2022年12月12日8:00
徳島バス、JR四国、KDDIは、2022年11月16日~2023年2月15日まで、スマートフォンのNFC(Near field communication、近距離無線通信)機能や二次元コードを使用して、公共交通機関を利用できる「スマホタッチ支払い」の実証実験を行っている。12月6日、7日には、メディアや全国の交通事業者に実証実験を公開した。
共同経営区間の乗降をデジタル化
利用者・乗務員双方の利便性向上へ
徳島バスとJR四国では、徳島バスの室戸・生見・阿南大阪線「阿南駅~浅川」間、JR四国の牟岐線「阿南駅~浅川駅」において、高速バスの途中乗降と鉄道の運賃面での連携を図り、JR乗車券で高速バスの途中乗降の利用が可能となる取り組みを実施。阿南駅などで鉄道とバスを乗り継ぐ場合にはJR乗車券類による通し運賃を適用することで、乗換時に初乗り運賃が不要だ。両社では、「独占禁止法特例法」による共同経営にかかわる認可を2022年3月18日に受けている。
一方で、阿南駅~浅川間では、高速バスや路線バスの乗降客対応、さらにバスと鉄道の共同経営によりJR切符でバスを利用する乗客確認などのアナログ業務が増えている課題があった。そこで、徳島バス、JR四国ではKDDIの協力を得て、「スマホタッチ支払い」により、共同経営区間の乗降もデジタル化することで、利用実績をスムーズに把握し、利用者・乗務員双方の利便性向上を図ることを目指している。
位置情報でリアルタイムに位置情報把握
通し運賃区間では料金差分も表示
今回、「スマホタッチ支払い」のサービス提供を担うKDDIでは、アクアビット・スパイラルズの協力を得て、南予観光型MaaS(Mobility as a Service)実証実験、鳴門公園周辺エリアを周遊できる観光地づくりを促進する観光型MaaSの実証実験などでNFCおよび二次元コード機能を活用した乗車システムを提供してきた実績がある。また、アクアビット・スパイラルズは、和歌山県の高野山・山麓地域、滋賀県の大津市などの交通乗車実証実験で技術支援を行っている。
「スマホタッチ支払い」では、過去に行った実証実験の知見を活かし、バス車内や駅に設置された NFCタグや二次元コードを活用し、徳島県南部地域のバスと鉄道の利用が可能になっている。なお、徳島バスのバスには、KDDI が提供する高精度位置測位サービス対応機器を搭載し、誤差数センチメートルの精度でリアルタイムにバスの正確な位置情報を把握している。
「スマホタッチ支払い」利用開始時には、スマートフォンでの Apple IDまたはGoogle アカウントによるサインインと、クレジットカード情報の登録が必要だ。利用者は、アプリのダウンロードやその他の個人情報の入力は不要で、“アプリレス“で利用を開始できる。
路線バスの丹生線と阿南大阪線では、乗降時にNFCタグにかざすもしくは二次元コードを読み込む。乗務員はタブレットで乗降を検知し、券面チェックが不要だ。JR四国の鉄道では、降車時に車内係員、改札係員が券面を確認する。
利用者は、スマホ画面で路線バスの乗車、降車情報や料金を確認できる。例えば、通し運賃の適用区間は、続きの乗車履歴として表示される。また、バス、JRにそれぞれ乗車した場合との料金差分も表示している。
これまでのNFC実験の課題を解決へ
定期券のデジタル化にも対応
KDDI 経営戦略本部 地域共創推進部 コアスタッフ 和田和子氏は、地域課題の解決やこれまでの実証実験を踏まえ、今回は4つの機能拡張を行ったと説明した。
1つめは、前述の共同経営区間でのJRとバスの連携運賃にも対応したことだ。共同経営区間での通し運賃に関しては、当日は料金未確定となり、利用翌日に確定・決済する。また、乗降ルートや料金はユーザー画面の明細に表示している。
2つめは、従来の実証実験では、NFCタグへのタッチ後にスマートフォン画面表示が切り替わるまで3~4秒を要していたが、内部処理速度を改善することで、よりスピーディな遷移が可能となった。アクアビット・スパイラルズ 代表取締役CEO 萩原智啓氏によるとサーバの構成等を工夫することで、課題を解決したという。
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