2018年5月2日8:00
スマホ専用の公式アプリのダウンロード数が30 万以上と好調
アメリカ発の高品質なドーナツを販売するクリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン(KKDJ)は2017年からスマートフォンアプリに注文・決済機能を追加し、事前予約で並ばずに商品の受け取りが可能な「クイック オーダー」を展開している。2016年に導入しすでに30万以上のダウンロード数を誇るスマホアプリ「Krispy Kreme for APP」に追加した「本会員限定」のサービスで、クレジットカード決済およびキャリア決済に対応。事前に注文予約・決済すれば専用カウンターですぐに受け取ることが可能だ。
店舗でアプリのダウンロードを訴求
アプリ会員数は全顧客の10%以上
2006年に日本1号店をオープンしたKKDJは、2012年から「Friends of Krispykreme」というポイントサービスをフューチャーフォンとスマートフォンでスタート。Web経由でアクセスしてバーコードを読み取り、来店時にクーポンが発行される仕組みで展開していたが、スマートフォンの普及に伴いアプリ化に着手。正確なデータ収集にも取り組みたいとの考えもあって移行準備を進め、2016年8月に自社開発アプリ「Krispy Kreme for APP」をリリースした。
「Krispy Kreme for APP」をダウンロードしたアプリ会員は来店と商品購入を合わせたポイントが貯まり、合計ポイント数に応じて5段階のランクに分けられる。獲得ポイント数によってランクは毎月変更され、ランクが上がるとポイント還元率がアップし提供されるクーポン内容も変わる。アプリのプッシュ通知を通じ、新商品情報やクーポン情報をいち早く入手できるメリットもある。
アプリをダウンロードした会員数は現在30万人以上に達しており、多くは各店舗での案内でダウンロードにつながっている。店舗のモチベーションアップのために毎週店舗ごとの獲得ダウンロード数をランキング化しており、店舗側が貢献度を実感しやすいことも実績につながっている。キャンペーンを通じたインセンティブ目的の顧客層とは異なり、アプリ会員はリピート率も高い。クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン マーケティング部 SPマネジャー 岩本由佳氏は、「現在、ご来店いただいているお客様の数に対するアプリ会員の割合は10%以上。前会員サービス『Friends of Krispykreme』は約4%程度だったことから、3倍以上に拡大しました。また、2016年のアプリリリース時と比べても1年数カ月で約4ポイント伸びており、アプリ会員が日々増加しています」と話す。
受け取り専用カウンター設置
名入れドーナツなど限定商品でも訴求
公式アプリ「Krispy Kreme for APP」の本会員に向け、2017年7月には新たなサービスを導入した。事前に商品をアプリで注文してその場でクレジットカード決済し、あらかじめ決めた日時に店舗で受け取る「クイック オーダー」で、専用カウンターが設けられているため並ばずにすぐに受け取れる。欲しい商品が来店時に売り切れている心配もなく、確実に入手できるというメリットがある。受け取りの14日前から2日前の20時までの注文が可能で、2日前まではキャンセルも受け付ける(2018年2月現在)。
好きなドーナツをボックスに平置きに並べる「ダズン」はこれまでも電話などで注文できたが、人気のドーナツは注文が重なると売り切れてしまうこともあり、販売機会の損失にもつながっていた。
またクイック オーダーだけの限定商品として、ギフトやパーティー、お祝いなどの“ハレの日”に需要が見込める「ギフト ダズン セット」を用意した。12個のドーナツのうち1つをスマイルドーナツに、もう1つを指定した名前やメッセージ入りのドーナツにデコレーションしてくれる。キャンドルやメッセージピック、メッセージシールも別添えされるなどの特典が付く。
「名前やメッセージ入りのデコレーションドーナツを製造できるのに、注文に応えられる社内の仕組みが構築されていないのが残念だった」と岩本氏は振り返る。そのような背景があったため、「ギフト ダズン セット」の導入は自然な流れだった。事業戦略部 システムマネジャー 川俣隆之氏は、「ECサイトの受注データを店舗で確認できることから、あらかじめ商品の注文数や受け渡し日時を確認したうえでコントロールする体制を整えています」と説明する。
クイック オーダーの認知度アップへ
広い世代に向けてキャリア決済追加
今後は、クイック オーダーの利用件数をさらに伸ばしていきたいとしている。川俣氏は、「キャンセル機能を追加して利便性を高めるとともに、クレジットカードを持たない学生や若年層など、さらに幅広い年齢層に対応すべく、携帯キャリア決済を追加しました」と語る。クイック オーダーの認知度アップへの取り組みとして、キャンペーンも行っていく予定。アンケートやヒアリングを通じてアプリの操作性や特典の分かりやすさなどを改善し、店舗を含め社内の全部署を挙げてサービスの徹底に努めていく。