2020年8月11日8:39
デルタ電子と出光興産は、複合型EV充電の新たなサービスモデル「Park&Charge」の検証を目的とした、実証店舗「Delta EV Charging Station (Yokohama)」を、2020年8月8日に神奈川県横浜市にオープンした。8月7日にはオープンニングセレモニーが行われた。
複合型EV充電の新たなサービスモデル「Park&Charge」を検証
実証店舗「Delta EV Charging Station (Yokohama)」は、横浜スタジアムや横浜中華街の近くの好立地にある。同店舗は、以前、出光のサービスステーションがあった場所を利用している。実証店舗では、900 m2の敷地内に合計6ヵ所の駐車場、4ヵ所のEV充電器を設置。
施設は、主に5つのゾーンで構成される。「EV充電」では、CHAdeMO/CCS対応急速充電スタンドと充放電スタンドを設置。電気室は、ステーション全体の電源供給エリアとなり、BESS が設置され EMS により効率的にエネルギー管理がされている。また、非常時には特定負荷へ電源を供給する。管理室は、各エリアに設置した監視カメラや EMS からのデータを見える化。電気使用量や充電器の使用状況、蓄電池の充放電状況など、さまざまな情報を監視・制御できる。展示室では、デルタグループの提案するスマートシティ構想、高精細 8Kプロジェクター、EV充電ソリューション、などをグラフィック展示している。そして、独自ブランドのカフェ「Innergie CAFÉ」を併設。利用者が車を停めてEV充電をしている間にカフェで時間を過ごせたり、周辺施設の利用を可能にする複合型EV充電の新たなサービスモデル「Park&Charge」を検証するそうだ。
オープニングセレモニーでは、まず、デルタ電子 代表取締役 柯 進興(コウ シンコウ)氏が挨拶した。同店舗は、2018年にデルタ電子のグループが台湾の展示会、COMPUTECH TAIPEI(台北國際電腦展)で展示したコンセプトがベースとなっている。柯氏は「EV充電ステーションにさまざまな機能を追加することで、集客を高め、省エネルギーの機会を提供することはもちろん、電力機能の平準化や災害拠点としても活用でき、蓄電池を設置するなど、統合型エネルギーソリューションステーションとしても使うことができます」と話す。また、同施設にはデルタ電子の製品が数多く使用されている。
続いて挨拶した、出光興産 取締役常務執行役員 平野 敦彦氏によると、温室効果ガスや環境負荷の低減という社会的な要請に加え、消費者ニーズの多様化やデジタル技術の進展により、モビリティに関する動向は大きく変化しているという。モビリティに関しては、エネルギー技術の拡大の中心にEVの拡大がある。出光では、サービスステーションのインフラを最大限活用し、EVが拡大する社会の中でどのようにエネルギーを提供するかを模索する中で、「Park&Charge」の形態を志向し、今回の展開に至った。平野氏は、3年間にわたる実験でニーズを全国に広め、「インフラの拡大、お客様のニーズへの対応の知見を高めていきたいです」と意気込みを見せた。
EV充電では、利用者はAndroidやiOS対応のスマートフォン「EZQC」を利用する。EZQCは、個人情報の登録をせずに利用できる。アプリでは使用する充電器を指定し、クレジットカード(Visa、Mastercard、American Express、Diners)、楽天ペイ、Apple Payによる支払いを選択する。30分700円で充電が可能だ。EV充電では、クラウドを経由して充電器に充電の指示を行う。充電が開始されると、無料のコーヒー券のクーポンが表示され、隣接のカフェ「Innergie CAFÉ」でコーヒーを飲むことが可能だ。利用者は、カフェの中でもアプリを通じて充電の状況を確認できる。充電後、領収書はアプリで表示される。
「Innergie CAFÉ」店内には USB-C 電源アダプタ「Innergie 60C」を設置。スマートフォ ンやノート PC を充電しながら利用できる。カフェでもキャッシュレス決済に対応。クレジットカード、楽天ペイ、au PAY 、楽天Edy、nanaco、WAON、Suica等の交通系電子マネーが使用できる。
マーケティングデータの活用も可能に
ステーションには利用者の行動を可視化できるカメラも設置。例えば、カフェに何人が、どの時間に入店したかを可視化することで、将来的なマーケティングに活用可能となっている。
なお、今回の実証実験では出光のステーションの跡地を利用するとともに、デルタ電子の機器を設置している。また、出光では、出光ステーション、出光カード等の色を極力出さずに展開し、新サービスとしての展開の可能性を見出していきたいとしている。出光では3年間の検証をもとに、全国での展開も検討していく。