ナッジ、キャッシュレスで森林再生できる「広島Nudgeの森」開始 官民連携で「グリーン・フィンテック」を推進

2022年8月19日9:30

ナッジは、新たに広島県東広島市と連携し、「Nudge」クレジットカード申し込み時に「広島Nudgeの森」クラブを選択した人の消費金額に応じて、東広島市にマツの木の苗が植えられ、東広島の森林再生に繋がる「広島Nudgeの森」の発行を開始した。2022年8月2日には、東広島市、協賛企業とともに記者説明会を開催したが、官民連携で「グリーン・フィンテック」を推進する取り組みとなるそうだ。

クレカ利用で「マツ枯れ」した森林を再生
15年間にわたる活動に

広島県は面積の約72%を森林が占めており、その中でも「アカマツ林」が広く分布している。実に森林面積の1/3はアカマツ林となるそうだ。アカマツ林は松茸の苗床となることに加え、土木資材や陶芸用の薪としても利用されていた。しかし、寄生虫を原因とする「マツ枯れ」によりマツ林の枯損が進み、森林整備のための投資も進まず、「宝の山」といわれた広島の豊かな里山の景色が失われつつあるという。マツ枯れによって荒廃したアカマツ林では、森林機能が低下し、二酸化炭素吸収力が減少。また、瀬戸内の地域の水資源を支える土壌の質にも影響を与えている。

今回の東広島市との取り組みでは、次世代型クレジットカード「Nudge(ナッジ)」を利用することによって広島の森林再生に貢献ができる「広島Nudgeの森」クラブおよびクレジットカードの提供を開始する。「Nudge」として自治体との連携は、石川県小松市につづく2例目の事例となる。

植樹事業の実施場所は東広島市・入野財産区の保安林となり、広島空港から車で15分程度となる。マツ林において「マツ枯れ」で荒廃した森林を再生する取り組みだ。広島の競技場「マツダスタジアム」と同規模の土地に10年間毎年植樹を行い、植樹後の保育・保全活動を含め、計15年間にわたって活動を行う予定だ。東広島市入野財産区の保安林の無償貸与を受けるが、ナッジから賀茂地方森林組合に対し森林の保全・管理を委託する。

利用者は、カード利用を通じた支援が、「広島Nudgeの森」クラブのユーザー全体で苗木何本分に相当するか、アプリ上で確認可能だ。ユーザー累計決済額10万円ごとに、1本の苗木に相当する支援を実施。ナッジ 代表取締役社長 沖田貴史氏は「ゲーミフィケーション的な要素を入れながら、皆で楽しみながら、ご負担のない形で社会によいことをしていきます」と説明する。

約800台の自動販売機が排出するCO2を吸収
ヤマネHDは1棟当たり植樹4本分寄付

植樹活動によって期待される環境への効果として、「広島Nudgeの森」における植樹活動が完成した場合、今後50年間で期待される推定CO2吸収量は、約389tとなる。例えば、自動販売機1台当たりの年間 CO2排出量は約0.49tだが、約800台の自動販売機が排出するに相当するCO2を吸収することができる。

今回の取り組みでは、カルビー Calbee Future Labo、ヤマネホールディングス、広島ドラゴンフライズ 、はつかいちサンブレイズが協賛している。協賛企業からは、「広島Nudgeの森」でカードを利用したユーザーへの特典を用意してもらった。

ヤマネホールディングスでは、建築したZEH(ネットゼロ・エネルギー・ハウス)1棟当たり植樹4本分(1,000円)の寄付を「広島Nudgeの森」プロジェクトに対して行う。ZEH1棟が建築されると、ヤマネホールディングスも、ZEHによるCO2削減量と同じ量(約1t)のCO2を削減することのできる4本分の植樹を「広島Nudgeの森」で行い、利用者と共に地域環境に貢献していくそうだ。なお、11月には、地域の子供・協賛企業と合同で植樹活動を実施する予定だ。

東広島市では、令和2年に策定した第五次総合計画の将来都市像である「未来に挑戦する自然豊かな国際学術研究都市」を実現するために、「世界に貢献するイノベーション創造のまち」と「暮らし輝き笑顔あふれる生活価値創造のまち」づくりに取り組んでいる。東広島市長 高垣廣徳氏は「本プロジェクトが、企業や地域をはじめ、多くの人々に『持続可能な未来の実現』に向けた活動の輪を広げるきっかけとなることを期待しています」と語った。

東広島市入野財産区議長 福永輝章氏は「今回の植樹活動はナッジ様、企業との連携として大いに期待しているところです。山林には多様な機能があり、財産区としても災害に強い地域、憩いの場所としてさまざまな活用に取り組んでいければと考えています」と話す。

保全管理業務を担う賀茂地方森林組合長 川口洋海氏は「山仕事のプロ集団として、毎年ナッジの森に植栽される苗木を守る、育てるための管理作業を心を込めて実施させていただきます」と意気込みを見せた。

カルビーは広島創業の企業であり、Calbee Future Laboは第二の創業という位置づけで既存の事業とは別の切り口で事業を行っている。カルビー Calbee Future Labo 部長 大塚竜太氏は「カード利用特典の1つとして当社の商品も楽しんでいただきながら、より多くの方が自然環境について考えていただくきっかけになれば」と話す。ヤマネホールディングス 代表取締役 山根誠一郎氏は「自然と人の営みが持続可能に共生し、長く住み続ける物語がつづく暮らしをグループコアと位置付けています」と語った。広島ドラゴンフライズは今年で設立9シーズン目を迎えた広島のプロバスケットボールクラブだ。広島ドラゴンフライズ 代表取締役社長 浦伸嘉氏によると、Bリーグの中でも最大の社会貢献活動を行うクラブを目指しているそうだが、「クラブ全体で協力していきたい」と話す。女子野球チームのはつかいちサンブレイズ 監督 岩谷美里氏は「今年できた新しいチームであり、今後広島県に根付いたチームになっていきたいと思っています。地域の皆さんのお力になれることをどんどんやっていきたいと思っています」と意気込みを見せた。

「グリーン・フィンテック」の取り組み
植樹の「見える化」で行動変容を促進

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