2011年1月24日8:00
英国の決済革命
☆ ☆☆ カウントダウンにはいった現金が消滅する日 ☆☆☆
Payment Revolution
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤 元則
決済革命がおきているのはパブだけのできごとではない。その歴史的瞬間は2010年8月30日(月)の祝日(Bank Holiday)後であった。
ちなみに、英国では祝日のことをバンクホリデーと呼ぶ。祝日は銀行が休みになるからということらしい。とにかく銀行と関係のある日が歴史的な日になった。
英国の経済活動において、現金がついに王座から陥落したのである。
その日までの現金利用額は2,690億ポンド。それをデビットカードの利用額が30億ポンド上回り、2,720億ポンドになったのだ。
小売の利用額では、すでに現金はデビットカードに追抜かれている。それが、経済活動という広い決済分野でも、現金決済からデビットカード決済に首位が入替わったのだ。そこに歴史的瞬間というゆえんがある。
デビットカードは猛スピードで伸びている。2010年夏の購入件数は前年同期比10%増えた。7月から9月の間、デビットカードは毎日160万件のトランザクションがプラスされたことになる。利用金額も11%伸びた。
ATMから現金を引出す件数は前年同期比1.5%落ちている。金額ベースでは5%のマイナスだ。ちなみに2010年第3四半期、デビットカードはクレジットの約3倍の頻度で使われた。
英国の消費者にとって、現金は厄介な決済手段、という意識が強いようだ。小額決済でもカードを好んで使っている。デビットカードが、街角の小さなカフェや小売店など、どこでも使えるようになれば、さらに現金シェアを少なくできるようになるだろう。