キャッシュレスデータを活用したコロナ禍の消費行動の変化を紹介(三井住友カード/顧客時間/マクロミル)

2021年1月20日8:38

三井住友カード、顧客時間、マクロミルは、2021年1月19日に「新型コロナウイルスがもたらした消費行動の変化」の変化に関するウェビナーを実施した。

左から顧客時間 共同CEO 取締役 奥谷孝司氏、三井住友カード データ戦略部 部長代理の細谷友樹氏、マクロミル データマネジメントプラットフォーム部 コンサルタント 渡辺和也氏

コロナ禍の特徴的な消費者行動や意識を把握

三井住友カードと顧客時間は、キャッシュレスデータをデータ分析支援サービス「Custella」を使って感染状況の推移に伴い変化する消費行動を見出し、3回に渡りレポートとして発表している。2020年5月、6月に加え、12月21日には第3弾のレポートを発表した。同データでは、三井住友カードのキャッシュレスデータ、マクロミルのアンケート、顧客時間のインタビューのデータから、コロナ禍の特徴的な消費者行動や意識を把握したものだ。

ウェビナーではまず、三井住友カード データ戦略部 部長代理の細谷友樹氏がキャッシュレスデータのトレンドについて紹介した。三井住友カードのクレジットカードの売上を見ると、2020年4月7日に緊急事態宣言が出て消費が落ち込んだが、8月以降は前年並みに水準に戻り、10月には100%を超えて消費が戻ったが、12月になると感染者数が増加したため、消費もマイナスとなっている。

クレジットカード決済金額の3割はEC決済に

業種別でみると特に巣ごもり消費からECは底固く、クレジットカード決済金額の3割はEC決済が定着している。年代別のEC決済では、特に20、30、40代のシェアが高いが、高齢者のデジタルシフトが進んでいるそうだ。また、EC以外では、衣料のスポーツブランドが10月、11月はプラスに転じており、健康の意識が高まっている。さらに、生活、健康、美容の中でも化粧品や美容品は10月以降プラスになっている。学ぶ・玩具、娯楽品は緊急事態宣言時は高まったが、宣言解除と共に落ち着いた。旅行関係は、Go Toトラベルの影響で10月、11月は伸びが見られた。

全体として、スーパーマーケットやホームセンターは依然として対面での購入が多く、「もう少し本腰を入れたデジタルシフトが必要」であると、顧客時間 共同CEO 取締役 奥谷孝司氏は見解を述べた。また、出前やデリバリー、食材宅配は消費スタイルとして定着。ソーシャルグッドは5月までは伸びており、「マーケットとして伸びてほしい」と奥谷氏は期待を示した。

キャッシュレスとアンケートデータを掛け合わせる
消費者を5つのセグメントに分類

続いて、キャッシュレスデータの分析にマクロミルのアンケート調査を掛け合わせ、行動だけでなく意識の分析を行った結果について、マクロミル データマネジメントプラットフォーム部 コンサルタント 渡辺和也氏が説明した。マクロミルでは、消費者を「従来維持型」(6.5%)、「変化適用型」(13.3%)、「自己中心型」(10.5%)、「倹約型」(11.5%)、「巣ごもり型」(21.5%)と5つのセグメントに分類した。

例えば「従来維持型」は男性の比率が高く、中年層が占めている。逆に女性は「巣ごもり型」が多く、「変化適応型」はイエナカ消費が増えて、どちらも若年層の構成が多い。女性の方が環境変化にセンシティブな傾向が見受けられた。

決済金額の推移を、4~5 月と7~8月で各セグメントごとに比較したが、5セグメント中もっとも人数が多い「巣ごもり型」が、決済金額の回復傾向があまり見られない状況だった。一方、「変化適応型」と「自己中心型」は、7月以降の回復も早く、ほぼ前年並の数値となっている。特に「自己中心型」は前年と比較しても伸びている。

ECのシェアは伸びているが、セグメント別にみると、「従来維持型」は緊急事態宣言で増えたECも前年水準に戻っている。「巣ごもり型」は緊急事態宣言以降、落ち着いたもののECシェアは高水準を維持している。「変化適応型」はECのシェアは前年に比べると高く、「倹約型」は7~8月のECシェアは前年並みに戻っている。一方で、「自己中心型」はECのシェアが前年に比べて減っている。

「キャッシュレスデータ」と「アンケート調査」の両方を踏まえ、各セグメントの特徴を相対的に比較した。「従来維持型」のようにコロナに影響されない消費行動を貫いているセグメントもあれば、「巣ごもり型」のようにコロナによって大きく消費行動の変化が起き、依然として継続しているセグメントもあるそうだ。特に「巣ごもり型」はストレスが溜まっており、旅行への願望が高い傾向がみられる。「変化適用型」は、ストレスを感じる中でも自分のニーズを満たしており、買い物が楽しくなったと感じているセグメントだ。

「家族会議型」や「ご近所ファンディング」といった変化も

顧客時間では、インタビュー調査を2020年11月に実施。6つの具体的な消費行動の変化が見えてきたという。例えば、「家族会議型」は、身近な家族や友人の意見を購入の決定要因にすることが増えている。家族型の消費では、オンラインでの目的型購買が増加。家族や身近な友人の意見をもとに購買を決定している。例えば、夜間が購買のゴールデンタイムになったり、口コミベースの局所連鎖購買が増加している。奥谷氏は「家族で話していることを可視化できれば面白い」とした。

「ご近所ファンディング」のように、自分の生活圏内で小規模店に利他的に消費する行動も見られる。コロナ禍で出かけられなくなった分、身近な人への理解が深まり、働いている人の顔がわかるようになった。遠距離から近距離の消費となり、現金払い、QRコード決済など支払い手段も多様化している。

これまでの調査結果において、コロナ禍で消費者の消費行動が変わってきたことが見えてきたため、三井住友カードでは顧客ニーズを捉えて、価値を提供していきたいとした。同社では、データ分析支援サービス「Custella」やオールインワン決済サービス「stera」を通して、加盟店を支援していく方針だ。

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