2023年3月1日7:30
アクアビットスパイラルズとKDDIは、地域公共交通の維持・活性化の支援を目的に、キャッシュレス乗降を可能にする「スマホタッチ支払い」の開発・提供で協働すると発表した。
同取り組みの一環として、両社は交通系ICカードよりも低コストで、地域公共交通でニーズが高まっているバス・鉄道の乗り換えにも対応したキャッシュレスシステムを開発し、徳島バスが実施主体となった2022年11月16日から2023年2月15日までの実証実験に提供した。なお、同取り組みで支援した徳島県での「スマホタッチ支払い」実証実験は、内閣官房が主催する「冬のDigi田甲子園」において、応募総数172件の中からインターネット投票対象事例に選出された46件のうちの1件としてエントリーされている。
両社は、2021年からスマホタッチ支払いの実証実験で協働し、地域に求められる低コストで持続可能なキャッシュレスシステムの開発を共に進めてきたそうだ。
スマホタッチ支払いは、位置情報取得とNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)タグ、利用者のスマートフォンを用いた仕組みで、運賃計算や決済をクラウド上でデジタル処理し、キャッシュレス乗降を実現する。
利用者にとっては、アプリダウンロードや専用端末は不要で、普段から使用するスマートフォン1つでバスや鉄道にキャッシュレスで乗車できる。NFCタグにスマートフォンをかざすだけのアクションで乗降が完結し、行き先に応じた乗車券を事前購入する必要がなく、整理券取得や小銭の両替、現金払いの必要もない。すでに保有するApple IDまたはGoogleアカウントによるサインインと、決済方法(クレジットカード)を登録するだけで利用できる。
交通事業者は、車両ごとのICカードリーダーの導入が不要な機器構成で、キャッシュレスシステムの導入・維持コストを軽減できる。バスと鉄道など異なるモーダルの乗り換えにも対応している。ODデータも取得でき、地域交通がどのように利用されているか、利用実績を可視化できるそうだ。「スマホタッチ支払い乗車」を通知するシステムにより、乗務員はタブレットから「スマホタッチ支払い」での乗車状況をリアルタイムに検知・確認できる。
バスでは、位置測位サービス対応機器を搭載し、リアルタイムにバスの正確な位置情報を把握するという。バスの乗降時に、車内設置のNFCタグにスマートフォンをかざすと、バスの位置情報とスマートフォンの情報がクラウドシステム上で連携し、乗車バス停、降車バス停を推定できる。乗降バス停情報から区間運賃を計算し、登録されたクレジットカードから運賃が引き落とされる。
鉄道では乗車時、降車時に改札に設置されている乗車用・降車用NFCタグにスマートフォンをかざすと、乗降した駅を自動で記録し、登録されたクレジットカードから運賃が引き落とされるという。
また、交通利用のキャッシュレス化に加え、観光施設の周遊やスタンプラリーなど、交通と体験・施設利用等を組み合わせた活用にも応用が見込めるそうだ。
アクアビットスパイラルズがNFCタグ(スマートプレート)決済システムや乗車券システムなどを提供し、KDDIが地域の公共交通をはじめとするさまざまな課題解決策の企画、提案および位置情報を活用した運賃計算システムの設計を担う。
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ペイメントナビ編集部
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