2022年9月5日12:00
「ダークストア」と呼ばれるデリバリー専門店舗を使い食料品や日用品を迅速に宅配する「Q(クイック)コマース」が、日本でも浸透し始めた。最短10分程度で届くうえスーパー並み商品価格のため、子育て世代などを中心に支持が広がっている。これらQコマース企業は相乗効果が見込めるフードデリバリーサービスと連携することで、エリア拡大や顧客先開拓に攻勢をかける。さらに、ダークストアを来店型店舗へと改装し、セルフ形式の無人レジ決済を導入する取り組みも始まった。
通販研究所 渡辺友絵
記事のポイント!
①欧米で広がる即配サ―ビスのQコマース、日本でも時短でニーズ
②注文後10分~30分と短時間で商品配送、商品価格も低価格に
③「ヤフーマート」と「OniGO」が注目
④ヤフーマートは合計20拠点に、23区全域へ設置へ
⑤オニゴーは8拠点、22区7都市へと広がる
⑥フードデリバリーサービスと連携した事業展開
⑦配送網整備やユーザー層開拓に注力
⑧ダークストアを活用の無人決済店舗オープン
⑨ファミマの無人コンビニ等よりやや手間に?
⑩「ヤフーマートオペレーションズ」設立、サービス品質向上へ
⑪Qコマースと馴染み深いフードデリバリー業界は撤退続く
⑫多くの課題も顕著に
⑬今後1年ほどが勝負どころ
■最短10分の迅速さとスーパー並み価格が強み
ECの一環ともいえる即配サ―ビスのQコマースは、フードデリバリーと同様にコロナ禍でロックダウンが続く時期に欧米を中心に広がった。日本でも“時短”を重視する共働き層や子育て層に需要が高まっているのに加え、ステイホームの定着もあり利用者が増えている。
エリア内に拠点となるピッキング倉庫のダークストアを配置し、そこから直接配送する。数時間以上かかったり場合によっては翌日配送になったりするネットスーパーと比べ、注文後10分~30分と短時間で商品が届くことが大きな強みだ。注文通知が届くとマニュアルに沿った手順でピッキング担当者が商品を集め、配送スタッフが電動自転車やバイクで配達する。仕入れ先選別や大量注文などの工夫により、商品価格もスーパー並みの低価格に抑えている。
■事業開始から1年で都内中心に拠点を拡大
複数社の参入が続くQコマース業界で特に注目されているのが、Zホールディングス傘下のヤフーがグループのアスクルや出前館と一緒に手がける「Yahoo!マート by ASKUL(以下ヤフーマート)」と、Qコマース先駆者ともいえるOniGOが運営する「OniGO(以下オニゴー)」。両社とも事業開始は2021年からで、ようやく1年程度が経過したところだ。
ヤフーマートは、2021年7月から「PayPayダイレクト」の名称で展開していた実証実験を経て都内8カ所にダークストアを開設し、現在は都内と千葉県に合計20拠点を構える。今秋までに都内に3拠点を新設する予定で、23区全域への設置を進めている。取扱商品数は各拠点平均で約2,000SKU(種類)となる。
2021年6月に都内目黒区からスタートしたオニゴーは現在8拠点を設け、配送エリアは22区7都市へと広がっている。半径約1〜1.5km圏内を対象に配送エリアを設定しており、取扱商品数はおよそ1,600SKUとなる。
■フードデリバリーと連携し配送網整備やユーザー層開拓に注力
注目したいのは、ヤフーマートもオニゴーもフードデリバリーサービスと連携した事業展開を進めているという点だ。
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