2020年6月15日8:00
ネオキャリアの100%出資会社であるULTRAは、プリペイドカード発行事業においてオリエントコーポレーション(オリコ)と提携し、Visaプリペイドカード「ultra payカード」の発行を開始した。同カードは、enigmaが提供する「enigma pay(エニグマペイ)」と連携し、エニグマペイを利用する業務委託契約者を対象として、業務委託の報酬を同カードに即時チャージすることが可能だ。
HR Techと新たなFinTechサービスを組み合わせ提供するULTRA
プリペイドで新たな入金手段の確立へ
ネオキャリアグループは人材関連事業を中心に事業のドメインを拡大してきた。テクノロジーの進化によって人材ビジネスのあり方も大きく変わってきており、 昨今ではHR Techと呼ばれるさまざまな先端テクノロジーを活用した新しい人材サービスプロダクトに置き換え提供している。
その中で、ULTRAでは、「働く」をもっと「おかね」につなげる、という企業理念の元、ネオキャリアグループが持つHR Techと新たなFinTechサービスを組み合わせてユーザーに提供し、これからの社会に必要となるサービスの構築を進めている。
ULTRAでは、オリコと連携して、業務委託で働く人々の報酬をプリペイドカードに即時チャージし、誰でも即時発行可能なVisaプリペイド「ultra pay カード」を開始している。ULTARAは「オープンループ型のブランドプリペイドカードの特性として、コストを掛けずに、 単価を上げた入金手段を確立することが重要と考えました。米国ではすでに給付金や還付金、報酬の入金先としてのプリペイドカードが発行されており、 入金手段の課題を解決している事例が見受けられます。人材関連事業との組み合わせにより、日本においても高単価の新たな入金手段の確立が実現できることを念頭に、今回オープンループ型のVisaブランドのプリペイドカード発行に至りました」と新サービス開始の経緯について説明する。
同カードはVisaブランドを付帯しており、200以上の国と地域において、約6,100万のVisa加盟店で利用可能だ。これにより、 業務委託契約で働く人は、24時間365日いつでも報酬を申請し、チャージ後すぐに国内外のVisa加盟店での買い物に利用できる。
「enigma pay」と連携して業務委託報酬の即時受取が可能
「でじなカード」「そとなカード」「そとなカード+」を用意
「ultra pay カード」は現在、業務委託契約で働いているワーカーに限定して、報酬の前払いサービスを提供するenigmaの「enigma pay」と連携している。「当面は業務委託契約で『enigma pay』を利用する方、またクレジットカードをお持ちでないユーザーを利用者として想定しています」(ULTRA)
「ultra payカード」では、ユーザーの利便性を考え、アプリインストール後に即時発行できるアプリ内でのバーチャルカード型の「でじなカード」を発行する。街中での利用を希望する人には、プラスチックカードタイプの「そとなカード」をアプリからのリクエストで発行可能だ。また「enigma pay」からのチャージについては、安全性の観点から本人確認手続きを必須とした「そとなカード+」を発行する必要がある。
「『enigma pay』の前払い報酬の支払い先は、現在登録の銀行口座のみとなり、振込手数料とATMの引出し手数料が掛かっておりました。今回支払い先にプリペイドカードを加えることで、手数料の削減とブランドプリペイドカードによる利用の即時性の選択肢をユーザー様にご提供することができるようになったと考えております」(ULTRA)
カード裏面にカード番号を集約
チャージ手段の連携を広げる
「ULTRA Pay」では、カード裏面にカード番号(クレジットカード番号・有効期限・セキュリティコード)を集約している。その理由として、ユーザーターゲットを若年層に置いているため、YouTubeを始めとした動画や、SNSなどで多くの情報が共有される時代背景特有の、カード情報漏えいや盗み見等のリスクの低減を意図しているという。
また、チャージ手段の連携は広げており、コンビニ、銀行ATMなど複数の手段で可能となっている。なお、他の前払いサービスとの連携は現時点では考えていないそうだ。
オリコはネオキャリアに出資して協業体制構築
従来の金融サービスとは異なる顧客領域への拡大を見込む
オリコでは、2020年2月に、ULTRAの100%出資会社でもあるネオキャリアへ出資している。「グループとして決済分野を中心にした協業体制を構築させていただいており、今回の発行に至っております」とオリコでは説明する。
今回の両社の取り組みにより、業務委託で働くフリーランスへのサポート及び従来の金融サービスとは異なった顧客領域への拡大を見込んでいる。オリコでは「人々の生活様式は今後も変化すると考えられ、従来の金融サービスでは解決できない課題も発生すると想定されます。 今回の業務委託契約報酬の受け口の様に、プリペイドカードはさまざまな利用が可能となっているため、多くの課題を解決できる手段の1つになりえます」と期待する。
ULTRAとオリコでは、「ultra payカード」の目標として、2022年度を目処に10万会員を想定している。