ユーシーカード、2021年度までに指静脈認証による手ぶらでのキャッシュレス決済を目指す

2020年5月13日8:00

ユーシーカード(UC)は、日立製作所(日立)の協力を得て、生体情報を暗号化して登録・照合する「公開型生体認証基盤(PBI:Public Biometrics Infrastructure)」を活用した、指静脈認証による手ぶらでのキャッシュレス決済の実証実験を2019年12月12日~2020年3月末まで実施した。UCでは同実験の成果を基に、2021年3月末までのサービス開始を目指している。

台場と丸の内の加盟店で指静脈認証を検証

2019年に創立50周年を迎えたUCでは、新技術、決済インフラの拡充に取り組んでいる。2018年度には、ブロックチェーン技術を応用した「UC台場コイン」の実証実験を実施。UC台場コインでは、ブロックチェーン技術を応用したOrb社の独自スキーム「Orb DLT」が決済分野で応用できるかを検証したが、「決済トラブルなど特に発生することなく利用できることが実証されたものの、利用までのチャージにかかるコストや、スタンプ認証を使用した決済インタフェースの認証精度の課題が残り、実用化に至りませんでした」と説明する。

PBIを活用した指静脈認証による手ぶらでの決済の有用性を検証

今回実施した指静脈認証の実証実験は、UCと日立の社員、約650名を対象に、クレジットカード番号と指静脈情報を紐付けるユーザー登録をしたのち、UC加盟店(台場2店舗、丸の内3店舗)の飲食店とドラッグストアにおいて、指静脈認証のみで決済を行うものだ。

「決済の種類が多様化するにつれて、消費者は生活に根差した『決済』という行為に、より利便性や安全性を求めるようになっています。こうした消費者心理や期待に応えられる決済手段であるとともに、これまでキャッシュレス化が進まなかった一部の領域についてのキャッシュレス化促進にもプラスに作用するものであり、国策であるキャッシュレス比率向上にも寄与するものと期待をしております」(UC)

UCではシステム開発が不要に

実験実施の経緯として、UCで生体認証決済の商品化検討とアライアンス先の模索を行っていたなか、2017年夏頃、日立が社内売店で指に現金をプリペイドチャージして決済する実証実験を行っている新聞記事を見つけた。現金チャージではなくクレジットを紐づけた連携形式での指静脈認証決済をUCから日立へ持ち掛けたのがきっかけだった。

日立の「公開型生体認証基盤(PBI)」は、生体認証技術とPKI電子署名技術を融合させた公開鍵認証基盤だ。UCでは、「PBIは、すでに日立にて実用化された技術であり、特許も取得しているため、セキュリティに関しては生体認証業界内でも一歩先を行く技術であり、この点でアライアンス先としては申し分ない印象でした。また、今回の実証実験を行うための基盤側の開発は発生しないと日立より聴取しています」とした。実際、UC側では、システム開発など一切行っていない。

飲食店に設置された端末

利便性と安全性の両立は一定の評価を得る

今回は3カ月強の実験となったが、決済回数約2,000件、取扱高約120万円が指静脈認証で決済された。実験参加者からは、「カードや小銭、交通系IC等を持ち歩かなくてよいのは、特に昼食時等の手荷物が減るので便利」という声を多くもらった。また、セキュリティについても不満や不安の声は予想より少なく、利便性と安全性の両立については一定の評価を得たと認識している。アンケート結果では、認識時間において「指を置いてから完了するまでのスピード感にストレスを感じるか」について、「感じない」、「ほとんど感じない」が75%、また、認識エラーが「一度も失敗しなかった」、「稀に失敗したが指を置きなおしたら成功した」で85%を占めた。同アンケート結果を基に、現在日立にて定量的な検証を行っている。

加盟店からも画期的な決済手段として、興味を持ってもらい、前向きに実験に協力してもらった。また、PIN入力やサインがないため、通常のクレジットカード決済と比べると処理が早く、また装置を見た通常の顧客からも「これは何ですか?」と会計時に話しかけられることがあった。一方、「稀に失敗した際には会計が手間取る」、「レジとの二度打ちが発生する」、「装置が大きい(今回はタブレット端末をレジ横に設置)」といった点は改善が必要としている。

なお、実証実験の決済処理は、GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)の「PGマルチペイメントサービス」を利用している。

商用化に向けた大きく2つの課題とは?

実証実験の成果を踏まえ、商用化に取り組むが、UCでは大きく2点の課題を挙げる。1点目は指静脈情報登録の仕掛けづくりだ。今回の対象会員は社員のため、社内会議室等で事前登録会を行ったが、実際の決済ではその時点で登録が済んでいる必要がある。UCでは、「指情報の登録有無にかかわらず、入会や入館、チェックイン等の手続きが発生する決済箇所でないと、指の登録の動機を見いだせず、なかなか浸透しないと思われます」と述べる。2点目はレジまわりの配置関連を挙げた。機器が大きく、配線が多く、レジの二度打ちが発生したことで、店舗レジ担当には少なからず迷惑をかけた部分があった。たとえば、認証機器をPOSに直接つないだり、タブレットではなくスマホなど、狭いレジでも導入しやすいセットを考える必要がある。

UCでは、先進的な技術による利便性の向上に着意のある加盟店のニーズを踏まえ、引き続き日立とも協議を進める方針だ。すでに、複数業態のターゲッティングを始めているほか、個別に導入に向けた具体的な協議に進んでいる案件もある。UCでは、「手ぶらでの決済が望ましい温浴施設やフィットネスジム、反復利用の見込める美容院やネイルサロン、クローズな環境で頻繁に利用する社員食堂など、広く遍くではなく特定の領域に絞ったセールスを行っていく」とした。また、決済は指静脈認証技術を活用したパーツの1つであり、同機能をハブにしたホテルのルームキーや病院のカルテ、フィットネスジムのトレーニング履歴等と紐づけることで、複合的なサービスとすることも検討している。現時点ではメジャーな決済手段ではないため、まずは早期に加盟店開拓を行うことでこの分野で先行メリットを取りに行くことを考えている。

UCでは最後に、「新技術を駆使した新たな決済手段の検討や実用化は海外市場で先行して実現している例が非常に多く、国内外問わず市場動向を注視し続けたうえで、ビジネスの芽を逃さないようにしたいと考えております」と意気込みを見せた。

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