2022年3月25日8:00
伊予銀行では2021年10月より「伊予銀行Visaデビット」の発行を開始した。同時に、2021年6月から運用している「AGENT」アプリに、「Visaデビット」の利用明細照会機能を実装し、セットでの利用を促進。愛媛県内だけで300億円以上あると見られるデビットカード市場の開拓に乗り出した。従来から展開しているクレジットカード「IYOCA」と「Visaデビット」の2つのラインナップで、CXの向上、地域のキャッシュレス化の推進を図る。若年層などクレジットカードを持たない層にデビットカードの利用を勧めるほか、利用シーンに応じたクレジットカードとデビットカードの使い分けを提案していく。
愛媛だけでも300億円の潜在規模
地域のキャッシュレス化を加速
伊予銀行では2021年10月25日より、「伊予銀行Visaデビット」(以下、「Visaデビット」)の展開を開始した。発行業務は三菱UFJニコスに委託し、アクワイアラ業務はグループ会社のいよぎんディーシーカードと連携して行っている。
「Visaデビット」は、12歳以上の伊予銀行の普通預金口座保有者であれば誰でも申し込むことができる。年齢の下限を低く設定したのは、より若いころからキャッシュレスに馴染んでほしいと考えたためだ。
世界中のVisa加盟店で利用でき、Visaのタッチ決済対応店舗では、レジのカードリーダにカードをタッチするだけで決済が完了。年会費は初年度無料、2年目以降は1,375円(税込)。満22歳以下または年間利用額10万円以上の場合は、2年目以降も無料になる。
利用に応じたキャッシュバック制度があり、入会後3カ月目までは利用額の1.0%、それ以降は0.2%、また2年目以降は前年度の年間利用額が10万円未満であれば0.2%、10万円以上で0.4%が、口座に毎月、自動的に振り込まれる。
セキュリティ面では「Visa Secure」の活用により不正使用を防止。万一不正利用が発生した場合には、同行に連絡した日から60日前まで遡って、年間100万円を限度に損害を補償する。
同行では当面、従来から発行してきたクレジットカード「IYOCA」と「Visaデビット」を2本柱に、地域のキャッシュレス化推進に力を入れる。「デビットには愛媛県内だけでも300億円の潜在規模があると試算されています。その市場開拓に今こそチャレンジすべきと考えました」(伊予銀行 ビジネスマーケティング部 泉田健至氏)。若年層などクレジットカードを持てない層や持ちたくない層に「Visaデビット」の利用を勧めるほか、日常使いはデビット、高額商品の購入はクレジットといった使い分けを提案していきたいとしている。
リアルに代わるタッチポイントを意識
VC機能搭載のスマホアプリを活用
伊予銀行ではアクセンチュアと共同開発したスマホアプリ「AGENT」を2021年6月にリリースした。この「AGENT」アプリでは、口座残高や入出金明細などと合わせて「Visaデビット」の利用状況を確認することができる。「AGENT」アプリは、iOSに加えて、2021年12月26日からはAndroidにも対応できるようになった。同行では、ぜひ「Visaデビット」と「AGENT」をセットで活用して、資金管理の習慣化に役立ててもらいたいとしている。
「AGENT」アプリの大きな特徴として、ビデオチャット(VC)機能が挙げられる。利用者は同行の行員と画面上で対面しながら、普通口座や定期預金口座の開設、住所変更、キャッシュカードの再発行などの各種手続きを行うことができる。
「AGENT」は利用者に新しいCXをもたらすツールであると同時に、同行にとっては利用者とのタッチポイントを増やす重要なツールでもある。利用者とのコミュニケーションの活性化、優良顧客の育成を目指して、UIの向上、機能の拡充を図っていきたい考えだ。「Visaデビット」に関しては、利用者本人が1カ月の利用金額目安を設定し、それに近づいた時点でアラートを発する“使いすぎ防止機能”を搭載した。
同行では「Visaデビット」の初年度発行数1万2,000枚を目標に掲げている。新規入会者の獲得には、店頭での案内のほか、Web広告を活用する。
泉田氏は、「銀行にしか発行できないデビットカードを、将来的には主力サービスに育てていきたい」と意気込みを見せる。また、地域の企業と連携し、顧客の利便性が高まるようなさまざまなシーンで利用できる体制を構築していく考えだ。
カード決済&リテールサービスの強化書2022より