2020年10月16日8:33
スマートフォン決済サービスや店舗向けPOSレジを提供するSquare(スクエア)は、2020年10月15日にオンラインで記者説明会を開催し、知識がない人でもネットショップが無料で作れる「Square オンラインビジネス」を日本で開始すると発表した。当日は、サービスの概要について、eコマースの責任者であるDavid Rusenko(デイビッド・ルセンコ)氏が紹介した。
知識のない人でもオンラインビジネスのスタートが可能に
「Square オンラインビジネス」の国内展開の開始により、事業者は、店舗での対面販売に加え、オンラインでのクレジットカード決済による販売が可能となる。また、売上や在庫管理もSquareで完結できるため、店舗のオムニチャネル化を支援可能だ。
Rusenko氏は2007年にWebサイトおよびeコマースサービスを提供するWeeblyを設立。Rusenko氏が指揮を執っていたWeeblyは、2018年の初めにSquareに買収され、現在は「Squareオンラインビジネス」が展開されている。
個人や中小企業がオンラインビジネスをスタートする際は、例えばオンライン決済、在庫管理、マーケティング、SNS、デザイン、コーディングなどを意識する必要があるが、「オンラインビジネスを簡単に作れる」のが特徴であるとRusenko氏は説明する。実店舗でSquare ReaderやSquare POSレジを使う企業が「オンラインに拡大できるプラットフォーム」であるとした。
Afterコロナ後も長期的に事業者に必要な機能に
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の流行に伴う営業自粛をきっかけに、オンライン販売チャネルは事業者にとってこれまで以上に重要な存在となっており、eコマースでの販売はさらに拡大傾向にある。実際、店舗での営業自粛などにより、オンライン販売を始めた中小事業者も多く、中でも少額の費用負担で手軽に始めることができるネットショップ作成ツールを利用する事業者が急速に増えている。Squareでは、米国やカナダ、オーストラリアなどで「Square オンラインビジネス」を展開しているが、日本でも提供に向けて準備を進めてきた。Withコロナの時代に加え、Afterコロナ後も長期的に事業者に必要な機能になるとしている。
「Square オンラインビジネス」は、コーディングやウェブサイト制作の知識がなくても無料で利用できる。Instagram、Facebookとの販売連携が可能なため、商品やサービスの告知に役立てることができる。また、飲食店のテイクアウトやデリバリーなどを行うことも可能だ。テイクアウトでは、時間を各店舗で細かく設定できたり、注文と同時にオンラインで会計が済むよう設定できるため、オンラインとオフラインの連携に有効だという。
無料で利用可能だが、3つの有料プランも用意
無料プランは、決済ごとに決済手数料3.6%の費用が発生する。Visa、Mastercard、American Expressのペイメントブランド、Square ギフトカードによる決済が可能だ。現状、JCBやDinersは利用できないが、アクセプタンスは他の決済も含めて広げていきたいとしている。なお、アクワイアリングに関してはオフライン同様に、三井住友カード等と連携する。また、売上は最短翌日入金で、振込手数料もかからない。
なお、より高度な機能を希望する事業者には、必要な機能に応じて3つの有料プランも用意した。月1,200円のプロフェッショナルはカスタムドメインでSquareの広告が非表示となる。月2,500円のパフォーマンスは、プロフェッショナルの機能に加えて、商品レビュー掲載、かご落ちメールが届く。最も高度な機能を備える月6,800円のプレミアムでは、決済手数料を3.3%に抑えることが可能だ(料金はすべて年間利用の場合)。
また、事業者が販売したい商品を選んで、既存のウェブサイトに決済ボタンを加えたり、SNSにリンクを貼るだけでオンライン販売ができる「Square オンラインチェックアウト」機能も2020年7月から提供している。会計リンクは、メールやFacebookなど、さまざまな方法で共有が可能だ。
セルフオーダーの投入も準備、日本での展開に期待
Rusenko氏は、「今後はセルフオーダーの投入も準備しています」と説明した。利用者は飲食店などで自身のスマホを活用して料理の注文が可能となる。これにより、飲食店は人員の負荷軽減、業務の効率化、Covid-19の感染予防が期待できる。また、利用者にとっては金額の割り勘も可能になるそうだ。さらに、「日本でこれから先、他にもプロダクトを紹介していく予定です」と意気込みを見せた。
今後、「Square オンラインビジネス」を日本で展開していくが、その強みは柔軟性であるとRusenko氏は自信を見せる。個人、中小、大手、オフラインの事業者など、さまざまな事業者に提供可能であり、事業者にとっては、顧客との関係を保ちながら決済まで完結できるそうだ。なお、具体的な目標は会社のポリシー上非公表だが、「日本の市場には期待しています」とした。