパフォーマンス試験で不当な生体が誤ってパスしてしまう割合(FAR)や正しい生態が誤って拒否されてしまう割合である(FRR)のほか、入力データ攻撃検出(PAD)試験を実施。また、FIMEはFIDOアライアンスのメンバーでFIDOの認証ラボでもある。さらにFIME JAPANはFIDOアライアンスのJapan WGのメンバーである。オープンバンキングでは、専門家によるコンサルティングサービスにより、ビジネス、技術、規則の課題に最適に対応するためのプロジェクトの定義をサポートしており、STETの最初のオープンAPIテストフレームワークを定義し、多くのオープンバンキングイニシアチブに参加するなどのサポートも展開している。
3-Dセキュアについても、フランスやオランダなどで取り組みをはじめており、今後普及が進む「非対面取引」への対応に備えている。交通系に関しては、FeliCaを中心に進んでいる日本のインフラへのプラスアルファとして世界標準を加えることを目指している。また、門山氏は「決済関連の電文プロトコルも世界の規格はISO8583ベースから進化しようとしており、NEXOやISO20022に基づいたキャッシュレス決済のエコシステムへの対応が今後加速する」と力を込める。
従来のテストの常識を超えた一気通貫のサービスを提供
さらに、FIME JAPANは「Beyond Testing(ビヨンド・テスティング、テストを超えた)」を掲げ、「認証試験の合格・不合格だけではなく、どうすれば合格することができるのかを徹底的にサポートする」(門山氏)ためのサービス体系の強化に注力している。
具体的には、DEFINE(デファイン)、DESIGN(デザイン)、DELIVER(デリバー)、VALIDATE(ヴァリデイト)、の頭文字を取ったソリューション「FIME 3DV」を展開する。デファインは戦略的学習、影響とリスク解析、ビジネス要件、ビジネストレーニングなど。デザインは、ソリューションデザイン、テスト戦略とプラン、技術的トレーニング、仕入れ先選択など。デリバーは、高度な技術的トレーニング、プロジェクトマネジメント、テストソリューション開発、インストレーションとインテグレーション。ヴァリデイトは、テストサービスや品質保証、テストツール、管理サービスなど。
門山氏は「3DVのどのフェーズからでも対応し、もちろん一気通貫のサービスも提供する。従来のテストの常識を覆すサービスとソリューションで顧客をサポートしていきたい」と意欲を示している。FIME JAPANは大手決済端末メーカーや、JCB、MasterCardなどの国際ブランドを顧客に抱える強みがあり、新サービスの強化により、さらなる成長を目指す。
■お問い合わせ先
FIME JAPAN株式会社
〒105-0011 東京都 港区芝公園1-2-4 STビル6F
TEL:03-6435-8020
e-mail:salesjapan@fime.com
URL:https://japan.fime.com/