2021年8月17日8:00
大日本印刷(DNP)は、国内の社員証や学生証などのID証や、国内の電子マネーで多く使われている非接触ICカードの技術方式「FeliCa」に対応した指紋認証による生体認証カードを開発した。同カードは、既存のFeliCa対応のカードリーダーを改修することなく、高セキュリティでの入退室管理や電子マネー決済を行うことができるという。DNPの担当者に開発の経緯について話を聞いた。
記事のポイント!
①DNPの強みであるFeliCaでチャレンジ
②利用時の指紋認証もカード内で完結
③社内実験経て2021年度内に製品提供
④DNPのサービスの特徴は?
⑤指紋データを保管するためのサーバを構築不要
⑥接触IC機能を利用して指紋情報登録
⑦今後のサービス構想
⑧決済カードとしての見解は?
国内で普及するFeliCa活用カードをいち早く開発
既存FeliCaカードと同等の通信性能を確保
指紋認証ICカードは、オフィスや工場等への入退時や電子マネーの決済時などに、FeliCaカードに搭載された指紋センサーで登録した個人が指で触れながらカードをリーダーにかざすことで、認証や決済などが可能になるものだ。数年前から世界で注目されており、国内でも参入プレイヤーは増加している。DNP 情報イノベーション事業部 PFサービスセンター セキュリティソリューション本部 スマートカード企画開発部 第1グループ リーダー 石川勝章氏は「弊社でも構想は昔からあり、スマホを含め生体認証が身近になり、指紋センサーや認証アルゴリズムの技術の進歩もあったため、2年前から開発に着手しました」と話す。
DNPでは、国内の入退出システム、電子マネーで普及しているFeliCaに対応した指紋認証ICカードを初めて開発。TypeA/Bに対応した仕組みはすでに他社でもリリースされているが、「まずは我々の強みでもあるFeliCaでチャレンジしようと思いました」と石川氏は説明する。
同カードでは、指紋データはカード内に登録・保存されており、利用時の指紋認証もカード内で完結する。石川氏は「カード内には、指紋センサーやそれを動かすマイコン、登録時に使用する接触端子も載せています。また、FeliCaの通信をより安定させるため、バッテリーも搭載しました」と語る。その理由として、「我々は電子マネーもターゲットにしており、FeliCa検定という端末互換を意識しています。例えば、電子マネーは複数の汎用電子マネーの端末の検定に合格しなければいけませんので、通信距離を確実に確保する必要があり、通信を安定させるためにもバッテリーを搭載しました」と経緯を口にする。
既存の設備を変更せずに導入が可能
夏から秋には顧客企業での実証実験を予定
DNPは、2021年2月から、社内での実証実験を行っており、2021年度内に製品の提供を開始する予定だ。石川氏は「想定以上に引き合いは多いので、夏から秋にかけてお客様でも実証をしていただくフェーズを想定しています」と構想を述べる。
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