2020年6月11日8:00
三菱UFJニコスは、自社で保有する決済基盤を生かし、フランチャイズ(金融法人)、銀行本体発行、TPP(事業法人)といったクレジットカード業務受託、デビットカード業務受託、加盟店業務受託を行っている。金融機関や提携先等を支援する三菱UFJニコスの受託ビジネスについて説明してもらった。
カードビジネスで培ったシステムや事務処理等のノウハウ提供
――まずは、三菱UFJニコス様が受託ビジネスに力を入れる理由からご説明ください。
三菱UFJニコス:キャッシュレスの進展に伴い他業種等からの新規参入が相次ぐ中、当社が永年カードビジネスで培ってきたシステムや事務処理等のノウハウ・経験を受託先さまに提供することで、当社は安定的にフィー収入を得ることができ、受託先さまは早期参入や規模の利益を享受することができるものです。
――受託ビジネスを展開するうえでの「貴社の強み」はいかがでしょうか?また、クレジットカード本体業務受託の実績をお聞かせください。
三菱UFJニコス:当社は予てより地方銀行とのFC(フランチャイズ)展開を進めていることに加え、キャッシュカードとクレジットカード機能が一体となった銀行本体発行カードの業務や多業種の事業法人さまからのカード発行業務などの受託ビジネスにも取り組んでおり、幅広いカードビジネスのノウハウの提供に強みがあります。
銀行本体発行は三菱UFJ銀行、静岡銀行など15行、クレジットカード発行の受託実績はローソン銀行など38社です。
企業は早期参入が可能に
――事業法人ではローソン銀行、共同印刷などと連携されていますが、新規参入企業にとってのメリットについてご説明下さい。また、引き合いは今後も増えていくのでしょうか?
三菱UFJニコス:決済事業へ新規参入するにあたっては、いくつかの方法があると思っていますが、当社のような決済事業会社にカードシステム・業務をフル委託、または部分委託することにより、早期参入(自社開発が不要・限定的)が可能になることに加え、初期投資の抑制や戦略検討、営業活動に集中できるなどのメリットがあると考えています。
また、異業種から決済事業への新規参入に伴う様々なリスクや関連する法令への対応など、ナレッジが享受できることによる安全・安心面でのメリットも大きいと思います。
今後、日本国内における決済市場の拡大に伴い、新たな決済参入企業も引き続き出てくると思われ、受託ビジネスの形式は多少変わってもニーズはあると考えています。
デビットは加盟店管理業務や不正検知業務の知見を生かす
――デビットカード発行業務受託において、導入金融機関からの評価についてはいかがでしょうか?
三菱UFJニコス:当社がこれまで培ってきた事業ノウハウや経験に加え、加盟店管理業務や不正検知業務の知見を併せたスキームなども展開しており、受託する10行の金融機関さまからは「安全・安心」の信頼をいただいております。
――デビットカードでは、受託に加え、発行主体がカード会社となるような展開は考えておりますでしょうか?
三菱UFJニコス:当社はデビットカードを銀行で提供する商品と位置づけているため、銀行本体で発行するスキームを前提としております。
取扱高に占める割合は? 低コストで安全なプラットフォーム構築がポイント
――現在の業務受託ビジネスの売り上げに占める割合はいかがでしょうか?また、今後の業務受託ビジネスの可能性についてお聞かせください。
三菱UFJニコス:取扱高ベースで約20%です。今後の業務受託ビジネスは先ほどもご説明させていただいているとおり、受託形態や商品・サービスの変化はあると想定されるものの、引き続き成長していくビジネスだと考えています。
決済ニーズが多様化していく中、提供するサービスなどの利便性や安全性、汎用性を高めていくことができる、或いは、デジタライゼーションによる商品・サービス・ネットワークの高度化などの技術革新による変化に確り対応ができる企業が牽引していくと考えています。
――最後に、現状の受託ビジネスのビジネス上の課題とシステム拡充についてお聞かせください。
三菱UFJニコス:決済市場が成長する一方で、システム面(キャパシティや安全性等)や業務面(品質・体制)が確りと構築されていないと、安定した受託ビジネスの展開ができません。
その上で、大量のトランザクション(データ処理件数)を安定的に処理する安全なシステムの維持・拡張をしていくこと、また、さまざまな変化に対応してくための投資も必要です。成長する市場や変化する環境の中で、いかに低コストで安全な受託システムのプラットフォームを提供できるかがポイントになると思います。