メルカリが決済・与信連携強化に向け独自クレジットカード「メルカード」発行

2022年11月14日9:00

メルペイは、2022年11月8日に記者説明会を開催し、クレジットカード「メルカード」の提供を開始すると発表した。

左からメルカリ 執行役員 CEO Marketplace Jeff LeBeau氏、執行役員 CPO 成澤 真由美氏、メルカリグループ日本事業責任者 青柳直樹氏、執行役員 CEO Fintech 山本 真人氏

新しい信用を作るサービスへと進化
本人確認済みの人は1,200万人強へ

メルカリでは、2017年にメルペイを設立。2019年に決済サービス「メルペイ」を開始した。事業者間の激しい競争もあったが、政府によるキャッシュレスの追い風を受けるとともに、Origamiとの経営統合、NTTドコモとの協業などを進め、キャッシュレスのカバレッジを大きく拡大させることができたという。2019年に開始した「メルペイスマート払い」も利用者拡大につながった。メルカリ メルカリグループ 日本事業責任者 青柳直樹氏は「決済サービスであると同時に、新しい信用を作るサービスへと進化を遂げてまいりました」と成果を述べる。

メルペイの成長を支えてきたのが、同一アプリでサービスを提供しているメルカリの成長だ。メルペイ開始前の2018年から現在までの約4年強で、メルカリの利用者数は2倍以上、取引規模は3倍近くに成長している。メルカリの累計利用者数は、4,800万人に達している。メルカリとメルペイのクロスユースの拡大に伴い、新たなシナジーも具現化してきた。その代表的な例として、両サービスの利用実績を独自の与信判断に活用することで、誰でも利用しやすいインクルーシブな金融サービスを提供することが可能になった。実際にメルカリとメルペイを併用して利用することで、貸し倒れが抑えられているデータもある。また、コンプライアンスの徹底、不正アクセスや不正利用、マネーロンダリングなどへの組織的な対策を強化してきた。これにより、マーケットプレイス全体の安心・安全につながったとした。

安心・安全の取り組みの成果として、メルカリ利用者のうち、本人確認済みの人は1,200万人を超えた。会員獲得や不正の対策に100億円単位の投資を継続してきたというが、この3年間に積み上げてきた安心・安全な利用環境、本人確認済みの利用者との関係は、メルカリのフィンテック事業の最大の競争優位性であると考えているそうだ。さらに、決済・与信事業の拡大に必要不可欠なバランスシートの強化にも努めており、合計1,000億円以上の資金調達も実施。決済新事業の収益性改善により、FinTech事業単体でも安定的に営業黒字を計上できるようになった。

「メルカード」はCO2削減にも貢献
ナンバーレスでタッチ決済機能搭載

新たに発行開始した「メルカード」は、利用者の生活スタイルや価値観に寄り添うことをコンセプトにデザインした。メルペイ 執行役員 CPO 成澤真由美氏は「できるだけ配色や文字情報をそぎ落としたシンプルなカードデザインに仕上がっています」と説明する。財布から取り出すときに目印になるように、メルカリのロゴをあしらっている。通常は、赤と青を基調としたメルカリのロゴだが、多種多様な人々が訪れるメルカリの象徴となりたいという思いも込めて、見る角度によって色や輝きが異なって見えるホログラムを採用した。また、モノや資源を大切にしてきたメルカリとして、カードの素材にもこだわった。リサイクル素材を採用することで、1枚1枚カードが作られる度に、CO2削減にも貢献している。

今回のメルカードの発行により、JCBの3,900万の加盟店においてカード決済が利用可能だ。カードの特徴として、ナンバーレス化による、安心・安全な決済体験を提供する。カード決済に必要なカード番号や有効期限は記載されておらず、アプリ上で確認する形となっている。万が一、カードの紛失や盗難にあった場合、手元のアプリから即時に利用を停止することが可能だ。

また、カードにはタッチ決済機能も搭載。メルペイではこれまで非接触決済の「iD」を提供してきたが、財布の中から取り出してかざすだけでJCBのタッチ決済が利用できる。

与信の仕組みも独自に
還元率は最大4パーセント

メルカードは、与信の仕組みも独自のものとなる。一般的なクレジットカードのように、年齢や職業などによる与信だけではなく、メルカリの利用実績に基づいて利用限度額が決定する。メルカリで取引を行うと、利用限度額が増える可能性もある。成澤氏は「独自の与信は、従来の属性情報では与信を受けにくかった方にも、 適切に提供される仕組みであると考えています」と説明する。

利用履歴は、メルカードに加え、コード決済、iD、ネット決済の履歴と一緒にまとめて確認できるようになっている。利用者は複数の支払い手段を使い分けることも可能だ。請求に関しては、利用者は自身が毎月の引き落とし日を自由に選択することができ、引き落とし日以外でも 先に支払うことが可能だ。また、メルカリで出品したものが高く売れた場合には、支払いの金額に充てることが可能だ。

申込に関しては、メルカリアプリから行える。1,200万人以上の本人確認を完了している人であれば、一般的なクレジットカードを申し込む際に必要な本人確認書類の提出や個人情報の入力は不要だ。アプリからの申し込みから最短4日程度で、利用者の手元にカードが届く。カードはメルカリアプリで有効化し、その後すぐに使えるようになる。

メルカードでは、常時ポイント還元が売りとなる。メルカードを保有している人であれば、カードの利用に加え、「メルペイスマート払い」をiDやコード決済で利用しても、ポイント還元が受けられる。還元率は最大4パーセントだ。メルカリ利用で最大4%、それ以外の利用でも常時1%の還元を受けられる。還元率に関しては、メルカリのこれまでの出品や支払いの利用実績によって変動する。メルカリ 執行役員 CEO Marketplace Jeff LeBeau氏によると、メルカリの利用者が体験する「売る」「買う」「支払う」の3つのアクションを還元率上昇のきっかけとすることで、サステナブルな行動がお得につながる仕組みの構築を目指したという。

パートナーとの連携では、ダイソーでは、梱包資材やメルカリ、ポストを活用した出品、サポートが提供される。アップルでは、製品をアップグレード時、旧製品をメルカリで売ることで、お得に新製品が購入できるようになる。ヤマダ電機では、不要な商品を回収、またはメルカリで売ることで、お得に商品ができ、購入できるようになる。こうした取り組みにより、使わなくなったものを捨てずに誰かの手にわたり、お得に新たな商品を購入するといった循環を実現。メルカリに、メルカードと常時ポイント還元が加わることで、使わなくなったものは、捨てずに誰かの手に渡り、お得に新たな商品を購入するという循環が実現される。メルカリに、メルカードと常時ポイント還元が加わることで、これまで以上にさまざまな場所でメルカリの体験が広がるそうだ。

モバイル決済は非対応、カード製造はIDEMIA
2023年春にエコシステムに暗号資産を追加

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